宿泊コラム

1. はじめに：儲からないと言われる民泊経営、その実態とは？

「民泊投資は儲かる！」 一昔前にはやったこの言葉。しかし、近年は「民泊 儲からない」という検索ワードで情報を探す人が増えています。

なぜでしょうか？

実は、以前と比べて民泊を取り巻く状況は大きく変化しています。

以前	現在
法規制が緩かった	法規制が強化された
競合が少なかった	競合が激化している
インバウンド需要に沸いていた	需要は落ち着きを見せる

このような変化により、以前のように簡単に儲かるビジネスモデルではなくなっているのが実情です。

しかし、だからといって、すべての民泊経営がうまくいっていないわけではありません。しっかりと戦略を立て、工夫を凝らすことで、収益を上げている物件も数多く存在します。

この先では、儲からないと言われる民泊経営の理由を具体的に解説した上で、成功するための戦略について詳しく見ていきましょう。

2. なぜ儲からない？民泊経営の3つの落とし穴

(1) 法規制の強化：180日ルールと罰則強化

民泊事業を取り巻く法規制は年々厳しさを増しており、特に2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」（民泊新法）は、多くの事業者に大きな影響を与えました。

この法律で最も注目すべき点は、年間の営業日数の上限を原則180日とする「180日ルール」です。これにより、従来のように年間を通して自由に営業することが難しくなり、収益確保のハードルが高くなりました。

項目	内容
営業日数上限	原則180日以内
対象	住宅を宿泊施設として有料で貸し出す場合
罰則	無許可営業の場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金

また、無許可営業に対する罰則も強化されており、違反した場合には厳しいペナルティが科せられます。そのため、法規制を遵守し、適切な手続きを踏まえて営業することが重要です。

(2) 収益化までの道のり：初期費用とランニングコスト

民泊経営は、ホテル経営と比較して初期費用が低く始めやすいとされています。しかし、実際にはリフォームや家具家電の購入、消防設備の設置など、無視できない費用が発生します。

項目	内容	目安費用
リノベーション費用	内装工事、水回り改修など	数十万円～数百万円
家具家電購入費	ベッド、冷蔵庫、洗濯機、テレビなど	数十万円～
消火設備設置費	消火器、火災報知機など	数万円～数十万円
その他	備品購入、写真撮影、ホームページ作成など	数万円～数十万円

さらに、収益化には継続的なランニングコストも考慮しなければなりません。物件が賃貸の場合の家賃、光熱費、消耗品費、予約サイトへの手数料、清掃費用などは、たとえ空室期間があっても発生します。これらの費用をしっかりと把握し、収益計画に組み込むことが重要です。

(3) 競争激化：差別化戦略の欠如

民泊市場は年々拡大しており、それに伴い競争も激化しています。以前は物件を掲載するだけで集客できていたケースもあったかもしれませんが、現在では多くの物件がひしめき合う中で、他の物件との差別化が求められます。

差別化ポイント	具体的な内容
立地	駅近、観光地へのアクセス良好など
価格	リーズナブルな価格設定、時期に応じた価格調整
サービス	無料Wi-Fi、アメニティの充実、多言語対応など
コンセプト	家族向け、カップル向け、ビジネス向けなど

差別化ができていない場合、価格競争に巻き込まれ、収益を圧迫する可能性があります。また、顧客満足度が低ければ、口コミで悪い評判が広まり、集客に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

3. 成功への道筋：儲かる民泊経営のための5つの戦略

(1) 強みを活かす：立地・物件の魅力を最大限に

民泊経営を成功させるためには、その物件ならではの強みを最大限に活かすことが重要です。

まずは、立地条件を最大限に活きましょう。最寄り駅からのアクセスが良い、観光スポットへのアクセスが良いなど、旅行者にとって魅力的な立地条件を明確化し、アピールします。

立地条件の例	アピールポイント
駅徒歩5分	アクセス抜群
観光スポット徒歩圏内	観光に便利
静かな住宅街	ゆったりと過ごせる

次に、物件そのものの魅力もアピールポイントになります。一軒家、デザイナーズマンション、古民家など、物件の個性は宿泊客の心を惹きつけます。広々としたリビング、設備の充実、眺望の良さなども魅力として伝えましょう。写真や動画を効果的に活用し、視覚的に訴求することも重要です。

これらの強みを明確にすることで、他の施設との差別化を図り、宿泊客の心を掴むことができます。

(2) ターゲットを絞り込む：明確な顧客像とニーズへの対応

「誰にでも選ばれる施設」を目指すと、結局は「誰にも選ばれない施設」になってしまいます。成功するためには、明確な顧客像（ペルソナ）を設定し、そのニーズに合致したサービスを提供することが重要です。

例えば、以下のようなターゲットを設定し、それぞれに合わせたサービスを検討します。

ターゲット	ニーズ	サービス例
インバウンド観光客	日本文化体験	着物レンタル、茶道体験
家族旅行	子供向け設備	おもちゃ、ベビー用品の貸出
ビジネスマン	快適な仕事環境	Wi-Fi完備、デスク・チェアの設置

このように、ターゲットを絞り込むことで、より効果的な集客と満足度向上に繋がるのです。

(3) 差別化戦略：他の施設との差別化ポイントを明確に

競争が激化する民泊市場において、収益を上げるためには、他の施設との差別化が不可欠です。独自の強みを打ち出し、顧客に選ばれる理由を作り出すことが重要となります。

差別化ポイント	具体的な内容
コンセプト	特定のテーマ（例：古民家、アニメ、映画）を設定
サービス	体験型アクティビティ、周辺情報提供、多言語対応
設備	高品質なアメニティ、調理器具、エンターテイメント設備
空間	おしゃれなインテリア、リラックスできる空間
価格設定	ニーズに合わせた料金プラン（例：長期滞在割引、家族割）

例えば、ファミリー層をターゲットにするなら、子供用アメニティや遊具の設置、近隣の観光スポット情報の発信などが効果的です。外国人旅行者をターゲットにするなら、多言語対応や文化体験プログラムなどが差別化につながります。

重要なのは、顧客のニーズを的確に捉え、他にはない魅力を打ち出すことです。差別化を図ることで、価格競争に巻き込まれることなく、安定した収益確保を目指せるでしょう。

(4) 効果的な集客：適切なプラットフォームの活用

儲かる民泊経営には、いかに多くの顧客を獲得するかが重要です。そのためには、適切なプラットフォームを活用した効果的な集客が欠かせません。

一口にプラットフォームと言っても、それぞれに特徴があります。代表的なプラットフォームと、それぞれの特徴をまとめたものが下記の表です。

プラットフォーム	特徴	集客対象
Airbnb	世界最大級の民泊サイト	海外からの旅行者
Booking.com	ホテル予約サイトとしても有名	国内外の幅広い層
楽天トラベル	国内旅行者に人気	国内旅行者

上記以外にも、民泊仲介サイトは数多く存在します。それぞれのサイトの特徴を理解し、自施設のターゲット層に合ったプラットフォームを選ぶことが重要です。

また、複数のプラットフォームに掲載することで、より多くの顧客の目に触れる機会を増やすことができます。それぞれのプラットフォームの管理ツールを活用し、効率的に集客を行いましょう。

(5) コスト管理：適切な価格設定と経費削減

収益を最大化するには、適切な価格設定と徹底した経費削減が欠かせません。

項目	詳細
価格設定	需要変動を考慮したダイナミックプライシングの導入
	近隣施設との価格差を分析
経費削減	水光熱費などの固定費の見直し
	消耗品の調達先の見 Überprüfung
	清掃・リネン交換などの外部委託の検討

需要の少ない時期は価格を下げ、繁忙期には価格を上げるなど、柔軟な価格設定が重要です。また、固定費の見直しや消耗品の調達先を見直すことで、無駄なコストを削減できます。清掃やリネン交換などの業務を外部委託することも有効な手段です。

これらのコスト管理を徹底することで、収益向上に繋げることができます。

4. まとめ：戦略と工夫で収益化を目指そう！

民泊経営は、決して楽に儲かるという甘い世界ではありません。しかし、だからといって「儲からない」と決めつけてしまうのは早計です。

成功のカギは、

成功のカギ	具体的な内容
戦略性	法規制への対応、市場分析、差別化戦略の策定
工夫	魅力的な物件作り、効果的な集客、顧客満足度の向上

にあります。

上記のポイントを踏まえ、収益化を目指しましょう。