宿泊コラム

【民泊開業】許可番号の必要性と取得までのステップを徹底解説

【民泊開業】許可番号の必要性と取得までのステップを徹底解説

1.はじめに:民泊運営における「許可番号」とは?

民泊を運営する際には、その形態によって「許可番号」または「届出番号」の取得が義務付けられています。これは、国や自治体が民泊事業者の情報を把握し、安全かつ適正な運営を確保するために設けられています。

具体的には、主に以下の2つのケースで番号が必要となります。

運営形態根拠法必要な番号
宿泊施設として提供する場合(簡易宿所等)旅館業法営業許可番号
自宅の一部などを有償で提供する場合住宅宿泊事業法(民泊新法)届出番号(受理番号)

これらの番号は、事業者が法的な要件を満たしていることを証明するものであり、旅行者や地域住民からの信頼を得るためにも不可欠です。無許可・無届での運営は、罰則の対象となるため、必ず事前に確認し、必要な手続きを行いましょう。

2.民泊運営で「許可番号」が必要なケースと取得までのステップ

(1)旅館業法に基づく営業許可

民泊の運営形態によっては、旅館業法に基づく営業許可が必要となります。これは、いわゆる「簡易宿所」や「下宿営業」として民泊施設を運営する場合に該当します。無許可での営業は法律違反となり、罰則の対象となるため注意が必要です。

旅館業法に基づく営業許可は、施設の所在地を管轄する保健所(または都道府県知事・政令指定都市の市長)に申請することで取得できます。許可取得の際には、施設の構造設備が公衆衛生や安全衛生に関する基準を満たしているかどうかが厳しく審査されます。

営業許可の種類としては、以下のようなものがあります。

営業許可の種類主な特徴
旅館・ホテル施設全体を宿泊施設として提供
簡易宿所宿泊料を受けて人を宿泊させる施設
下宿営業施設を設け、下宿料を受けて人を宿泊させる

これらの許可を取得することで、一定の条件下で民泊施設を運営することが可能になります。許可番号は、この営業許可証に記載される番号であり、施設の広告や掲示において表示が義務付けられています。

(2)許可取得までの主なステップ

①物件の選定と条件確認

民泊運営の第一歩は、適切な物件の選定と、その物件が民泊運営に適しているかの条件確認です。許可番号の取得は、物件の所在地や用途地域、建物の構造などによって大きく左右されます。

まず、物件が建築基準法や都市計画法などの関連法令に適合しているかを確認する必要があります。例えば、用途地域によっては事業用としての利用が制限されている場合があります。また、建物の耐火構造や避難経路なども、安全基準を満たしているかどうかの重要な確認事項となります。

特に、旅館業法に基づく営業許可を取得する場合、物件の設備基準が細かく定められています。

確認事項詳細
用途地域事業用としての利用が可能か
建築基準法建物の構造、延焼防止、避難規定など
消防法消防設備、避難経路の確保など
衛生基準給排水設備、換気設備など

さらに、マンションなどの集合住宅の場合は、管理規約で民泊運営が禁止されていないかも併せて確認しなければなりません。これらの条件を事前にしっかりと確認することで、後の申請手続きをスムーズに進めることができます。

②必要書類の準備

民泊を運営するためには、自治体へ提出する書類を正確に準備することが不可欠です。旅館業法に基づく営業許可の場合、一般的に以下のような書類が必要となります。

  • 申請者の本人確認書類: 運転免許証やマイナンバーカードなど
  • 物件に関する書類:
    • 建物の登記事項証明書
    • 建物の見取り図、客室の配置図
    • 賃貸物件の場合は、貸主の同意書
  • 事業計画に関する書類:
    • 営業形態(簡易宿所、下宿など)を明記した書類
    • 利用者の安全を確保するための措置を記載した書類(防火管理者選任届など)
書類の種類内容
本人確認書類申請者の公的な身分証明書
物件証明書類建物の所有権や賃借権、構造を示す書類
事業計画書類どのような事業を行うか、安全対策などを具体的に示す書類

これらの書類は、申請先の自治体によって細部が異なる場合があります。そのため、必ず事前に管轄の自治体のウェブサイトで最新の情報を確認し、漏れなく準備を進めることが重要です。不明な点があれば、遠慮なく自治体の担当窓口に問い合わせましょう。

③自治体への申請

民泊の営業許可や住宅宿泊事業の届出を行うには、管轄する自治体への申請が不可欠です。申請先は、物件の所在地を管轄する保健所や都道府県庁、市区町村の担当部署となります。

申請にあたっては、事前に各自治体のウェブサイトなどで必要書類や申請方法を必ず確認しましょう。多くの場合、以下の書類が必要となります。

  • 申請書類: 申請書、事業計画書など
  • 本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカードなど
  • 物件関連書類: 賃貸借契約書、建物の登記簿謄本など
  • その他: 消防計画書、誓約書など

申請方法には、窓口での申請、郵送、オンライン申請など、自治体によって異なります。

申請方法メリットデメリット
窓口申請職員に直接相談できる、不備があればその場で修正できる時間と手間がかかる、混雑することがある
郵送申請時間や場所を選ばない書類の不備に気づきにくい、返送される可能性がある
オンライン申請24時間いつでも申請可能、スピーディー事前のシステム登録が必要な場合がある

申請内容に不備があると、許可や届出が遅れたり、受理されなかったりする場合があります。正確かつ丁寧に書類を作成し、必要書類を漏れなく準備することが重要です。

④審査と現地確認

申請書類の提出後、自治体による審査が開始されます。この審査では、提出された書類の内容が、旅館業法や民泊新法(住宅宿泊事業法)の基準を満たしているかどうかが厳しくチェックされます。

特に、申請した物件が民泊施設としての基準を満たしているかを確認するために、現地調査が行われることが一般的です。この現地確認では、主に以下のような点がチェックされます。

チェック項目詳細
施設の安全性消防設備(消火器、火災報知器など)の設置状況、避難経路の確保状況
衛生管理トイレ、浴室、寝室などの清潔さ、換気状況
騒音・迷惑防止措置近隣住民への配慮がなされているか
その他法令遵守事項建築基準法、都市計画法など、関連する法令への適合性

現地確認の結果、不備が見つかった場合には、改善を求められることがあります。改善が完了し、再度確認が行われる場合もあります。この審査と現地確認を無事に通過することで、許可証の交付、または届出受理へと進むことになります。

⑤許可証の交付(許可番号の発行)

申請書類の審査が完了し、保健所などの行政機関による現地確認も問題なく通過すると、いよいよ許可証の交付へと進みます。この許可証には、旅館業法に基づく営業を行う上で不可欠となる「許可番号」が記載されています。

許可番号は、民泊施設が法的に認められた営業許可を得ていることを証明するもので、以下のような形式で発行されるのが一般的です。

許可の種類許可番号の例
旅館業○○県(市)指令 ○○第○○○○号
住宅宿泊事業○○県(市)指令 ○○ ○○ 第○○○○号

この許可番号は、広告やウェブサイト、現地での掲示など、様々な場面で表示が義務付けられています。取得した許可証は大切に保管し、記載されている許可番号を正確に把握しておくことが重要です。許可番号は、施設が適法に運営されている証であり、利用者からの信頼を得るためにも、その意味合いを理解しておく必要があります。

(3)知っておきたい注意点

民泊の運営形態によって、「許可番号」の取得方法や、そもそも許可番号が必要かどうかが異なります。ご自身の運営したい民泊がどの法律に基づいているのかを正しく理解することが重要です。

  • 旅館業法に基づく許可: ホテルや旅館と同様の営業許可が必要な場合です。これは、施設を「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」とみなされる場合に該当します。許可番号は、申請した自治体から交付されます。
  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出: これは、空き家や空き部屋などを活用し、年間180日を超えない範囲で宿泊サービスを提供する事業です。この場合、許可ではなく「届出」を行い、受理されると「届出番号」が通知されます。

どちらの制度が適用されるかによって、必要な手続きや準備する書類、そして取得する番号の種類が変わってきます。例えば、住宅宿泊事業法の場合、年間180日という制限があるため、それを超えて運営する場合は旅館業法に基づく許可が必要になります。

制度の種類必要な手続き取得する番号
旅館業法に基づく営業許可許可許可番号
住宅宿泊事業法に基づく届出届出届出番号

ご自身の計画に合った制度を確認し、適切な手続きを進めてください。

3.民泊新法(住宅宿泊事業法)における届出と番号

(1)住宅宿泊事業法とは

民泊運営には、大きく分けて二つの法律が関係しています。一つは、古くからある「旅館業法」です。こちらは、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業全般を規制する法律で、ホテルや旅館などがこれに該当します。

一方、2018年6月に施行されたのが「住宅宿泊事業法」、通称「民泊新法」です。この法律は、一般の住宅を活用した宿泊サービスを円滑に提供することを目的としています。空き家や空き部屋の有効活用、インバウンド観光客の増加に対応するため、新たな宿泊形態を整備しました。

民泊新法に基づき、住宅宿泊事業者は、住宅宿泊事業者として事業を開始する前に、一定の届出を行う必要があります。この届出が受理されることで、事業者は「住宅宿泊事業者」として活動することが可能になります。

法律名概要
旅館業法ホテル、旅館など、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業全般を規制
住宅宿泊事業法(民泊新法)一般住宅を活用した宿泊サービス(民泊)を円滑に提供するための法律

この法律によって、これまでグレーゾーンであった一般住宅での宿泊サービスが、一定のルールのもとで合法的に提供できるようになりました。

(2)届出の概要と番号の有無

民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づき民泊を運営する場合、旅館業法のような「許可」ではなく、「届出」が必要となります。この届出が受理されると、事業者は「住宅宿泊事業者番号」が付与されます。この番号は、民泊施設が法に則って運営されていることを示す重要な識別子となります。

届出の概要は以下の通りです。

  • 届出先: 事業を行う地域を管轄する都道府県知事または市町村長(特別区長)
  • 届出時期: 事業を開始する前
  • 番号の有無: 届出受理後に付与される(番号の取得が必須)
届出の種類根拠法許可/届出番号の有無
住宅宿泊事業住宅宿泊事業法届出有(番号)
簡易宿所(旅館業)旅館業法許可有(許可番号)
下宿営業(旅館業)旅館業法許可有(許可番号)

この住宅宿泊事業者番号は、後述する掲示義務の対象となりますので、正しく取得し、管理することが重要です。番号がない状態で運営することは、法律違反となるため注意が必要です。

(3)届出までの主なステップ

①事業開始前の届出

民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づき、住宅宿泊事業を開始する前に、管轄の自治体へ届出を行う必要があります。この届出が受理されることで、事業者は「住宅宿泊事業者」として活動することが可能になります。届出を行わずに事業を開始することは法律で禁じられていますので、必ず事前に手続きを進めましょう。

届出の基本的な流れは以下の通りです。

  • 届出書類の準備: 必要な書類を自治体のウェブサイトなどで確認し、漏れなく準備します。
  • 自治体への提出: 準備した書類を、事業を行う物件の所在地を管轄する保健所や役所の担当部署へ提出します。
  • 受理と番号通知: 届出内容に不備がなければ、自治体から受理番号が通知されます。この番号が、一般的に「民泊の届出番号」として案内されるものです。

なお、この届出番号は、宿泊者や旅行者に対して、広告やウェブサイトなどで明確に表示することが義務付けられています。

②必要書類の準備

民泊の運営形態によって、準備すべき書類は異なります。旅館業法に基づく営業許可を取得する場合と、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出を行う場合で、それぞれ必要となる書類が定められています。

旅館業法に基づく営業許可の場合

旅館業法に基づく営業許可を申請する際には、主に以下のような書類が必要となります。

  • 営業許可申請書:必要事項を記入した申請書本体です。
  • 施設の構造設備概要:施設の平面図や配置図、各室の用途などがわかる図面が必要です。
  • 登記事項証明書:法人の場合、会社の登記簿謄本が必要となります。
  • 支配人等設置届:事業所の代表者以外に支配人を置く場合に必要です。
  • その他:自治体によっては、消防法に関する書類や、施設の管理権限を証明する書類などが求められる場合もあります。

住宅宿泊事業法に基づく届出の場合

住宅宿泊事業法に基づく届出では、以下の書類が主なものとなります。

  • 届出書:必要事項を記入した届出書本体です。
  • 届出者の本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど、公的な身分証明書が必要です。
  • 物件の状況を示す書類:賃貸物件の場合は、家主の同意書などが必要になることがあります。

これらの書類は、申請先の自治体や物件の状況によって追加で必要となるものもありますので、事前に管轄の自治体にご確認いただくことが重要です。

③自治体への届出

住宅宿泊事業法に基づき民泊を運営する場合、事業開始前に所管する自治体(都道府県または市町村)へ届出を行う必要があります。この届出が受理されることで、住宅宿泊事業者は「住宅宿泊事業者」として法的に認められ、運営が可能となります。

届出にあたっては、以下の書類を準備し、提出するのが一般的です。

  • 住宅宿泊事業届出書:事業者の氏名、住所、事業所の所在地などを記載します。
  • 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど、本人であることを証明できる書類です。
  • 物件の所在地を証する書類:登記事項証明書や公図などが該当します。
  • 物件の間取り図:住宅の各部屋の配置や広さを示す図面です。
  • 誓約書:法令を遵守する旨の誓約書です。

これらの書類を揃え、自治体の窓口へ持参または郵送にて提出します。オンラインでの届出が可能な自治体もありますので、事前に確認すると良いでしょう。届出が受理されると、自治体から届出番号が通知されます。この番号は、住宅宿泊事業法に基づく営業を証明するものであり、後述する掲示義務にも関わってきます。

届出に必要な主な書類内容
住宅宿泊事業届出書事業者情報、事業所所在地などを記載
本人確認書類運転免許証、マイナンバーカードなど
物件の所在地を証する書類登記事項証明書、公図など
物件の間取り図部屋の配置や広さを示す図面
誓約書法令遵守に関する誓約

④届出受理と番号の通知

住宅宿泊事業法に基づき、民泊の届出が受理されると、自治体から「住宅宿泊事業届出番号」が通知されます。この番号は、事業者が法を遵守して運営していることを証明する重要なものです。

届出が受理された後、事業者は以下の情報を記載した通知書を受け取ります。

  • 届出者氏名(または法人名)
  • 事業所の所在地
  • 届出番号
  • 届出年月日

この届出番号は、後述する「許可番号」とは異なり、営業許可ではなく「届出」があったことを示すものですが、事業運営においては同様に重要な管理番号となります。

通知される内容詳細
届出者氏名(または法人名)事業を営む個人の氏名または法人名
事業所の所在地届出を行った事業所の住所
届出番号事業者ごとに付与される固有の番号
届出年月日届出が受理された日付

この番号は、事業者が法に基づき正当な手続きを経て民泊運営を行っている証となります。

(4)知っておきたい注意点

民泊運営における許可番号の取得や届出には、いくつか注意すべき点があります。

  • 管轄する自治体によって要件が異なる
    旅館業法に基づく営業許可や住宅宿泊事業法の届出は、各自治体が条例で独自の基準を設けている場合があります。物件の所在地によって申請方法や必要書類、手数料などが異なるため、事前に管轄する自治体のウェブサイトで詳細を確認することが重要です。
  • 保健所や警察署への確認も必要
    旅館業法に基づく営業許可を取得する際は、保健所への申請が必須となります。また、建物の用途地域や防火基準などについて、警察署や消防署に確認が必要となるケースもあります。
  • 許可番号の掲示義務を忘れない
    民泊施設には、許可番号を適切に掲示する義務があります。これは、利用者が安心して施設を利用できるための情報提供であり、違反した場合には罰則が科される可能性があります。
運営形態許可・届出の有無許可番号の有無
旅館業法に基づく営業(簡易宿所など)営業許可が必要あり
住宅宿泊事業法に基づく届出(民泊新法)届出が必要あり(届出番号)
旅館業法・民泊新法に該当しない場合特になし(※ただし、例外あり)なし

これらの点を理解し、適切な手続きを踏むことで、トラブルなく民泊運営を始めることができます。

4.民泊運営の形態と「許可番号」の関係

(1)自社運営の場合

民泊を自社で運営する場合、その形態によって必要な許可や届出、そして「許可番号」の有無が異なります。大きく分けて、旅館業法に基づく営業許可を得る場合と、民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づき届出を行う場合があります。

  • 旅館業法に基づく営業許可の場合
    旅館業法に基づく営業許可を取得した場合、事業者は「営業許可番号」が付与されます。この番号は、民泊施設が法的な基準を満たしていることの証明となり、広告やウェブサイトなどに明示する義務があります。
  • 民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく届出の場合
    民泊新法に基づき住宅宿泊事業の届出を行った場合、届出番号(住宅宿泊事業登録番号)が付与されます。こちらも、民泊施設であることを示す番号として、広告等に表示が求められます。
運営形態該当する法律取得する番号の種類
旅館業法に基づく簡易宿所営業旅館業法営業許可番号
住宅宿泊事業住宅宿泊事業法(民泊新法)届出番号(登録番号)

どちらの場合も、番号の掲示は利用者の安心・安全を守るため、また、無許可・無届での営業を防ぐための重要な要素となります。

(2)住宅宿泊管理業者への委託

民泊運営において、ご自身で直接許可や届出を行うのが難しい場合、住宅宿泊管理業者への委託という選択肢があります。この場合、許可番号や届出番号の取得・管理は、原則として委託を受けた住宅宿泊管理業者が行います。

住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業法に基づき、国土交通大臣への登録が必要です。登録を受けた業者は、事業者の代わりに民泊物件の管理業務全般を担います。これには、宿泊者名簿の作成・保存、衛生の確保、苦情への対応などが含まれます。

住宅宿泊管理業者に委託することで、許可番号や届出番号の取得・管理に関する手間や専門知識が不要になるというメリットがあります。ただし、管理を委託する際には、信頼できる業者を選定することが重要です。

委託内容許可番号・届出番号の管理
住宅宿泊管理業者への委託原則、管理業者が行う

業者選定の際は、過去の実績や評判、契約内容などをしっかりと確認しましょう。

(3)住宅宿泊仲介業者への委託

住宅宿泊仲介業者とは、民泊の物件と宿泊客をマッチングさせる事業者のことです。住宅宿泊仲介業者は、国土交通省に登録する必要があります。登録された仲介業者は、各自治体から指定された番号(登録番号)を付与されます。

この住宅宿泊仲介業者に委託する場合、物件の運営主体は住宅宿泊事業者(民泊の届け出者)となります。そのため、住宅宿泊事業者自身が住宅宿泊事業法に基づく届出を行い、番号を取得する必要があります。住宅宿泊仲介業者が取得する登録番号は、仲介業者の登録を示すものであり、民泊物件自体の運営許可番号ではありません。

委託先登録・許可の種別取得する番号の例備考
住宅宿泊仲介業者国土交通省への登録登録番号仲介業者の登録を示すものであり、物件の運営許可番号ではない。
住宅宿泊事業者(物件所有者)自治体への届出(住宅宿泊事業法)届出番号民泊物件を運営するために必要な番号。仲介業者に委託しても、住宅宿泊事業者自身が取得する必要がある。

したがって、住宅宿泊仲介業者に委託する際でも、民泊物件を運営する住宅宿泊事業者は、必ず自治体への届出を行い、届出番号を取得・掲示することが義務付けられています。

5.「許可番号」の掲示義務について

(1)どこに掲示する必要があるのか

民泊を運営する際には、定められた「許可番号」や「届出番号」を適切に掲示することが義務付けられています。この掲示は、利用者が安心して施設を選択できるための重要な情報提供となります。

具体的には、以下の場所に掲示する必要があります。

  • 宿泊施設(民泊施設)の入り口付近: 宿泊施設に到着した利用者が、最初に目にする可能性のある場所です。
  • 宿泊施設(民泊施設)のウェブサイト: 予約サイトや施設独自のウェブサイトなど、インターネット上で施設情報を公開している場合、そのウェブサイト上にも表示が求められます。
掲示場所目的
宿泊施設(民泊施設)の入り口付近来訪者への迅速な情報提供
宿泊施設(民泊施設)のウェブサイト(予約サイト等)インターネット上での情報開示、信頼性向上

これらの場所への掲示を怠ると、後述するようなリスクが生じる可能性があります。適切な掲示を行い、法令遵守を徹底しましょう。

(2)掲示がない場合のリスク

民泊施設において、許可番号や届出番号の掲示は、法律で定められた義務です。この義務を怠った場合、いくつかのリスクが発生します。

まず、行政からの指導や勧告、さらには罰則の対象となる可能性があります。違反が継続される場合、営業停止命令を受けることも考えられます。

次に、信頼性の低下につながります。旅行者にとって、許可番号の有無は施設の合法性や安全性を判断する重要な指標です。番号が掲示されていないと、不正な営業ではないかと疑念を抱かれ、予約に影響を与える可能性があります。

具体的には、以下のようなリスクが考えられます。

  • 行政指導・勧告
  • 罰金・過料の徴収
  • 営業停止処分
  • 宿泊客からの信頼失墜
  • 予約機会の損失

これらのリスクを回避するためにも、許可番号や届出番号は定められた場所に正しく掲示することが不可欠です。

6.まとめ

民泊運営には、その形態によって「許可番号」または「届出番号」の取得・掲示が不可欠です。旅館業法に基づく営業許可を受けた場合は「営業許可番号」、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出をした場合は「住宅宿泊事業者届出番号」が付与されます。

運営形態必要な番号の種類
旅館業法に基づく民泊運営営業許可番号
住宅宿泊事業法に基づく民泊運営住宅宿泊事業者届出番号

これらの番号は、法律を遵守し、安全かつ適正な民泊運営を行う上で重要な証となります。物件の選定、必要書類の準備、自治体への申請・届出といったステップを経て取得・通知されます。

また、これらの番号は、インターネット広告や物件の外観など、定められた場所に掲示する義務があります。番号の掲示がない場合、罰則の対象となる可能性もありますので、必ず確認し、遵守するようにしましょう。民泊運営を成功させるためには、これらの法規制を理解し、必要な手続きを確実に行うことが重要です。

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