宿泊コラム

民泊 営業日数 何日?年間の稼働日数と売上シミュレーション

民泊 営業日数 何日?年間の稼働日数と売上シミュレーション

1. はじめに:民泊で収益を最大化する「営業日数」という視点

民泊ビジネスを成功させるためには、収益を最大化することが重要です。収益は、物件の稼働率に大きく左右されます。そして、稼働率を左右するのが「年間営業日数」です。

民泊を始めたいけれど、「年間何日営業すればいいの?」「そもそも何日営業できるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

年間営業日数は、法律によって制限されているケースや、物件の運用方法によって変化するケースがあります。

本記事では、民泊における年間営業日数の概念、法的な制限、そして売上シミュレーションを通して、収益目標達成のための戦略的な営業日数の設定方法について解説していきます。

2. 民泊ビジネスの基本「年間営業日数」

年間営業日数の定義

年間営業日数とは、1年間(365日)のうち、実際に宿泊サービスを提供して収益を得られる日数を指します。

項目説明
営業日宿泊サービスを提供し、収益を得られる日
非営業日清掃、メンテナンス、オーナーの都合等で宿泊サービスを提供しない日

例えば、週末のみ営業する場合は、年間の営業日数は約104日(52週間 × 2日)となります。一方、毎日営業する場合は、年間営業日数は最大で365日となります。

年間営業日数は、民泊ビジネスの収益を左右する重要な要素の一つです。なぜなら、営業日数が多ければ多いほど、収益を得られる機会が増えるからです。

営業日数の重要性

民泊ビジネスにおいて、年間営業日数は収益に直結する重要な要素です。なぜなら、営業日数が多ければ多いほど、お客様を受け入れる機会が増え、売上増加に繋がるからです。

営業日数売上
多い増加傾向
少ない減少傾向

もちろん、単純に営業日数を増やせば良いというわけではありません。宿泊料金の設定や稼働率の変動なども考慮する必要があります。しかし、収益目標を達成するためには、年間を通して安定した集客を見据え、戦略的に営業日数を設定することが重要です。

3. 民泊における「180日ルール」とは?

法律の背景と目的

民泊における「180日ルール」は、2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)によって定められました。

法律目的
住宅宿泊事業法(民泊新法)近年急増する民泊利用と、従来の旅館やホテルとのバランスを図り、健全な観光産業の発展と近隣住民の生活環境の保護を両立させることを目的とする。

この法律の背景には、急増する民泊利用によって、

  • 近隣住民とのトラブル増加
  • 住居不足の深刻化
  • 違法民泊の横行

といった社会問題が顕在化してきたことがあります。

180日ルールは、これらの問題を抑制し、民泊と従来の宿泊施設との共存を図りながら、健全な民泊市場を育成するために設けられました。

営業日数のカウント方法

180日ルールにおいて、営業日数は宿泊客を受け入れた日をカウントします。

具体的には、以下の表に示すようにチェックイン・チェックアウトの日を問わず、宿泊した事実があれば1日とカウントします。

行動営業日数にカウントされるか
1泊の宿泊1日
2泊の宿泊2日
チェックインのみで宿泊なしカウントされない
チェックアウトのみで宿泊なしカウントされない

例えば、3月1日にチェックインし、3月3日にチェックアウトした場合、宿泊日数は2泊となりますが、営業日数としては3月1日、2日、3日の3日間がカウントされます。

チェックイン・チェックアウトだけの日は宿泊した事実がないため、営業日数にはカウントされません。

このカウント方法を理解した上で、年間の営業計画を立てるようにしましょう。

4. 180日ルールを超えて営業する方法

簡易宿所の許可を取得する

180日を超えて民泊を営業したい場合、旅館業法上の「簡易宿所」の許可を取得する方法があります。

簡易宿所とは営業日数
寝室の広さが原則7㎡以上の宿泊施設制限なし
フロント設置や宿泊者名簿の作成・保管が義務付け

簡易宿所の許可を取得することで、年間を通して民泊を営業することが可能になります。ただし、フロント設置や宿泊者名簿の作成・保管など、旅館業法上の要件を満たす必要があります。

また、消防設備の設置や衛生管理など、旅館業法に準じた厳しい基準をクリアする必要があり、準備や費用がかかる点は留意が必要です。

特区民泊の認定を受ける

国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業法に基づき、国家戦略特別区域(特区)内では、旅館業法の許可要件が緩和された「特区民泊」の認定を受けることで、年間180日を超えて営業することが可能です。

 特区民泊として営業するためには、それぞれの特区が定める条例に基づいた認定を受ける必要があります。例えば、東京都大田区の場合、以下の要件を満たす必要があります。

要件内容
住宅の用途に関する要件住宅専用地域内にある住宅であること
住宅の規模に関する要件居室の床面積の合計が25平方メートル以上であること
住宅の設備に関する要件トイレ、浴室、台所が設置されていること
その他の要件近隣住民への説明会の実施、宿泊者名簿の作成・保管、苦情への対応など

 特区民泊は、旅館業許可と比べて手続きが簡素化されている場合があり、比較的、営業開始までのハードルが低い点がメリットと言えるでしょう。

マンスリーマンションとして運用する

180日ルールにとらわれずに民泊物件を運用する方法の一つに、マンスリーマンションとして運用する方法があります。

マンスリーマンションは、1ヶ月以上の賃貸契約を前提とした賃貸住宅です。旅館業法の適用外となるため、180日ルールを超えて営業することが可能です。

運用形態メリットデメリット
マンスリーマンション180日ルール適用外で年間を通して営業可能入居率の低下リスク、家賃収入が安定しない可能性
民泊需要に合わせて価格設定が可能、高収益も見込める法規制の遵守、清掃・管理業務の負担

マンスリーマンション経営は、空室リスクを軽減するために、立地や物件の魅力を高めることが重要となります。また、賃貸契約や入居者管理などの業務が発生するため、不動産管理会社への委託も検討する必要があります。

レンタルスペースとして活用する

180日ルールに縛られずに収益を得たい場合は、レンタルスペースとしての活用も考えられます。

用途営業日数制限メリットデメリット
撮影スタジオなし高単価な利用料金を設定できる可能性がある。専門的な機材の設置やスペースの確保が必要になる場合がある。
ワークショップやイベントスペースなし需要に応じて柔軟な価格設定が可能。集客や予約管理に手間がかかる場合がある。
会議室なし法人需要を見込める。設備投資や清掃などの維持費がかかる。

ただし、用途によっては旅館業法の適用外となるか事前に確認する必要があります。また、近隣住民への配慮も重要です。騒音やゴミ問題などが発生しないよう、利用規約を設けるなどの対策も必要です。

5. 年間営業日数別の売上シミュレーション

シミュレーションの前提条件

売上シミュレーションを行うにあたって、以下の前提条件を設定します。

項目設定値
物件所在地東京都内
部屋タイプ1LDK(4名宿泊可能)
平均宿泊単価20,000円
想定稼働率70%

上記はあくまでも一般的な例であり、実際の売上は物件の立地や広さ、宿泊料金、稼働率によって大きく変動します。

ケーススタディ:180日営業の場合

ここでは、東京都内にあるワンルームマンションの一室(定員2名)を民泊として運用する場合を想定し、年間180日営業した場合の売上シミュレーションを見ていきましょう。

項目設定値
営業日数180日
平均稼働率70%
1泊料金15,000円

上記の設定の場合、年間売上高は約189万円となります。

  • 年間売上高 = 営業日数 × 平均稼働率 × 1泊料金
  • 年間売上高 = 180日 × 0.7 × 15,000円 = 1,890,000円

ただし、これはあくまで売上高であり、ここから清掃費用や管理費用、プラットフォーム手数料などの諸経費を差し引く必要があるため、実際の利益はこれよりも少なくなります。

ケーススタディ:365日営業の場合(旅館業許可取得など)

旅館業許可を取得するなどして365日営業する場合の売上シミュレーションを見ていきましょう。

項目想定
宿泊単価10,000円
客室稼働率70%

上記のような条件で、365日営業した場合の年間売上は以下のようになります。

年間売上 = 10,000円 × 365日 × 70% = 2,555,000円

旅館業許可を取得すると、年間を通して安定した収益を得ることが期待できます。また、長期滞在者など幅広い層の顧客を獲得できる可能性もあります。ただし、初期費用やランニングコスト、法規制への対応など、考慮すべき点も多くなります。

各ケースのメリット・デメリット比較

営業形態メリットデメリット
年間180日以内の民泊営業・初期費用が低く、手軽に始められる
・副業として始めやすい
・年間の稼働日数が限られるため、収益が制限される
・繁忙期のみの営業となり、安定収入を得にくい場合がある
旅館業許可を取得した営業・年間365日営業が可能となり、収益最大化を図れる
・安定した収入を得やすい
・初期費用やランニングコストがかかる
・旅館業法の厳しい規制に対応する必要がある

このように、年間180日以内の民泊営業は、手軽に始められる反面、収益が制限される可能性があります。一方、旅館業許可を取得した営業は、初期費用やランニングコストはかかりますが、収益を最大化できる可能性を秘めています。どちらの営業形態が適しているかは、それぞれの状況や目標によって異なります。

6. まとめ:収益目標と戦略に合わせた営業日数の設定を

民泊の営業日数は、収益目標や運営戦略によって最適な日数が異なります。180日以内の運用でも十分な収益が見込める場合もあれば、旅館業許可を取得して365日営業することで、より高い収益を目指せるケースもあります。

営業日数メリットデメリット
180日以内・手続きが比較的簡単
・副業として始めやすい
・年間収益が限られる場合がある
365日・収益最大化の可能性がある
・安定した収益が見込める
・旅館業許可取得など、準備や手続きが必要

最適な営業日数を決定するには、以下の要素を総合的に検討する必要があります。

  • 投資額
  • 収益目標
  • 競合物件の状況
  • 法的規制
  • 自身のライフスタイル

これらの要素を考慮し、綿密な事業計画を立てることが重要です。専門家である不動産会社やコンサルタントに相談し、アドバイスを受けることも有効な手段です。

宿泊不動産、
収益を最大化するなら9STAY。

物件の仕入れから運用、
売却までワンストップで対応。
収益シミュレーションから運営切り替えなど、
お気軽にご相談ください。