宿泊コラム

民泊収入の確定申告、簡単解説!副業・専業別で徹底解説

民泊収入の確定申告、簡単解説!副業・専業別で徹底解説

1. はじめに:民泊ホストも確定申告が必要?

民泊ホストとして活動を始めたら、確定申告が必要かどうか気になりますよね。結論から言うと、民泊で得た収入は「所得」に該当するため、一定額以上になると確定申告が必要になります。

どんなに少額でも収入があれば確定申告が必要なのでしょうか? いいえ、そうではありません。副業か専業か、また所得の種類によって、確定申告が必要な基準が変わってきます。

区分確定申告が必要なケース
副業の場合給与所得以外の所得が20万円を超える場合
専業の場合所得金額に応じて、一定額以上の所得がある場合

例えば、副業で民泊を営み、年間の利益が20万円を超える場合は確定申告が必要です。専業で民泊を営む場合、事業所得または雑所得として確定申告を行います。

確定申告と聞くと、複雑な手続きを想像して億劫になる方もいるかもしれません。しかし、正しく申告することで、思わぬ税金の追徴やペナルティを避けることができます。また、経費を適切に計上することで、税負担を軽減できる可能性もあります。

この後、副業・専業それぞれの確定申告の方法や、必要経費、便利なツールなどを詳しく解説していきますので、ぜひ最後まで読んで、スムーズな確定申告を目指しましょう。

2. 確定申告の基本

確定申告の対象となる収入とは?

確定申告が必要かどうかは、年間の収入金額が一定額を超えているかどうかで判断します。民泊ホストの場合も例外ではなく、収入が一定額を超えると確定申告が必要になります。具体的にどのような収入が対象となるのでしょうか?

民泊運営で得た収入は、「雑所得」または「事業所得」に分類されます。どちらに分類されるかは、その規模や継続性などによって判断されます。

区分内容
雑所得比較的小規模・副業的に行っている場合
事業所得継続的・反復的に行っている大規模な場合

例えば、自宅の空き部屋を年に数回貸し出す程度であれば雑所得、複数の物件を継続的に貸し出し、民泊運営を主な収入源としている場合は事業所得となる可能性が高いです。

確定申告の対象となる収入には、宿泊料金だけでなく、清掃料金やリネン代、その他オプションサービスの料金なども含まれます。Airbnbなどのプラットフォームを通じて受け取った金額から手数料などを差し引いた後の、実際の受取金額が収入となります。

収入の計算は正確に行う必要があり、確定申告の際に漏れがないように注意しましょう。収入を過少に申告すると、追徴課税や延滞税が発生する可能性があります。

次のセクションでは、収入から控除できる経費について解説します。

収入から控除できる経費とは?

民泊経営で得た収入から、必要経費を差し引くことで、最終的な税金の負担額を減らすことができます。必要経費とは、民泊事業を行う上でかかった費用のことです。「直接的に必要だった費用」であることが認められる必要があります。

具体的にどのような費用が経費として認められるのか、主な項目を以下にまとめました。

経費項目内容
光熱費電気代、水道代、ガス代など
消耗品費ティッシュペーパー、トイレットペーパー、洗剤、シャンプー、リンス、石鹸など
清掃費清掃代行業者への支払いや清掃用品の購入費など
管理費民泊管理会社への手数料、マンションの管理費、共益費など
減価償却費家電製品、家具、寝具などの購入費用を耐用年数に応じて経費計上するもの
広告宣伝費民泊サイトへの掲載料、広告費用など
通信費インターネット回線費用、電話代など
交通費民泊物件への移動費用など
接待交際費ゲストへのお茶菓子代など
その他民泊事業に直接的に必要な費用

領収書や請求書などの証拠書類を保管しておくことが重要です。また、プライベート利用と事業利用が混在する場合は、按分して計算する必要があります。例えば、自宅の一部を民泊として利用している場合、光熱費やインターネット回線費用などは、使用面積や使用時間に応じて按分計算します。

経費の計上は、税負担を軽減するために非常に大切です。正しく経費を計上し、節税につなげましょう。

必要書類と提出方法

確定申告には、収入や経費などを証明する書類が必要です。主な書類は以下の通りです。

書類名内容
確定申告書Aまたは確定申告書B収入や経費、控除などを記載する書類です。民泊収入が事業所得となる場合は確定申告書Bを使用します。
収支内訳書収入と経費の内訳を記載する書類です。民泊事業の収支を明確に示すために必要です。
各種控除証明書医療費控除や生命保険料控除など、適用する控除に関する証明書です。
収入を証明する書類民泊サイトからの入金明細や銀行の取引明細書など、収入金額を証明する書類です。
経費を証明する書類領収書や請求書、クレジットカードの利用明細書など、経費の金額を証明する書類です。

これらの書類は、大切に保管しておきましょう。税務調査が入った場合に備え、5年間の保存が義務付けられています。

提出方法は、以下の3つの方法があります。

  • e-Tax:国税庁のウェブサイトから電子申告する方法です。
  • 郵送:税務署に書類を郵送する方法です。
  • 窓口提出:税務署の窓口に書類を直接提出する方法です。

e-Taxを利用すれば、自宅やオフィスから手軽に申告できます。また、還付金が早く受け取れるなどのメリットもあります。

提出期限は、原則として毎年3月15日です。期限を過ぎると延滞税や加算税が課される場合があるので、注意しましょう。

3. 民泊収入の計算方法

売上金額の把握方法

民泊事業における売上金額は、確定申告で最も重要な要素の一つです。正確な申告のためには、売上金額を漏れなく、そして重複なく把握する必要があります。そのための具体的な方法を以下に示します。

  1. 予約プラットフォームの利用明細を活用する
    AirbnbやBooking.comなどの予約プラットフォームを利用している場合は、プラットフォームから提供される利用明細を活用しましょう。これらの明細には、予約ごとの宿泊料金、手数料、その他の手数料などが詳細に記載されています。
  2. 独自の予約システムを利用している場合の記録方法
    もし独自のウェブサイトや予約システムで民泊を運営している場合は、予約ごとに売上金額を記録する必要があります。専用の台帳やスプレッドシートなどを活用し、日付、宿泊者名、宿泊料金、受け取った金額などを記録しましょう。
項目内容
日付予約日
宿泊者名宿泊者の氏名
宿泊料金1泊あたりの料金
宿泊日数宿泊日数
受け取った金額実際に受け取った金額
  1. 決済方法ごとの売上管理
    クレジットカード、銀行振込、現金など、様々な決済方法に対応している場合は、決済方法ごとに売上を管理することが大切です。それぞれの決済方法で受け取った金額を明確に記録し、合計金額を算出します。
  2. キャンセル料などの計上
    キャンセル料が発生した場合、それも売上金額に含まれます。キャンセル料が発生した日付と金額を記録しておきましょう。

これらの方法を組み合わせることで、正確な売上金額を把握することができます。売上金額を把握することは、適切な納税を行うだけでなく、民泊事業の収益性を分析するためにも重要です。

必要経費の種類と計算方法(光熱費、消耗品費、清掃費、管理費、減価償却費など)

民泊運営にかかる費用は、必要経費として収入から差し引くことができます。必要経費を計上することで、最終的な税負担を軽減できるため、しっかりと把握しておきましょう。主な必要経費の種類と計算方法を以下に示します。

経費の種類計算方法の例
光熱費電気代、水道代、ガス代など、民泊利用分を按分して計算
消耗品費ティッシュペーパー、トイレットペーパー、洗剤、アメニティグッズなど
清掃費清掃代行業者への支払額、清掃用具の購入費など
管理費民泊管理会社への委託費用、マンションの共益費・管理費の按分など
減価償却費家具、家電製品、建物など、耐用年数に応じて費用計上(一定額以上の資産)
広告宣伝費ホームページ作成費用、広告掲載費用など
通信費インターネット回線費用、電話代など、民泊利用分を按分して計算
保険料民泊運営に関連する保険料

例えば、自宅の一部を民泊に利用している場合、光熱費や通信費、住宅ローン金利の一部なども、民泊利用分を按分して必要経費に計上できます。按分方法には、面積割合や利用日数割合など、合理的な方法を選択しましょう。

減価償却費は、高額な資産を一度に費用計上するのではなく、耐用年数に応じて分割して費用計上する方法です。これにより、長期にわたる税負担の平準化を図ることができます。

必要経費を計上する際は、領収書などの証拠書類を保存しておくことが重要です。税務調査が入った場合、証拠書類の提示が求められます。

課税所得の計算方法

民泊運営で得られた所得に税金がかかるのは、売上金額から必要経費を差し引いた金額です。この金額を「課税所得」と言います。必要経費を正しく計算することで、納税額を適切に抑えることができます。

課税所得の計算式は以下の通りです。

項目内容
売上金額民泊運営によって得られた収入の合計額です。
必要経費民泊運営のためにかかった費用の合計額です。
課税所得売上金額 – 必要経費

例えば、売上金額が100万円で、必要経費が40万円だった場合、課税所得は60万円となります。この60万円に対して、所得税と住民税が課税されます。

必要経費には、光熱費、消耗品費、清掃費、管理費、減価償却費、固定資産税、損害保険料などが含まれます。必要経費を漏れなく計上することで、課税所得を減らし、節税につなげることが重要です。

注意点として、プライベートで使用した分は必要経費に計上できません。例えば、自宅の一部を民泊として貸し出している場合、家全体の光熱費を全額必要経費とすることはできません。民泊で使用した割合に応じて按分する必要があります。

領収書などの証拠書類を保管しておくことで、必要経費を証明することができます。税務調査が入った場合にも、適切な対応が可能になります。

4. 副業で民泊を営む場合の確定申告

給与所得との合算申告

副業で民泊を営む場合、民泊収入は給与所得と合算して確定申告を行います。つまり、給与の源泉徴収票に記載されている所得と、民泊による所得を合計した金額に対して所得税額を計算します。

民泊による所得が赤字の場合でも、給与所得から控除することはできません。ただし、赤字は3年間繰り越すことができ、将来の黒字と相殺することが可能です。

給与所得民泊所得合算方法
黒字黒字両方を合計
黒字赤字赤字は繰り越し

給与所得と民泊所得を合算申告する手順は以下の通りです。

  1. 給与の源泉徴収票を用意する
  2. 民泊の収入と経費を計算し、所得を算出する
  3. 所得税の確定申告書を作成し、給与所得と民泊所得を合算して申告する

確定申告書には、給与所得と民泊所得それぞれの金額を記載する欄があります。正確に記入するようにしましょう。

副業で民泊を始めたばかりの方は、確定申告の手続きが複雑に感じるかもしれません。国税庁のウェブサイトや税務署などで情報収集を行い、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

副業控除について

副業で民泊を営んでいる場合、確定申告で「副業控除」を受けることができます。これは、給与所得に加えて副業の所得がある場合に、一定額を所得から控除できる制度です。副業控除は、副業所得にかかる税負担を軽減する効果があります。

副業控除の金額は、以下の表の通りです。

副業所得金額副業控除額
48万円以下副業所得金額
48万円超~100万円以下48万円
100万円超~360万円以下95万円 – 副業所得金額 × 5%
360万円超~660万円以下77万円 – 副業所得金額 × 10%
660万円超0円

例えば、副業の民泊所得が60万円の場合、副業控除額は48万円となります。つまり、課税対象となる所得から48万円を差し引くことができます。

ただし、注意すべき点があります。

  • 給与所得と副業所得の合計が2,000万円を超える場合は、副業控除は適用されません。
  • 令和6年分(2024年分)の確定申告から、副業控除の上限額が引き下げられ、段階的に廃止される予定です。

副業控除を受けるには、確定申告書に必要事項を記入する必要があります。具体的な手順は、税務署のウェブサイトや確定申告書作成コーナーで確認できます。

医療費控除や住宅ローン控除との関係

副業で民泊を行う場合、医療費控除や住宅ローン控除との関係を理解しておくことが大切です。これらの控除は、民泊による所得と給与所得を合算した所得金額を基に計算されます。

控除内容計算の基になる所得
医療費控除1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額を所得から控除給与所得+民泊所得
住宅ローン控除住宅ローン残高に応じて、一定額を所得税から控除給与所得+民泊所得

民泊による所得が増えると、所得金額全体が増加するため、医療費控除の適用を受けられる可能性が低くなる場合があります。例えば、医療費控除の対象となる金額は、所得金額の5%を超える部分です。所得が増えると、5%の金額も大きくなるため、控除を受けられる金額が少なくなる、あるいは控除を受けられなくなる可能性があります。

一方、住宅ローン控除は、一定の要件を満たせば、民泊による所得が増えても控除額に影響はありません。ただし、住宅ローン控除の適用を受けるためには、住宅を「自己の居住の用に供する」必要があります。民泊として利用している部分が大きい場合は、住宅ローン控除の適用を受けられない可能性があるので注意が必要です。

具体的にどの程度影響があるかは、個々の状況によって異なります。税務署や税理士に相談することで、より正確な情報を得ることができます。

確定申告の手順

確定申告の提出方法は、e-Tax、郵送、税務署への持参の3種類があります。それぞれの手順は以下の通りです。

提出方法手順
e-Tax1. e-Taxソフトをインストールまたはブラウザでe-Taxにアクセス
2. 必要事項を入力し、申告書を作成
3. 電子署名またはマイナンバーカードで送信
郵送1. 確定申告書を作成
2. 必要書類を添付
3. 税務署へ郵送(簡易書留推奨)
税務署持参1. 確定申告書を作成
2. 必要書類を持参
3. 税務署の受付窓口へ提出

e-Taxは、自宅やオフィスから24時間いつでも申告手続きができるため、大変便利です。マイナンバーカードをお持ちの方は、ICカードリーダライタを利用することで、さらに簡単に申告できます。

郵送の場合は、提出期限までに税務署に届くよう余裕を持って送付しましょう。簡易書留で送付することで、書類の追跡も可能です。

税務署へ持参する場合は、確定申告期間中は大変混雑するため、時間に余裕を持って来署しましょう。事前に税務署のホームページなどで受付時間を確認しておくことをおすすめします。

どの方法で提出する場合でも、提出期限は毎年3月15日です。期限後の提出はペナルティの対象となる場合があるので、注意しましょう。

5. 専業で民泊を営む場合の確定申告

事業所得としての申告

専業で民泊を営む場合、収入は「事業所得」として確定申告します。事業所得とは、事業を営んで得られた所得のことです。民泊経営が継続的かつ反復的な収入を得ることを目的としている場合、事業とみなされます。

事業所得の計算方法は、以下の通りです。

* 事業所得 = 売上金額 – 必要経費

売上金額は、宿泊料や清掃料金など、民泊経営によって得られた収入の合計額です。必要経費は、民泊経営のために使った費用の合計額です。必要経費には、光熱費、消耗品費、清掃費、管理費、減価償却費など、民泊経営に直接関係する費用が含まれます。

項目内容
売上金額宿泊料、清掃料金など
必要経費光熱費、消耗品費、清掃費、管理費、減価償却費など

必要経費を計上することで、課税対象となる所得を減らし、税負担を軽減できます。そのため、民泊経営に関連する費用は、領収書などを保管し、適切に計上することが重要です。事業所得の申告にあたっては、青色申告と白色申告を選択できます。青色申告は、複式簿記による記帳が必要ですが、最大65万円の控除など、税制上のメリットがあります。白色申告は、簡易な記帳で済みますが、青色申告ほどの控除はありません。ご自身の状況に合わせて、どちらの申告方法を選択するか検討しましょう。

青色申告と白色申告のメリット・デメリット

専業で民泊を営む場合、確定申告では「青色申告」と「白色申告」を選択できます。それぞれメリット・デメリットがあるので、ご自身の状況に合わせて選びましょう。

項目青色申告白色申告
帳簿複式簿記簡単な帳簿
控除額最大65万円控除なし
損失の繰越控除3年間不可
家族への給与を経費計上可能不可
クレジットカードのポイント還元還元対象還元対象外

青色申告は、複式簿記で帳簿を作成する必要がありますが、最大65万円の控除を受けられます。また、事業で損失が出た場合、3年間繰り越して控除できます。家族に給与を支払っている場合、経費として計上できるのもメリットです。さらに、クレジットカードで経費を支払った場合のポイントは、所得税の課税対象外となります。

一方、白色申告は、簡易な帳簿で済みますが、青色申告のような控除はありません。損失の繰越控除もできません。家族への給与を経費計上することもできません。クレジットカードのポイント還元も対象外です。

どちらの申告方法を選ぶかは、事業規模や会計処理のスキルなどを考慮して決めましょう。青色申告は節税効果が高いですが、帳簿作成の手間がかかります。白色申告は手軽ですが、節税メリットは少なくなります。ご自身の状況に合った方法を選択することが重要です。

必要な帳簿書類と保存期間

専業で民泊を営む場合、確定申告には適切な帳簿書類の作成と保存が必須です。帳簿書類は、事業の収支状況を明確にし、税務調査にも対応するために必要です。また、帳簿書類をきちんと保存することで、万が一のトラブル発生時にもスムーズな対応が可能となります。

主な帳簿書類には以下のようなものがあります。

帳簿書類内容保存期間
売上帳売上金額、日付、顧客名などを記録7年
仕入帳仕入れた商品やサービスの金額、日付、取引先などを記録7年
経費帳経費の金額、日付、内容などを記録7年
固定資産台帳建物や設備などの固定資産の取得価額、減価償却費などを記録7年

これらの帳簿書類は、7年間保存することが義務付けられています。保存期間を過ぎた帳簿書類は、適切な方法で廃棄するようにしましょう。

帳簿書類の作成は、手書きでも会計ソフトでも構いません。ただし、会計ソフトを使用することで、効率的に帳簿を作成し、正確な申告を行うことが容易になります。また、確定申告の時期には、税務署や税理士会などで無料の相談会も開催されていますので、積極的に活用しましょう。

これらの帳簿書類を適切に作成・保存することで、スムーズな確定申告を実現し、安定した民泊経営を継続していくことができます。

確定申告の手順

確定申告の提出方法は、e-Tax、郵送、税務署への持参の3種類があります。それぞれの手順は以下の通りです。

方法手順
e-Tax1. マイナンバーカードまたはICカードリーダライタを用意
2. e-Taxソフトをインストールまたはオンライン版を利用
3. 必要事項を入力し、送信
郵送1. 確定申告書を作成
2. 必要書類を添付
3. 税務署へ郵送
税務署へ持参1. 確定申告書を作成
2. 必要書類を持参
3. 税務署の窓口へ提出

e-Taxは、自宅で手続きが完了し、還付金も早く受け取れるのでおすすめです。郵送の場合は、提出期限までに余裕を持って送付しましょう。税務署へ持参する場合は、混雑する時期を避けて行くのが良いでしょう。

提出書類は、申告方法や所得の種類によって異なります。主な書類は以下の通りです。

  • 確定申告書AまたはB
  • 収支内訳書
  • 必要経費の領収書など

副業の場合は給与所得の源泉徴収票も必要です。

提出期限は、毎年2月16日から3月15日までです。期限後の提出はペナルティの対象となる場合があるので、必ず期限内に手続きを済ませましょう。

6. 民泊確定申告に役立つツールとサービス

会計ソフト

確定申告をスムーズに行うためには、会計ソフトの活用がおすすめです。会計ソフトを使うことで、収入や経費の管理、帳簿の作成、確定申告書類の作成などが効率的に行えます。特に、民泊経営では、様々な経費が発生するため、会計ソフトを利用することで、経費の漏れを防ぎ、正確な申告を行うことができます。

民泊経営に適した会計ソフトは、クラウド型とインストール型の2種類があります。

種類メリットデメリット適している人
クラウド型インターネット環境があればどこでも利用可能
自動でデータがバックアップされる
複数人でデータを共有しやすい
インターネット環境が必要
月額料金がかかる
複数人で管理する場合
外出先でも確認したい場合
インストール型インターネット環境がなくても利用可能
買い切り型なのでランニングコストがかからない
データのバックアップを自分で行う必要がある
複数人での共有が難しい
自宅で主に管理する場合
ランニングコストを抑えたい場合

これらのメリット・デメリットを踏まえ、自分に合った会計ソフトを選びましょう。

freee、弥生会計オンライン、マネーフォワードクラウド会計など、様々な会計ソフトが提供されています。これらのソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携することで、自動的に取引データを取り込む機能を備えています。また、レシートをスマートフォンで撮影するだけで、経費として登録できる機能も便利です。これらの機能を活用することで、大幅な時間短縮が可能です。

さらに、確定申告の時期には、会計ソフトから直接、確定申告書類を作成・提出できる機能も備わっています。これにより、複雑な計算や書類作成の手間を省き、スムーズに確定申告を完了できます。

確定申告サポートサービス

確定申告は複雑で時間のかかる作業です。特に民泊経営は、経費の種類や計算方法が特殊なため、負担に感じる方もいるかもしれません。そこで、確定申告サポートサービスの利用を検討してみましょう。これらのサービスは、専門家によるサポートを受けながら、スムーズに確定申告を完了できるよう支援してくれます。

主なサービス内容とメリット・デメリットは以下の通りです。

サービス内容メリットデメリット
記帳代行帳簿作成の手間を削減サービス利用料が発生
確定申告書類作成代行専門家による正確な書類作成申告内容に関する理解が深まらない可能性
税務相談個別の疑問や悩みに対応相談時間や内容に制限がある場合も
アプリやソフトウェアの提供簡単な操作で申告書を作成機能が限定的である場合も

これらのサービスは、税理士事務所や会計事務所、民泊運営代行会社などが提供しています。サービス内容や料金は事業者によって異なるため、複数のサービスを比較検討し、自身に合ったサービスを選ぶことが大切です。

また、無料相談会を実施している事業者もあります。申告内容に不安がある場合は、気軽に相談してみるのも良いでしょう。確定申告サポートサービスを賢く活用することで、時間と労力を節約し、本来の民泊運営に集中できる環境を整えましょう。

税務相談窓口

民泊経営に関する税金について、疑問や不安が生じた場合は、税務相談窓口を活用しましょう。専門家によるアドバイスを受けることで、正しい申告を行い、思わぬ税務トラブルを防ぐことができます。主な相談窓口は以下の通りです。

相談窓口説明連絡先
税務署所轄の税務署では、確定申告に関する一般的な相談や、個別のケースに関する質問に対応しています。国税庁ウェブサイトで確認ください
国税庁電話相談センター税金に関する一般的な質問に電話で回答するサービスです。0570-01-8888
税理士税務の専門家である税理士に相談することで、より具体的なアドバイスを受けることができます。申告書の作成代行も依頼可能です。各税理士事務所にお問い合わせください

確定申告時期には、税務署や自治体などで無料の税務相談会が開催されることもあります。これらの相談会を活用するのも良いでしょう。

特に、以下のような場合は、税務相談窓口の利用をおすすめします。

  • 複雑な経費計算で困っている場合
  • 民泊に関する税制改正について知りたい場合
  • 青色申告の承認申請について相談したい場合
  • 税務調査を受けた場合

税務相談は、早めに行うことで、問題を早期に解決し、安心して民泊経営に集中することができます。積極的に活用しましょう。

7. よくある質問(FAQ)

確定申告の期限は?

確定申告の期限は、申告する年によって異なります。また、申告方法によっても期限が変わるため注意が必要です。

申告方法提出期限
e-Tax(電子申告)3月15日
書面提出3月15日

原則として、確定申告書の提出期限は3月15日です。これは、e-Tax(電子申告)で提出する場合も、税務署に書面で提出する場合も同様です。

ただし、所得税の確定申告期限が土日祝日にあたる場合は、翌営業日が期限となります。

また、還付申告の場合は、5年前まで遡って申告できます。例えば、2024年に2019年分の確定申告を行うことが可能です。還付申告とは、既に納めた税金の一部が戻ってくる申告のことです。

申告期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。期限内に余裕を持って申告手続きを行いましょう。申告期限が近づくと、税務署や税理士事務所は大変混雑します。早めの準備と提出を心掛け、スムーズな申告を完了させましょう。

もし申告期限までに申告が難しい場合は、期限までに「申告期限延長申請書」を提出することで、申告期限を延長することができます。やむを得ない事情で申告期限に間に合わない場合は、この制度を活用しましょう。

必要経費の領収書は何年間保管する必要がある?

民泊経営にかかった必要経費を確定申告で計上するためには、領収書などの証拠書類を保管しておく必要があります。では、これらの書類は何年間保管すれば良いのでしょうか?

確定申告後に税務調査が入る可能性があり、その際に領収書などの証拠書類の提示を求められることがあります。保管期間は、原則として7年間です。

項目保管期間
確定申告書7年
領収書などの証拠書類7年
帳簿書類7年

7年間は、確定申告の翌年から起算します。例えば、2023年分の確定申告をした場合、領収書等の保管期間は2024年から7年間、つまり2030年までとなります。

なぜ7年間もの保管が必要なのでしょうか?それは、税務調査が入る可能性がある期間が最長で7年間であるためです。この期間内に税務調査が行われ、領収書などの証拠書類の提示を求められた際に、速やかに対応できるように保管しておく必要があるのです。

領収書の保管方法としては、

  • 紙の領収書をファイリングする
  • アプリなどで電子データとして保存する

など、ご自身に合った方法を選択してください。万が一、税務調査の際に領収書を紛失していた場合、必要経費として認められない可能性があります。民泊経営をスムーズに行うためにも、領収書の保管は適切に行いましょう。

共有スペースの経費はどうやって計算する?

民泊で共有スペースがある場合、そのスペースに係る経費を経費計上できます。ただし、プライベートスペースと共有スペースの両方に使用している場合は、按分して経費を計算する必要があります。

例えば、光熱費や水道代、インターネット利用料などが該当します。これらの経費を全額経費計上することはできません。共有スペースの専有面積の割合や使用時間の割合に応じて按分計算を行い、経費計上額を算出します。

項目計算方法の例
光熱費(共有スペースの面積 ÷ 家全体の面積) × 支払った光熱費
インターネット利用料(民泊利用時間 ÷ 1ヶ月) × 支払ったインターネット利用料

共有スペースとプライベートスペースの面積比が明確でない場合は、使用時間や人数比などを用いて合理的に按分する必要があります。

例えば、リビングルームを共有スペースとして提供しており、ご自身も使用する場合、民泊利用時間とプライベート利用時間の比率に基づいて按分計算を行います。記録方法は以下の通りです。

  • 民泊利用時間:宿泊者数 × 宿泊日数 × 利用時間
  • プライベート利用時間:家族の人数 × 利用日数 × 利用時間

計算した按分割合に基づき、家賃や光熱費などの経費を共有スペースの分とプライベートスペースの分に分けて計算します。按分計算の根拠を明確にするために、計算方法のメモや使用状況の記録を残しておくことが大切です。

適切な按分計算を行い、経費計上することで、税負担を軽減することに繋がります。

外国人ホストの確定申告はどうなる?

日本で民泊を運営する外国人ホストも、日本人ホストと同様に確定申告が必要です。居住形態や滞在期間によって、納税の義務や手続きが異なります。

居住形態滞在期間納税義務確定申告
非居住者(日本に住所を持たない)1年未満日本国内で発生した所得に対してのみ必要
非居住者(日本に住所を持たない)1年以上日本国内および国外で発生した所得に対して必要
居住者(日本に住所を持つ、または1年以上滞在する見込みがある)日本国内および国外で発生した所得に対して必要

主な注意点としては下記の通りです。

  • 非居住者: 日本国内源泉所得のみが課税対象となります。源泉徴収されていない所得がある場合は、確定申告が必要です。
  • 居住者: 日本国内源泉所得と国外源泉所得の両方が課税対象となります。日本で確定申告が必要です。
  • 租税条約: 日本と居住国との間に租税条約が締結されている場合、二重課税を回避するための優遇措置が適用される可能性があります。
  • 納税管理人: 一定の条件を満たす非居住者は、納税管理人を指定する必要があります。

申告書の書き方や必要書類は、居住形態や所得の種類によって異なります。国税庁のウェブサイトや税務署で確認するか、税理士に相談することをお勧めします。適切な手続きを行うことで、スムーズな民泊経営を実現しましょう。

8. まとめ:スムーズな確定申告で民泊経営を成功させよう

民泊経営を成功させるためには、確定申告をスムーズに行うことが重要です。確定申告は、単なる納税手続きではなく、経営状況を把握し、今後の事業計画を立てるための貴重な機会となります。

項目内容
確定申告の種類副業か専業かによって、申告方法が異なります。
必要経費の把握経費を漏れなく計上することで、税負担を軽減できます。
帳簿の整理正確な申告のために、日頃から帳簿を整理しておきましょう。
ツール・サービスの活用会計ソフトや確定申告サポートサービスを活用することで、効率的に申告作業を進められます。

確定申告をスムーズに行うためのポイントを以下にまとめました。

  • 事前の準備:必要書類を早めに揃え、余裕を持って申告を行いましょう。
  • 正確な記録:収入と経費を正確に記録し、領収書などの証拠書類を保管しておきましょう。
  • 専門家への相談:税務の専門家である税理士に相談することで、より正確な申告ができます。
  • 最新情報の確認:税制は毎年変更される可能性があります。最新情報を常に確認しましょう。

民泊経営は、適切な確定申告を行うことで、より安定した事業運営が可能になります。本記事を参考に、スムーズな確定申告を実現し、民泊経営を成功に導きましょう。

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