宿泊コラム

民泊の宿泊者向け契約書は必須!無料テンプレートとトラブル回避のポイント

民泊の宿泊者向け契約書は必須!無料テンプレートとトラブル回避のポイント

1. はじめに:なぜ民泊運営に宿泊者との契約書が必要なのか?

民泊運営において、宿泊者との契約書は単なる形式的な書類ではありません。安心・安全な運営を実現し、オーナー様と宿泊者の双方を守るために非常に重要な役割を果たします。

近年、民泊は手軽な宿泊手段として人気を集めていますが、それに伴いトラブルも増加傾向にあります。例えば、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 宿泊者による器物損壊や盗難
  • 騒音問題やゴミの不法投棄による近隣住民とのトラブル
  • 予約内容と実際の利用状況の食い違い
  • 緊急時の連絡不備

このような予期せぬ事態が発生した際、書面による契約書がないと、責任の所在や対応方法が曖昧になり、解決が困難になるケースが少なくありません。

契約書は、事前にルールや取り決めを明確にし、トラブル発生時の証拠となるとともに、法的な根拠に基づいた解決を助ける強力なツールとなります。次の章では、民泊における契約の法的背景について詳しく解説いたします。

2. 民泊における宿泊者との契約の法的根拠と種類

(1) 住宅宿泊事業法(民泊新法)における位置づけ

民泊運営において宿泊者との契約書は、住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)によって直接的に義務付けられているわけではありません。しかし、同法は事業者に対し、宿泊者の安全確保や周辺地域への配慮、適切な情報提供などを求めており、これらの義務を果たす上で契約書は非常に有効なツールとなります。

具体的には、以下の点が挙げられます。

  • 宿泊者への情報提供義務:
    • 施設の利用ルール
    • 緊急時の連絡先
    • その他、安全衛生に関する事項

これらの情報は、契約書や利用規約に明記することで、宿泊者への周知を徹底できます。

項目契約書の役割
トラブル防止ルールを明確にし、相互理解を促進
法的根拠万が一の損害賠償請求時に証拠となる
事業者保護予期せぬ事態から事業者を守る

このように、契約書は民泊新法の趣旨に沿った適切な運営をサポートし、事業者と宿泊者双方にとって安心・安全な取引環境を構築するために不可欠なものと言えるでしょう。

(2) 簡易宿所、特区民泊との違い

民泊と一口に言っても、適用される法律によって契約の考え方が異なります。

種類根拠法主な特徴契約の考え方
住宅宿泊事業(民泊新法)住宅宿泊事業法年間180日以内の営業制限あり。一般の住宅を使用。宿泊者との契約書は任意ですが、トラブル防止のため推奨されます。
簡易宿所旅館業法ホテルや旅館に近い営業形態。宿泊施設としての許可が必要。原則として旅館業法の約款(利用規約)に基づき、契約が成立します。書面交付は必須ではありませんが、掲示が義務付けられています。
特区民泊国家戦略特別区域法特定の地域(特区)に限定。2泊3日以上の宿泊が条件。施設ごとに条例で定められたルールに基づく契約が必要です。書面での契約締結が推奨されます。

このように、住宅宿泊事業は他の形態と異なり、宿泊者との契約書作成が法的に義務付けられているわけではありません。しかし、トラブルを未然に防ぎ、双方の権利と義務を明確にするためには、契約書を交わすことが非常に重要となります。

(3) 宿泊者との契約の法的性質

民泊における宿泊者との契約は、法的には「賃貸借契約」または「混合契約」に分類されることが一般的です。

  • 賃貸借契約としての側面
    宿泊者は一定期間、施設を占有し、対価として宿泊料を支払います。これは民法上の賃貸借契約の要件を満たしています。特に、単に部屋を貸し出すだけでなく、設備やサービスも提供する場合が多く、旅館業法における「宿泊」とは性質が異なります。
  • 混合契約としての側面
    単なる場所の提供だけでなく、清掃、リネン交換、アメニティ提供、緊急時の対応など、様々なサービスが含まれるため、賃貸借契約にサービス提供契約が組み合わさった「混合契約」と解釈されることもあります。
契約の種類主な要素
賃貸借契約施設利用の権利、期間、賃料の支払い
サービス提供清掃、アメニティ、緊急対応、情報提供など

いずれの解釈であっても、契約書を締結することで、双方の権利義務を明確にし、トラブル発生時の解決基準を設けることが可能です。これにより、運営者と宿泊者の間の予期せぬ紛争を未然に防ぎ、安心して利用できる環境を提供できます。

3. 宿泊者向け契約書に盛り込むべき重要項目

(1) 契約当事者と物件情報の明確化

宿泊者との間でトラブルを未然に防ぐため、契約書には「誰が、どの物件を、どのような条件で利用するのか」を明確に記載することが不可欠です。

具体的には、以下の項目を盛り込みましょう。

  • 契約当事者
    • 運営者情報: 運営者名(法人名または個人名)、住所、連絡先
    • 宿泊者情報: 宿泊代表者の氏名、住所、連絡先、宿泊人数(大人・子供の内訳)
      • ※本人確認書類の提示を求める旨も記載すると良いでしょう。
  • 物件情報
    • 物件名称: 施設名や物件の通称
    • 所在地: 正確な住所(建物名、号室まで)
    • 宿泊施設の種類: 住宅宿泊事業法に基づく届出番号(民泊新法の場合)など
項目記載内容の例
運営者氏名株式会社〇〇
宿泊者氏名山田 太郎
物件所在地東京都〇〇区〇〇1-2-3 〇〇ハイツ101号室
届出番号M〇〇〇〇〇〇〇〇

これらの情報を明確にすることで、万が一の事態が発生した際に、責任の所在や連絡先がすぐに分かり、円滑な解決に繋がります。

(2) 宿泊期間、料金、支払方法に関する事項

宿泊契約書では、宿泊の根幹をなす期間、料金、支払いに関する詳細を明確に定めることが不可欠です。これにより、誤解を防ぎ、スムーズな取引を促進できます。

盛り込むべき主要項目

  • 宿泊期間: チェックイン日時からチェックアウト日時までを具体的に記載します。
    • 例:2024年7月1日(月)15:00 ~ 2024年7月3日(水)10:00
  • 宿泊料金: 総額、内訳(宿泊費、清掃費、サービス料など)を明確にします。
  • 支払方法: 支払い期日、利用可能な決済手段(クレジットカード、銀行振込、現金など)を明記します。また、キャンセルポリシーや返金条件もこの項目に関連付けて記載することが一般的です。

料金表示の例

項目金額備考
宿泊費1泊〇〇円
清掃費〇〇円
合計〇〇円消費税込み

これらの情報を明確にすることで、宿泊者との間で料金に関するトラブルを未然に防ぎ、透明性の高い運営を実現できます。キャンセルポリシーについても、支払い条件の一部として具体的に記述し、宿泊者に事前に理解を促すことが重要です。

(3) 利用規約:施設利用、禁止事項、損害賠償

宿泊者向け契約書では、民泊施設を適切に利用してもらうための利用規約を明確に定めることが極めて重要です。これにより、トラブルを未然に防ぎ、万が一の事態にもスムーズに対応できます。

【盛り込むべき主な項目】

  • 施設利用に関する事項
    • チェックイン・チェックアウト時間
    • 定員に関する規定
    • 調理器具や家電の使用方法
    • 設備・備品の破損時の報告義務
  • 禁止事項
    • 喫煙(指定場所以外)
    • ペットの持ち込み
    • 騒音、近隣への迷惑行為
    • 未成年者のみの宿泊(保護者同意の有無)
    • 施設内での違法行為
    • 無断での宿泊者以外の立ち入り
  • 損害賠償に関する事項
    • 宿泊者の故意または過失による施設・備品の破損、汚損に対する賠償責任
    • 賠償額の算定方法
    • 鍵の紛失時の費用負担

これらの項目は、宿泊者が安心して利用できる環境を提供するとともに、運営者側のリスクを軽減するために不可欠です。特に、損害賠償については具体的な基準を設けることで、後の紛争を防ぐことができます。

(4) 鍵の受け渡しと返却方法

宿泊者との契約書では、鍵の受け渡し方法と返却方法を明確に記載することが重要です。これにより、チェックイン・チェックアウト時のスムーズな運用と、鍵の紛失や盗難といったトラブルの防止につながります。

具体的な記載事項としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 受け渡し方法
    • 対面での受け渡し(ホストまたは管理会社による)
    • スマートロック、キーボックスなど非対面での受け渡し(暗証番号、アクセスコードの通知方法)
    • 指定場所での受け渡し(コンビニ、宅配ロッカーなど)
  • 返却方法
    • チェックアウト時の指定場所への返却(キーボックス、郵便受けなど)
    • 対面での返却
    • 郵送による返却(切手代の負担者など)

万が一の鍵の紛失・破損に備え、以下の事項も盛り込むと良いでしょう。

項目内容
紛失・破損時弁償費用(例:〇円)、対応窓口の連絡先
返却遅延時追加料金の発生有無、その金額

また、スマートロックなどの場合は、利用できる期間や時間帯、操作方法なども簡潔に記載することで、宿泊者の利便性を高めることができます。これらの情報を具体的に明記することで、鍵に関する無用な誤解やトラブルを未然に防ぐことが可能です。

(5) 緊急時、トラブル発生時の対応

民泊運営において、緊急事態や予期せぬトラブルは発生し得るものです。契約書にこれらの対応方法を明記しておくことで、宿泊者と運営者双方の混乱を防ぎ、スムーズな解決を促すことができます。

具体的には、以下のような項目を盛り込むと良いでしょう。

  • 緊急連絡先:
    • 運営者または管理会社の連絡先(電話番号、メールアドレス)
    • 緊急時の連絡手段(例:夜間は電話のみ)
    • 警察、消防、救急の連絡先
  • 緊急時の行動指針:
    • 火災、地震、水漏れなどの具体的な対応手順
    • 避難経路の案内(避難場所、非常口の表示)
    • 緊急時持ち出し品の有無と場所
  • トラブル発生時の対応フロー:
    • 鍵の紛失、設備の故障、近隣トラブルなどの報告方法
    • 報告を受けた後の運営者の対応時間、対応内容
    • 損害が発生した場合の責任分担や修繕費用に関する取り決め
トラブルの種類報告先報告方法対応時間
鍵の紛失運営者電話/メッセージ24時間対応
設備故障運営者電話/メッセージ9:00-18:00

これにより、万が一の事態にも宿泊者が冷静に対応でき、運営者も迅速なサポートを提供することが可能になります。

(6) 個人情報の取り扱い

宿泊者との契約書では、個人情報の適切な取り扱いについても明確に記載することが重要です。民泊運営者は、宿泊者の氏名、住所、連絡先などの個人情報を取得しますが、これらは個人情報保護法に基づき厳重に管理しなければなりません。

契約書に盛り込むべき主な項目は以下の通りです。

  • 利用目的の明示
    • 宿泊予約の管理
    • 本人確認(住宅宿泊事業法に基づく)
    • 緊急時の連絡
    • サービス提供に必要な範囲
  • 第三者提供の制限
    • 原則として本人の同意なく第三者には提供しない旨
    • 法令に基づく場合や、国の機関等からの要請がある場合を除く
  • 安全管理措置
    • 個人情報の漏洩、紛失、改ざん防止のための対策
    • 適切な管理体制の構築

例えば、以下のように表形式で示すことも有効です。

項目内容
取得する情報氏名、住所、連絡先、身分証明書情報など
利用目的宿泊管理、本人確認、緊急連絡など
管理方法厳重なアクセス制限、暗号化など
第三者提供原則なし(法令に基づく場合を除く)

これらの記載により、宿泊者も安心して情報を提供でき、運営者も法的なリスクを低減できます。

4. 宿泊者向け契約書のテンプレート入手先と活用方法

(1) 無料で入手できるテンプレートの種類

民泊の宿泊者向け契約書のテンプレートは、オンライン上でいくつか無料で入手可能です。主な入手先としては、以下のものが挙げられます。

  • 行政機関・関連団体のウェブサイト
    • 国土交通省や観光庁の関連ページ、民泊関連の事業者団体などが、参考となるひな形を公開している場合があります。これらは法的な要件を満たしていることが期待できます。
  • 法律事務所や行政書士事務所のウェブサイト
    • 民泊関連の法務サービスを提供している事務所が、集客の一環として無料のテンプレートを提供していることがあります。専門家が作成しているため、信頼性が高い傾向にあります。
  • 不動産関連のポータルサイトやブログ
    • 民泊運営に関する情報を提供するウェブサイトやブログで、運営者が作成した契約書のひな形がダウンロードできることがあります。

これらのテンプレートは、基本的な項目が網羅されており、初めて契約書を作成する方にとっては非常に役立ちます。

テンプレートの種類特徴
行政・団体系法的信頼性が高く、基本的な内容を網羅。
法律・行政書士系専門家の知見が反映され、実務に即している。
ポータル・ブログ系手軽に入手でき、様々な形式がある。

ただし、これらのテンプレートはあくまで一般的なひな形であり、個々の民泊物件の状況や運営方針に合わせてカスタマイズが必要です。

(2) テンプレート利用時の注意点とカスタマイズの必要性

無料で入手できる契約書のテンプレートは、あくまで汎用的なひな形です。そのまま利用するのではなく、ご自身の民泊運営に合わせて必ずカスタマイズする必要があります。

特に以下の点に注意し、修正・追記を加えてください。

  • 物件固有の情報:
    • 住所、部屋番号、間取り
    • 駐車場利用の有無、アメニティ詳細
    • 鍵の受け渡し方法(スマートロック、対面など)
  • 運営方針:
    • チェックイン・アウト時間厳守の可否
    • 喫煙、ペット、パーティーに関する具体的な禁止事項
    • ゴミの分別方法や排出場所
    • 近隣住民への配慮事項
  • 緊急連絡先:
    • 運営者、緊急連絡先
    • トラブル発生時の連絡フロー
項目テンプレートの注意点カスタマイズの必要性
利用規約一般的な事項のみ具体的な禁止行為、損害賠償額、違約金の設定
個人情報取得目的や管理方法の記載が不足しがち取得目的、利用範囲、保管方法、廃棄方法の明記
免責事項運営者に有利な内容が欠けている場合がある災害時、不可抗力による損害の免責範囲を明確化する

テンプレートをそのまま使用すると、実際のトラブル発生時に法的拘束力が弱まる可能性があります。また、民泊新法など関連法規の改正にも注意し、常に最新の情報を反映させることが重要です。不明な点は専門家へ相談することをおすすめします。

(3) 専門家への相談のメリット

民泊運営における宿泊者向け契約書は、トラブルを未然に防ぎ、安心して事業を行う上で非常に重要です。しかし、インターネット上で入手できるテンプレートはあくまで一般的なものであり、個々の物件の特性や運営状況、地域の条例など、多岐にわたる要素を完全に網羅しているとは限りません。

そこで、専門家へ相談することには以下のような大きなメリットがあります。

  • 法的リスクの低減
    • 弁護士:最新の法令や判例に基づき、違法性のない適切な契約内容をアドバイスしてくれます。
    • 行政書士:民泊新法など関連法令に準拠した書類作成をサポートしてくれます。
  • 個別事情への対応
    • 物件の立地、構造、周辺環境に合わせた特約事項の追加など、オーダーメイドの契約書作成が可能です。
    • 特定のトラブル事例に基づいた、より実践的な条項の検討も行えます。
  • 安心感の向上
    • 専門家が作成・監修した契約書は、運営者だけでなく宿泊者にとっても信頼性が高く、予期せぬ事態への対応を明確にできます。
専門家主な相談内容
弁護士法令解釈、トラブル対応、損害賠償請求など
行政書士書類作成、許認可申請、契約書のリーガルチェックなど

初期費用はかかりますが、将来的なトラブルによる損失や精神的負担を考慮すると、専門家への投資は非常に有効なリスクヘッジと言えるでしょう。

5. 契約書でトラブルを未然に防ぐためのポイント

(1) 事前説明の徹底と書面による確認

トラブルを未然に防ぐためには、宿泊前の「事前説明」と、その内容を「書面で確認」してもらうことが非常に重要です。口頭での説明だけでは、認識のずれが生じやすく、後々のトラブルの原因となる可能性があります。

特に、以下の点については書面での確認を徹底しましょう。

  • 利用規約の主要項目
    • 騒音に関する注意
    • ゴミの分別・出し方
    • 禁煙などのハウスルール
    • 鍵の受け渡し・返却方法
  • 緊急連絡先
  • 損害賠償に関する取り決め

チェックイン時や予約確認の段階で、これらの内容を明記した契約書や利用規約を提示し、宿泊者に目を通してもらい、同意の署名または電子的な同意を得るのが理想的です。特に外国籍の宿泊者の場合は、多言語対応の書面を用意するとよりスムーズです。

書面で残すことで、万が一トラブルが発生した際にも、契約内容に基づいた冷静な対応が可能となり、運営者の法的立場を保護することにも繋がります。

(2) 近隣住民への配慮と騒音・ゴミ問題対策

民泊運営において、近隣住民とのトラブルは避けたい事態です。契約書で宿泊者に近隣住民への配慮を義務付けることで、未然に多くの問題を防ぐことができます。

具体的には、以下の点を明記しましょう。

  • 騒音対策
    • 夜間(例:22時~翌7時)の騒音禁止
    • パーティーや大声での会話の制限
    • 共用部での静粛の義務付け
  • ゴミの出し方
    • 自治体のルールに従った分別と収集日の厳守
    • 指定された場所への排出の徹底
    • 室内にゴミを残さないことの義務付け
対策項目具体的な内容
玄関・共用部大きな声での会話、長時間の滞留を禁止します。
喫煙施設内・周辺での喫煙を禁止します。

これらのルールを契約書に明記し、チェックイン時にも改めて口頭で説明することで、宿泊者の理解を深め、近隣トラブルのリスクを大幅に軽減することが可能です。また、外国人宿泊者向けには、多言語での案内も有効です。

(3) 損害発生時の具体的な対応フロー

宿泊者が設備を破損したり、物品を紛失したりといった損害が発生した場合に備え、契約書に具体的な対応フローを明記しておくことが重要です。これにより、迅速かつ円滑な解決に繋がります。

損害発生時の対応フロー例:

  1. 速やかな報告義務:
    • 宿泊者は損害発生後、速やかに運営者へ連絡する義務があります。
    • 連絡方法(電話、メッセージアプリなど)も明記しておくと良いでしょう。
  2. 状況確認と証拠保全:
    • 運営者は報告を受け次第、損害状況を確認します。
    • 写真や動画で証拠を記録することが重要です。
  3. 損害額の算定と請求:
    • 修繕費用や買い替え費用を見積もり、損害額を算定します。
    • 宿泊者に対し、具体的な費用を提示し、請求を行います。
  4. 支払い方法と期限:
    • 損害賠償金の支払い方法(銀行振込など)と期日を定めます。
ステップ内容備考
1宿泊者からの報告発生後〇時間以内
2運営者による確認写真・動画撮影
3損害額の提示修繕見積もり等に基づく
4支払い期日までに指定口座へ

万が一、損害賠償の支払いに応じない場合の法的措置についても、簡潔に触れておくことで、トラブルの抑止力となります。

(4) 保険加入によるリスクヘッジ

民泊運営において、どれだけ契約書でリスクを低減しても、予期せぬトラブルや損害が発生する可能性はゼロではありません。万が一の事態に備え、適切な保険に加入することは、トラブル発生時の金銭的負担を軽減し、安心・安全な運営を継続するために非常に重要です。

特に検討すべき保険の種類は以下の通りです。

  • 施設賠償責任保険:宿泊者の怪我や、宿泊者が物件内で第三者に損害を与えた場合の賠償責任をカバーします。
  • 家財保険(火災保険):宿泊者による器物損壊や火災など、物件や家財への損害を補償します。

多くの保険会社が民泊運営者向けの特約や専用プランを提供していますので、ご自身の物件や運営形態に合った保険を選びましょう。

保険の種類補償内容の例
施設賠償責任保険宿泊者が階段で転倒し負傷した場合の治療費
家財保険(火災保険)宿泊者が誤ってテレビを破損した場合の修理・買い替え費用

保険は、契約書と並ぶ「守りの要」として、民泊運営のリスクヘッジに大きく貢献します。加入を検討する際は、複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容を比較検討することをおすすめします。

6. まとめ:契約書で安心・安全な民泊運営を

民泊運営において、宿泊者との契約書は単なる形式的な書類ではありません。トラブルを未然に防ぎ、万が一の事態にも冷静かつ適切に対応するための重要なツールです。

契約書を作成し、宿泊者と事前に内容を確認することで、以下のような効果が期待できます。

  • トラブルの抑止:利用規約や禁止事項を明確にすることで、宿泊者の不適切な行動を抑制します。
  • 責任範囲の明確化:損害発生時の賠償責任や緊急時の対応について、双方の認識を一致させます。
  • 法的根拠の確保:万が一の訴訟や紛争に発展した場合の証拠となります。
項目効果
明確なルール設定宿泊者の誤解を防ぎ、スムーズな滞在を促します。
迅速な対応問題発生時に、事前に定めた手順で対処できます。

無料のテンプレートも活用できますが、ご自身の物件や運営スタイルに合わせてカスタマイズし、必要であれば専門家のアドバイスも受けることをお勧めします。契約書を適切に運用することで、オーナー様も宿泊者も安心して民泊を利用できる環境が整い、より良い民泊運営へと繋がるでしょう。

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