宿泊コラム

消防庁資料をギュッと凝縮!民泊の消防安全対策、これだけは押さえよう

消防庁資料をギュッと凝縮!民泊の消防安全対策、これだけは押さえよう

1.はじめに:民泊運営者が知るべき消防安全対策の基本

近年、多様な宿泊ニーズに応える形で民泊の利用が広がっています。しかし、その運営において最も重要視すべきは、宿泊者の安全確保です。万が一の火災発生時に、宿泊者が安全に避難できるよう、適切な消防安全対策を講じることは、民泊運営者の責務といえます。

消防庁からは、民泊運営者向けの複数のリーフレットが公開されており、消防法令上の取扱い、必要な設備の設置、そして運営上の注意点などが具体的に示されています。これらの情報を正しく理解し、ご自身の物件に適用することは、安全な民泊運営の第一歩です。

本記事では、消防庁が提供するこれらのリーフレットの内容を基に、民泊運営者が最低限押さえておくべき消防安全対策のポイントを簡潔にまとめました。

具体的には、

  • 宿泊施設の区分
  • 設置義務のある消防用設備
  • 緊急時の対応
    といった項目について解説します。

民泊を始める前、あるいはすでに運営されている方も、本記事を通じてご自身の物件の安全対策を再確認し、安心して利用できる環境を提供できるよう努めましょう。

2.民泊に適用される消防法令のポイント

(1)宿泊施設の区分と法令上の位置づけ

民泊施設は、消防法令上、その規模や形態によって異なる区分に位置づけられ、それぞれに求められる消防安全対策が異なります。

まず、民泊は大きく分けて以下の3つの法律に基づき運営されています。

  • 住宅宿泊事業法(新法民泊):年間180日以内の運営
  • 旅館業法(簡易宿所など):年間180日を超える運営や、ホテル・旅館に近い形態
  • 国家戦略特別区域法(特区民泊):特定の地域で2泊3日以上の宿泊

これらの法律に基づき運営される民泊施設は、消防法令上、「ホテル・旅館等」として取り扱われることが基本です。特に、不特定多数の人が宿泊する施設として、消防法施行令別表第一(5)項イ(旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの)に該当すると判断されるケースが多く、その区分に応じた消防用設備の設置義務などが課せられます。

(2)消防用設備の設置義務

民泊施設は、消防法令上、その規模や形態によって旅館やホテルと同様の「特定防火対象物」として扱われ、消防用設備の設置が義務付けられています。

具体的な設置義務は以下の通りです。

  • 自動火災報知設備(自火報)
  • 消火器
  • 誘導灯・避難口表示
設備の種類設置対象
自動火災報知設備延べ面積にかかわらず基本的に必要
消火器すべての民泊施設に設置義務
誘導灯・避難口表示避難経路や非常口の明示に必要

これらの設備は、火災発生時に宿泊者の安全を確保し、被害を最小限に抑えるために不可欠です。既存の住宅を民泊に転用する場合でも、これらの設備の設置は必須となりますので、事前に確認し、必要に応じて改修を行う必要があります。適切な設置と維持管理が、安全な民泊運営の基盤となります。

(3)防火管理体制の整備

民泊施設では、消防用設備の設置だけでなく、火災発生時の適切な対応を可能にする防火管理体制の整備も重要です。これは、宿泊者の安全を確保し、被害を最小限に抑えるためのものです。

具体的には、以下の点に留意しましょう。

  • 防火管理者選任の要否
    • 宿泊施設の用途に供する部分の延べ面積が300平方メートル以上の場合は、防火管理者の選任が義務付けられます。
    • 300平方メートル未満の場合でも、自主的な防火管理体制の確立が推奨されます。
  • 消防計画の作成
    • 防火管理者を選任した場合は、消防計画を作成し、所轄の消防署に届け出る必要があります。
    • 消防計画には、火災予防対策、避難訓練の実施、消防用設備の点検方法、緊急時の連絡体制などを盛り込みます。
  • 日常の防火管理
    • 避難経路の確保、整理整頓、火気使用設備の適切な管理など、日々の防火対策を徹底しましょう。
    • 宿泊者への避難経路や非常口、消火器の設置場所に関する情報提供も、重要な防火管理の一環です。

これらの体制を整えることで、万が一の事態にも迅速かつ適切に対応し、宿泊者の安全を守ることができます。

3.必ず設置すべき消防用設備と器具

(1)自動火災報知設備(自火報)

民泊施設では、火災の発生を早期に察知し、宿泊者に知らせるための自動火災報知設備(自火報)の設置が義務付けられています。これは、宿泊施設の特性上、就寝中の宿泊者が多いため、迅速な避難を促す上で極めて重要です。

設置義務の有無や規模は、施設の延べ面積や構造によって異なります。例えば、延べ面積が300㎡以上の施設には原則として自火報の設置が必要です。また、面積が300㎡未満であっても、特定の条件(例:避難が困難な構造)によっては設置が求められる場合があります。

一般的な設置場所は以下の通りです。

  • 感知器:居室、廊下、階段、台所など、火災が発生する可能性のある全ての場所に設置します。
  • 受信機:管理者が常駐する場所など、火災信号を確実に確認できる場所に設置します。

設置に際しては、消防法に基づいた適切な機種選定と専門業者による工事が不可欠です。既存の住宅を民泊に転用する場合も、必ず消防法令に適合する自火報を設置してください。未設置や不備がある場合、火災時の安全確保ができないだけでなく、法令違反となりますのでご注意ください。

(2)消火器

民泊施設には、初期消火のために消火器の設置が義務付けられています。設置する消火器の種類や必要個数は、建物の延べ面積や構造によって異なりますが、一般的には粉末消火器が広く用いられます。

【設置のポイント】

  • 適正な種類と能力単位: 建物規模に応じた適切な能力単位を持つ消火器を選定します。
  • 設置場所: 誰もがすぐに使えるよう、廊下や階段の踊り場など、見やすく分かりやすい場所に設置します。
  • 設置個数: 延べ面積150㎡以上の建物では、歩行距離20mごとに1個以上設置することが目安となります。
  • 表示: 消火器の周囲には、それが消火器であることを示す標識を掲示します。

【消火器の維持管理】

項目内容
点検半年に一度、外観や圧力計の確認、本体の損傷がないかなどを自主的に点検します。
専門業者点検定期的に専門業者による点検を受け、消火器の性能が維持されているか確認します。
交換製造年からの有効期限(一般的に8~10年)を過ぎたものや、点検で異常が発見された場合は速やかに交換します。

宿泊者が万が一の火災に遭遇した際、安全に初期消火ができるよう、適切に消火器を設置し、常に使用可能な状態に保つことが重要です。

(3)誘導灯・避難口表示

民泊施設では、火災時に宿泊者が安全に避難できるよう、誘導灯や避難口表示の設置が義務付けられています。これらは、停電時でも機能し、避難経路や非常口の位置を明確に示す重要な設備です。

設置のポイント

  • 避難口誘導灯: 非常口の上部に取り付け、出口の場所を示します。
  • 通路誘導灯: 避難経路の廊下や通路に設置し、避難方向を案内します。

規模や構造によっては、設置が不要な場合もありますが、以下の基準が目安となります。

施設の種類避難口誘導灯通路誘導灯
簡易宿所原則必要原則必要
住宅宿泊事業(民泊新法)原則不要(※)原則不要(※)

※「住宅宿泊事業」においても、地下室や窓のない居室がある場合、避難経路が複雑な場合など、状況によっては設置が必要となるケースがあります。また、消防署の指導により追加設置を求められることもありますので、必ず所管の消防署にご確認ください。宿泊者の安全確保のためにも、必要に応じて設置を検討しましょう。

(4)その他、状況に応じて必要な設備

消防法では、建物の規模や構造、宿泊定員などに応じて、自動火災報知設備や消火器の他にも様々な消防用設備の設置が求められます。特に民泊施設においては、以下の設備も状況に応じて必要となる場合があります。

  • 特定小規模施設用自動火災報知設備:
    小規模な施設(延べ面積300㎡未満など)で、自動火災報知設備の設置が義務付けられる場合、特定小規模施設用のもので代替できることがあります。これは、通常の自動火災報知設備に比べて設置が比較的容易で、感知器と警報装置が一体型になっているなどの特徴があります。
  • 避難器具:
    2階建て以上の建物で、避難経路が限定される場合や、宿泊室が2階以上に位置し、かつ非常用進入口が設置されていない場合などには、避難はしごや緩降機といった避難器具の設置が必要になることがあります。
  • 漏電火災警報器:
    電気設備からの出火リスクを低減するため、電気室や変電室が設置されている場合などに必要となることがあります。一般の住宅を転用した民泊では稀ですが、業務用設備を有する施設では考慮が必要です。

これらの設備が必要かどうかは、管轄の消防署による判断が最も重要です。事前に相談し、正確な情報を得て適切な設備を設置することが、安全な民泊運営には不可欠です。

4.火災から宿泊者を守るための具体的な対策

(1)定期的な設備の点検・維持管理

民泊施設に設置された消防用設備は、いざという時に確実に機能するよう、日頃からの適切な点検と維持管理が不可欠です。消防法では、これらの設備の点検・報告が義務付けられています。

点検のポイント:

  • 機器点検(6ヶ月に1回以上):
    • 消火器:圧力計の確認、本体の損傷有無
    • 自動火災報知設備:作動試験、感知器の汚れ確認
    • 誘導灯:点灯確認、バッテリーの異常有無
  • 総合点検(1年に1回以上):
    • 設備全体が総合的に機能するかを確認

これらの点検は、消防設備士または消防設備点検資格者が行うことが望ましいとされています。点検後は、その結果を消防長または消防署長に報告する必要があります。

報告頻度:

施設区分報告頻度
特定防火対象物等1年に1回以上
その他3年に1回以上

点検を怠ると、火災発生時に設備が作動せず、人命に関わる重大な事態を招く可能性があります。また、消防法違反として罰則の対象となる場合もありますので、計画的な点検実施を徹底してください。

(2)宿泊者への安全情報の提供(避難経路、消火器の位置など)

宿泊者の安全を確保するためには、万が一の火災発生時に適切な行動が取れるよう、事前の情報提供が非常に重要です。チェックイン時や室内に掲示するなどして、以下の情報を必ず伝達しましょう。

  • 避難経路の明確化
    • 主要な避難経路と代替経路を分かりやすく図示する
    • 非常口や避難階段の位置を明示する
  • 消防用設備の位置
    • 消火器、自動火災報知設備の押しボタン、誘導灯などの位置を示す
  • 緊急時の連絡先
    • 消防署(119番)への連絡方法
    • 運営者への緊急連絡先

具体的な表示例として、以下のような情報シートを各部屋に備え付けることをお勧めします。

項目表示内容
避難経路図部屋から出口までの経路、非常口、避難階段
消防設備の位置消火器、自動火災報知設備、誘導灯
緊急連絡先119番、運営者連絡先
その他火気使用の注意点など

宿泊者が安心して過ごせるよう、これらの情報は多言語対応も検討すると良いでしょう。

(3)緊急時の連絡体制の確立

万が一の火災発生時に、宿泊者の安全を確保するためには、速やかな連絡体制の確立が不可欠です。以下に示す連絡先を明確にし、いつでも連絡が取れるように準備しておきましょう。

  • 緊急時の連絡先一覧の作成
    • 消防署:119番
    • 運営者自身の連絡先
    • 近隣の緊急連絡先(必要に応じて)
    • 宿泊者への連絡方法(電話番号、メッセージアプリなど)
  • 緊急連絡体制の例
役割連絡先・対応
宿泊者火災発見時、速やかに119番通報、避難誘導に従う
運営者消防署への通報、宿泊者の安否確認、初期対応
管理会社など運営者と連携し、状況に応じて支援

宿泊者には、チェックイン時に緊急連絡先や避難経路とともに、火災発生時の通報方法や連絡体制について口頭や書面で説明し、緊急時にも適切に行動できるよう周知徹底することが重要です。これにより、火災発生時の混乱を最小限に抑え、宿泊者の安全確保に繋がります。

5.消防庁リーフレットから学ぶ!特に重要な注意点

(1)「民泊において消防法令上求められる対応等に係るリーフレット」の要点

このリーフレットは、民泊施設の消防法令上の位置づけと、それに伴う具体的な対応をまとめています。特に重要なのは、「宿泊施設」としての取り扱いです。

ポイント詳細
区分旅館業法の簡易宿所として扱われる場合が多いです。
消防法宿泊施設は「特定防火対象物」に該当し、一般住宅よりも厳しい消防法令が適用されます。

具体的には、以下の点が求められます。

  • 消防用設備の設置義務: 自動火災報知設備、消火器、誘導灯などの設置が必須となります。延べ面積や収容人数によって、必要な設備の種類や規模が変わります。
  • 防火管理者の選任: 一定規模以上の施設では、防火管理者の選任と消防計画の作成・届出が必要です。
  • 定期点検・報告: 設置した消防用設備は、定期的に点検し、その結果を消防機関に報告する義務があります。

このリーフレットは、民泊を始める前に、ご自身の物件がどの消防法令に該当するのかを確認し、必要な設備や管理体制を整えることの重要性を強調しています。安全な運営のためには、事前の確認と準備が不可欠です。

(2)「民泊における消防法令上の取扱い等に関するリーフレット」の要点

このリーフレットでは、民泊の消防法令上の位置づけを明確にし、必要となる対策を解説しています。特に重要なポイントは以下の通りです。

  • 宿泊施設の区分について
    • 民泊は、旅館業法に基づく施設か、住宅宿泊事業法に基づく施設(いわゆる「民泊」)かによって、消防法令上の取扱いが異なります。
    • 一般的に、宿泊者が不特定多数となる民泊は、旅館やホテルと同様の消防安全対策が求められるケースが多いです。
  • 「特定防火対象物」に該当する可能性
    • 民泊を行う建物は、消防法上の「特定防火対象物」(例:ホテル、旅館、共同住宅の一部など)に該当する場合があります。
    • 特定防火対象物に該当すると、自動火災報知設備や屋内消火栓設備など、より高度な消防用設備の設置が義務付けられることがあります。
  • 義務付けられる主な消防用設備
    • 延べ面積や階数、収容人数によって、設置すべき消防用設備は細かく定められています。
    • 特に、以下の設備の設置は必須となるケースが多いです。
設備の種類概要
自動火災報知設備火災を早期に感知し、警報を発する
消火器初期消火に使用する
誘導灯・避難口表示避難経路を示す

ご自身の民泊施設がどの区分に該当し、どのような設備が必要か、必ず地域の消防署に確認することが重要です。

(3)「民泊における消防用設備の設置に関するリーフレット」の要点

このリーフレットは、民泊施設に求められる具体的な消防用設備について、非常に分かりやすく解説しています。特に重要なポイントは以下の通りです。

1. 設置義務の判断基準
建物の構造や規模、宿泊者の収容人数によって設置すべき設備が変わります。消防法上の「特定防火対象物(旅館・ホテル等)」に該当するかどうかが大きな分かれ目となります。

2. 必要な主要設備

  • 住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)の場合:
    • 自動火災報知設備(特定小規模施設用自動火災報知設備を含む)
    • 消火器
    • 誘導灯(避難口誘導灯・通路誘導灯)
    • 非常放送設備(規模による)
  • 簡易宿所として許可を得ている場合:
    • 上記に加え、スプリンクラー設備や屋内消火栓設備など、より高度な設備が求められることがあります。

3. 既存建物の特例
既存の住宅を民泊に転用する場合、一定の条件を満たせば、通常の旅館・ホテルに比べて緩和された基準が適用される場合があります。しかし、安全確保の観点から、自動火災報知設備や消火器の設置は必須とされています。

4. 設置後の維持管理
設置した設備は、定期的な点検と適切な維持管理が義務付けられています。設備の不備は、火災時の被害を拡大させる原因となるため、日頃からの確認が不可欠です。

(4)「「民泊サービス」を提供する場合の注意喚起リーフレット」の要点

このリーフレットは、民泊サービス提供者に対し、特に火災予防と安全確保の重要性を喚起するものです。

特に注意すべき点

  • 無許可の宿泊施設は違法です
    • 旅館業法の許可、住宅宿泊事業法の届出、特区民泊の認定のいずれかが必要です。
    • 消防法令も適用されるため、必要な設備設置や届出が求められます。
  • 火災予防の徹底
    • 火を使用する設備器具(コンロ、暖房器具など)の取扱いに十分注意してください。
    • 就寝前に火の確認を徹底するよう、宿泊者にも促しましょう。
  • 宿泊者の安全確保
    • 避難経路の確保、避難経路図の掲示は必須です。
    • 消火器や自動火災報知設備の設置・維持管理を怠らないでください。

もしもの時に備えて

項目内容
避難経路の明示災害時の避難経路を明確にし、宿泊者に周知します。
緊急連絡先消防署や警察、近隣住民などの連絡先をリストアップします。

民泊は宿泊者の命を預かる事業です。法令遵守はもちろんのこと、万が一の事態に備えた安全対策を講じることが最も重要です。

6.よくある疑問とQ&A

(1)既存住宅を民泊にする場合の注意点は?

既存の住宅を民泊として活用する際には、特に注意が必要です。戸建住宅やマンションの一室を民泊に転用する場合、用途が「住宅」から「宿泊施設」へ変更されるため、消防法令上の義務が大幅に変わります。

主な注意点は以下の通りです。

  • 用途変更に伴う消防設備の義務化:
    これまでは不要だった自動火災報知設備や誘導灯などの設置が義務付けられるケースが多くあります。特に、延べ面積や階層によって設置基準が異なるため、専門家への相談が不可欠です。
  • 既存不適格の解消:
    古い建物の場合、現在の消防法令の基準を満たしていない「既存不適格」となっている可能性があります。民泊として利用するには、これらの不適格箇所を解消し、現行基準に適合させるための改修が必要となる場合があります。
  • 管轄消防署への確認:
    具体的な対応については、必ず管轄の消防署に事前相談を行い、指導を受けるようにしてください。個別の物件状況によって必要な措置が異なるため、最も確実な方法です。
チェック項目内容
用途変更の確認住宅から宿泊施設への用途変更に伴う法的義務の発生
消防設備の設置基準延べ面積、階層に応じた自動火災報知設備、誘導灯などの設置要否
既存不適格の改修要否既存建物の現状が現在の消防法令基準を満たしているかの確認と対応
消防署への事前相談個別物件に応じた具体的な指導の確認

これらの点を踏まえ、安全な民泊運営を目指しましょう。

(2)消防署への届け出は必要?

民泊を始める際は、消防署への届け出が原則として必要です。旅館業法に基づく簡易宿所として許可を得る場合や、住宅宿泊事業法に基づく届出を行う場合など、民泊の運営形態によって手続きは異なりますが、消防法上の手続きは共通して求められることが多いです。

特に、以下のような場合は所轄の消防署への届け出が必須となります。

  • 消防用設備等設置計画の届出:
    自動火災報知設備などの消防用設備を設置・改修する際に必要です。
  • 防火対象物使用開始届:
    新たに建物を民泊として使用開始する際に提出します。
  • 防火管理者選任(解任)届出書:
    一定規模以上の民泊で防火管理者を選任した場合に必要です。
届け出の種類概要
消防用設備等設置計画届出書消防設備の設置・変更前に提出
防火対象物使用開始届民泊として利用開始する際に提出

届出を怠ると消防法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。必ず事前に所轄の消防署に相談し、必要な届け出を確認してください。また、届け出た内容が消防法令の基準に適合しているか、消防検査が行われることもありますので、準備を怠らないようにしましょう。

(3)違反した場合の罰則は?

民泊施設が消防法令に違反した場合、運営者には厳しい罰則が科される可能性があります。これは、宿泊者の安全を確保するために非常に重要な規定です。

主な罰則は以下の通りです。

  • 消防用設備の未設置・不備
    • 消防用設備の設置義務があるにもかかわらず設置しなかったり、維持管理を怠り機能不全に陥らせたりした場合、消防法違反となり、懲役または罰金が科せられる可能性があります。
    • 具体的な罰則は、違反内容の重大性によって異なりますが、例えば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」といった規定があります。
  • 立入検査拒否・虚偽報告
    • 消防機関による立入検査を拒否したり、質問に対して虚偽の報告を行ったりした場合も、罰則の対象となります。
  • 改善命令違反
    • 消防署から改善命令が出されたにもかかわらず、これに従わずに放置した場合、より重い罰則が適用されることがあります。
違反の種類罰則例
設備未設置・不備1年以下の懲役または100万円以下の罰金など
立入検査拒否・虚偽報告30万円以下の罰金など
改善命令不履行状況により罰則が加重される可能性あり

これらの罰則は、単に金銭的な負担だけでなく、民泊運営の継続自体が困難になる可能性もあります。何よりも、火災発生時の人命に関わる重大な問題であるため、法令遵守は徹底して行う必要があります。

7.まとめ:安全な民泊運営のためのチェックリスト

安全で安心な民泊運営のために、これまでの内容を踏まえたチェックリストで最終確認を行いましょう。

項目チェック
消防用設備の設置状況確認
定期点検の実施と記録
宿泊者への安全情報提供
緊急連絡体制の確立
消防署への必要な届出完了

特に以下の点は重要です。

  • 自動火災報知設備(自火報)の設置:宿泊施設の用途区分により義務付けられる場合が多いです。
  • 消火器の設置と場所の明示:万が一の初期消火に備え、誰もが使える場所に設置しましょう。
  • 避難経路の確保と表示:宿泊者が迷わず避難できるよう、明確な表示と障害物のない経路を維持してください。
  • 定期的な設備点検:設備の機能を常に維持するため、専門業者による点検を忘れずに行いましょう。

これらの対策を徹底することで、宿泊者の安全を守り、安心して民泊サービスを提供できます。消防法令を遵守し、健全な運営を心がけましょう。

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