宿泊コラム

固定資産税がかからない別荘!?賢く維持するための費用対策を解説
1. はじめに:別荘と固定資産税の関係

憧れの別荘。豊かな自然に囲まれたセカンドハウスを持つことは、多くの人にとっての夢と言えるでしょう。しかし、別荘の取得・維持には、当然ながら費用がかかります。
その中でも、毎年かかる費用として特に注意が必要なのが「固定資産税」です。
税金の種類 | 概要 |
---|---|
固定資産税 | 土地・建物の所有者に課税される税金 |
固定資産税は、土地や建物の評価額に応じて算出されます。
別荘は、居住用の住宅とは異なり、セカンドハウスとしての利用が一般的です。そのため、固定資産税の課税対象となるのかどうか、不安を感じる方もいるかもしれません。
次の章では、別荘にかかる税金の種類と仕組みについて詳しく解説していきます。
2. 別荘にかかる税金の種類と仕組み

(1) 固定資産税:評価額に基づいた税金
別荘の固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者にかかります。その年の1月2日以降に取得した場合は、翌年から課税対象となります。
固定資産税の算出方法は以下の通りです。
項目 | 説明 |
---|---|
課税標準額 | 固定資産税評価額 × 1.0 |
固定資産税額 | 課税標準額 × 1.4%(標準税率) |
固定資産税評価額は、3年に一度行われる評価替えによって決定されます。評価額は、土地の面積や建物の構造、築年数などを基に算出されます。
なお、固定資産税の税率は、市町村ごとに条例で定められています。
(2) 都市計画税:都市計画区域内の土地・建物にかかる税金
都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物を所有している場合にかかる税金です。この税収は、道路や公園などの都市計画事業の費用に充てられます。
項目 | 内容 |
---|---|
納税義務者 | 都市計画区域内の土地・建物の所有者 |
課税標準 | 固定資産税評価額 |
税率 | 市町村が条例で定める(上限0.3%) |
別荘が都市計画区域内に位置する場合、固定資産税に加えて都市計画税の納税義務も発生します。都市計画税は、固定資産税評価額に税率を掛けて算出されます。税率は市町村ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
(3) 住民税均等割:市町村の住民が負担する税金
別荘の所有に関わらず、市町村の住民は、誰でも均等に負担する住民税があります。これを「住民税均等割」と呼びます。
税金の種類 | 対象者 | 税額(目安) |
---|---|---|
住民税均等割 | 市町村に住民票のある人 | 年間数千円程度 |
住民税均等割は、市町村の規模や財政状況によって税額が異なります。別荘を所有している場合、住民票を移していないとしても、その市町村に居住している人とみなされ、住民税均等割が課税される可能性があります。
住民税均等割は、固定資産税のように別荘の評価額によって税額が変わることはありません。ただし、別荘の所在地の市町村に住民票がない場合でも、課税される可能性がある点に注意が必要です。
3. 固定資産税がかからないケースとは?
(1) セカンドハウス認定:居住用と認められるための条件
固定資産税の対象となる別荘ですが、「セカンドハウス」として居住用と認められれば、税負担が軽減される場合があります。
具体的には、以下の条件を満たす必要があります。
条件 | 内容 |
---|---|
居住の事実 | 寝具や生活用品があり、実際に居住している形跡があること |
大きさ | 床面積が50㎡以上であること |
電気・ガス・水道などのライフライン | 電気、ガス、水道などのライフラインが整備されていること |
その他 | その別荘が、他に居住している住宅に比べて、交通の便や生活利便性などの点で、明らかに生活の本拠としてふさわしくないことが客観的に判断できること |
これらの条件を満たすことで、別荘であっても居住用とみなされ、固定資産税の軽減措置を受けられる可能性があります。ただし、各自治体によって判断基準が異なる場合もあるため、事前に確認することが重要です。
(2) 別荘の種別:区分所有や借地権の場合
別荘の所有形態によって、固定資産税の負担が変わることがあります。
所有形態 | 固定資産税の負担者 |
---|---|
単独所有 | 所有者 |
区分所有 | 各区分所有者 |
借地権 | 原則として借地権者 |
区分所有の場合、マンションのように建物全体ではなく、自分が所有する一部の部屋についてのみ固定資産税が発生します。
借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有する権利です。この場合、土地の固定資産税は地主が、建物の固定資産税は借地権者が負担します。
このように、別荘の所有形態によって固定資産税の負担者が異なるため、注意が必要です。
4. 別荘の維持費を抑える税金対策

(1) セカンドハウス認定を受けるメリット・デメリット
セカンドハウスとして認められることで固定資産税の負担が軽減されますが、一方で注意すべき点も存在します。主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
固定資産税の軽減 | 居住用としての維持管理義務が生じる |
都市計画税の軽減 | 住民票の移動が必要になる場合がある(住民税の課税対象となる可能性) |
将来的に売却する際の税金面での優遇措置を受けられる可能性がある | セカンドハウスと認められるための要件を満たす必要がある(居住日数など) |
セカンドハウスとして認められるためには、年間の居住日数や施設の状況など、一定の要件を満たす必要があります。また、住民票を移す場合は住民税の課税対象となる可能性もあるため注意が必要です。
(2) 固定資産税の軽減措置:減免制度の活用
固定資産税には、いくつかの軽減措置が存在します。代表的なものを以下の表にまとめました。
軽減措置 | 内容 |
---|---|
新築住宅減額 | 新築住宅の場合、一定期間、固定資産税が減額される |
耐震住宅減額 | 耐震基準を満たす住宅の場合、固定資産税が減額される |
省エネ住宅減額 | 省エネルギー性能の高い住宅の場合、固定資産税が減額される |
被災住宅減額 | 災害により被害を受けた住宅を復旧した場合、固定資産税が減額される |
これらの軽減措置を受けるためには、それぞれ要件を満たしている必要があり、申請手続きが必要になる場合がほとんどです。お住まいの市町村の窓口やホームページで確認するようにしましょう。
なお、別荘の場合、セカンドハウスとみなされ、これらの軽減措置の対象外となるケースもあります。適用条件をよく確認することが重要です。
5. 注意点:固定資産税以外の費用

(1) 不動産取得税
不動産を取得した際に一度だけかかる税金です。別荘を取得する場合も、当然ながら不動産取得税の納税義務が発生します。
項目 | 内容 |
---|---|
納税義務者 | 不動産の所有権を取得した人 |
課税標準 | 取得した不動産の価格(課税対象取得価額) |
税率 | 3%(土地・家屋)※ |
※軽減税率や特例が適用される場合があります。
不動産取得税の計算は複雑なので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。後々のトラブルを避けるためにも、事前にしっかりと確認しておきましょう。
(2) 登録免許税
別荘を取得した際には、不動産の所有権を公的に証明するために登記を行います。この登記手続きにかかる費用が登録免許税です。
区分 | 税率 | 計算式 |
---|---|---|
土地 | 2.0% | 土地の固定資産税評価額 × 2.0% |
建物 | 2.0% | 建物の固定資産税評価額 × 2.0% |
新築物件の場合には、建物にかかる登録免許税が軽減される特例があります。
注意点として、登録免許税は不動産の固定資産税評価額を元に算出されます。そのため、固定資産税がかからないケースでも、登録免許税は課税対象となる場合があります。
(3) 消費税
別荘の購入時に、土地や建物にかかる消費税も忘れてはいけません。
課税対象 | 消費税率 |
---|---|
土地の購入 | 非課税 |
建物の購入 | 10% |
仲介手数料 | 10% |
ただし、中古住宅の購入など、場合によっては消費税が課税されないケースもあります。消費税の有無や金額は、事前に不動産会社などに確認しておきましょう。
6. まとめ:賢く別荘を維持するために

別荘の維持には、固定資産税だけでなく様々な費用が発生します。賢く別荘を維持するには、費用面をしっかりと把握しておくことが重要です。
別荘の取得、維持にかかる費用をまとめると、以下のようになります。
費用 | 概要 |
---|---|
固定資産税 | 土地・建物の評価額に対して毎年課税される |
都市計画税 | 都市計画区域内の土地・建物に対して課税される |
住民税均等割 | 市町村の住民が負担する税金 |
不動産取得税 | 別荘取得時に一度だけ課税される |
登録免許税 | 別荘の名義変更などの際に課税される |
消費税 | 別荘の購入費用やリフォーム費用などに課税される |
管理費・修繕積立金 | 別荘の管理・修繕費用として、毎月もしくは毎年支払う |
これらの費用を踏まえ、セカンドハウス認定や減免制度の活用など、税金対策を検討することで、別荘にかかる費用を抑えることができます。
別荘の購入は大きな買い物です。費用をよく検討し、計画的に進めていきましょう。