宿泊コラム

【マンション民泊】禁止されるケースとは?知っておきたい注意点

【マンション民泊】禁止されるケースとは?知っておきたい注意点

1.はじめに:マンション民泊の現状とこの記事でわかること

近年、インバウンド需要の高まりなどにより、マンションの一室を利用した民泊が注目されています。しかし、全てのマンションで民泊運営が許可されているわけではありません。実際には、多くのマンションで民泊が禁止されているケースが見られます。

マンションでの民泊は、手軽な収益源となる一方で、近隣住民とのトラブルや防犯上の問題など、様々な懸念も指摘されています。そのため、マンションの管理規約や法律によって厳しく制限されているのが現状です。

この記事では、マンションで民泊運営が禁止されるのはどのような場合なのかを、主な理由や具体的なケースと合わせて解説します。

この記事でわかること

  • なぜマンションで民泊が禁止されることが多いのか?
  • 「民泊禁止」がどのように規定されているのか?
  • 民泊運営が禁止される具体的なケース
  • 違法な民泊運営のリスク
  • 合法的にマンションで民泊を行うためのポイント

マンションでの民泊を検討されている方は、ぜひこの記事を参考に、正しい知識を身につけてください。

2.マンション管理規約による民泊禁止の理由

民泊がマンションの用途に反するケース

マンションの管理規約では、建物の用途を「住居専用」と定めていることが一般的です。これは、マンションが居住者の生活の場として利用されることを目的としているためです。

しかし、民泊は宿泊事業であり、不特定多数の人が短期間利用することを想定しています。この事業利用が、「住居専用」というマンション本来の用途に反すると見なされる場合があります。

具体的には、以下のような点が用途違反とされる理由となります。

  • 事業性の高い利用:
    • 継続的に宿泊客を受け入れること
    • 収益を目的とした利用であること
  • 居住利用との性質の違い:
    • 生活の場ではなく、一時的な宿泊施設として利用されること
    • 人の出入りが頻繁で、生活様式が一般の居住者と異なること

これらの要素が、マンションが本来持つ「居住」という用途から逸脱していると判断され、管理規約で禁止される根拠となるのです。特に、管理規約に「住居以外の用途に供してはならない」といった条項がある場合、民泊はこれに抵触する可能性が非常に高いといえます。

近隣住民とのトラブル(騒音、ゴミなど)の防止

マンションは多くの居住者が共同生活を送る場所です。民泊は、不特定多数の短期滞在者が頻繁に出入りするため、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。

  • 騒音: 深夜・早朝の話し声、生活音、荷物の出し入れの音など。
  • ゴミ: ゴミの分別ルール無視、指定日・時間外のゴミ出し、共用部への放置など。
  • 共用部の利用: エントランスや廊下での騒ぎ、私物の放置、非常階段の使用など。

これらのトラブルは、既存の居住者の平穏な生活を著しく妨げ、コミュニティの秩序を乱す原因となります。管理組合は、良好な住環境を維持するために、こうしたトラブルを未然に防ぐ目的で民泊を禁止することがあります。

例えば、以下のような状況が想定されます。

トラブル内容想定されるケース
騒音夜間にチェックインした宿泊客が廊下で大声で話す
ゴミゴミ出しルールを知らず、分別せずにゴミを出す

このようなトラブルを避けるため、多くの管理規約では民泊を含む短期賃貸を制限または禁止しています。

防犯上の懸念(不特定多数の出入り)

マンションで民泊を運営する場合、見知らぬ人が頻繁に出入りすることになります。これは、居住者にとって防犯上の大きな懸念となります。

具体的には、以下のような点が問題視されます。

  • 部外者の侵入リスクの増加: オートロックやセキュリティシステムがあっても、宿泊者が出入りする際に、部外者が便乗して侵入する可能性が高まります。
  • 不審者による犯罪リスク: 不特定多数の人が建物内を移動することで、窃盗やその他の犯罪が発生するリスクも否定できません。
  • 居住者の不安: 見慣れない人が頻繁に出入りする状況は、特に女性やお子さんのいる世帯など、多くの居住者に不安感を与えます。

管理組合は、こうした不特定多数の人の出入りがマンション全体のセキュリティレベルを低下させ、居住者の安全を脅かす可能性があると判断するため、民泊を禁止する理由の一つとすることがあります。良好な住環境を維持するためには、居住者が安心して暮らせることが不可欠です。

良好な住環境の維持

マンションは多くの人が共同生活を送る場所であり、お互いが気持ちよく暮らせる「良好な住環境」を維持することが非常に重要です。民泊運営は、この良好な住環境に影響を与える可能性があるため、管理規約で制限されることがあります。

具体的には、以下のような点が懸念されます。

  • 静穏の確保: 旅行者の出入りや深夜の話し声などが、他の居住者の安眠を妨げる可能性があります。
  • 共用部分の使用: 頻繁な来訪者によるエレベーターや廊下の利用増が、日常的な利用に支障をきたすことがあります。
  • ゴミ出しルール: 地域やマンション独自のゴミ出しルールが守られず、衛生環境が悪化する可能性があります。
懸念事項具体的な影響例
騒音他の居住者の睡眠妨害、ストレス増
ゴミ問題異臭の発生、害虫の増加
不特定多数セキュリティへの不安、住民間の交流希薄化

このように、民泊による不特定多数の出入りや生活習慣の違いが、それまで保たれていた平穏な共同生活を乱し、マンション全体の価値を損なう恐れがあるため、「住環境の維持」を目的として民泊が禁止されるケースが多く見られます。管理組合は、全ての居住者が快適に暮らせる環境を守るために、民泊に関するルールを設けているのです。

3.「民泊禁止」が規定される管理規約とは

管理規約の法的効力と役割

マンション管理規約は、区分所有者全員で構成される管理組合によって定められる、マンションの憲法ともいえるルールです。この規約は、マンションの維持管理や使用に関する基本的な事項を定めており、区分所有者だけでなく、その家族や賃借人など、マンションを使用する全ての人に対して法的な効力を持ちます。

管理規約の主な役割は以下の通りです。

  • 共同生活のルールの明確化: 共有部分の使用方法や修繕に関する取り決めなどを定めます。
  • 区分所有者間の権利義務の調整: 各区分所有者の公平な権利行使と義務履行を促します。
  • 良好な住環境の維持: トラブルを未然に防ぎ、快適な生活空間を保ちます。

特に民泊に関しては、規約でマンションの用途を「住居専用」と定めている場合や、民泊行為そのものを明確に禁止している場合があります。規約の内容は、その後の民泊運営の可否に大きく関わるため、必ず確認が必要です。

規約で定められること(例)民泊への影響
用途(住居専用など)営業利用の可否
専有部分の使用制限宿泊提供の制限
共用部分の使用ルール出入りの制限など

このように、管理規約はマンションの共同生活を維持するための重要なルールであり、その内容は区分所有法に基づき、法的な拘束力を持ちます。規約に違反した場合は、管理組合からの指導や法的措置が取られる可能性もあります。

標準管理規約における民泊に関する記述

マンションの管理規約は、区分所有者全員で建物を維持・管理していくためのルールです。国土交通省が作成している「マンション標準管理規約」は、多くのマンション管理規約のモデルとなっています。

この標準管理規約では、民泊について直接的に「禁止」とは明記されていませんが、以下の条項が民泊運営の可否に関わってきます。

  • 第12条(専有部分の用途)
    • 専有部分を専ら住宅として使用するものとする、と定めている場合が多いです。
    • 民泊は「住宅」以外の用途とみなされる可能性があります。
  • 第18条(敷地及び共用部分等)
    • 他の居住者に著しい迷惑を与える行為をしてはならない、と定めています。
    • 騒音やゴミ問題など、民泊運営がこれに該当する恐れがあります。

標準管理規約の解説では、「専ら住宅として使用する」という規定がある場合、民泊は原則として認められないとの考え方が示されています。

規定民泊への影響
用途(住宅)住宅以外の用途とみなされ、禁止の根拠となる
使用規則他の居住者への迷惑行為として、禁止の根拠となる

ただし、マンションの実際の管理規約は、この標準管理規約を参考にしつつ、それぞれのマンションの実情に合わせて作成されています。そのため、個別の管理規約を必ず確認する必要があります。

管理規約に違反した場合の影響

マンションの管理規約は、区分所有者全員で定められたマンション内のルールです。この規約に違反して民泊運営を行った場合、以下のような影響やリスクが発生する可能性があります。

  • 管理組合からの対応
    • 是正勧告や警告
    • 改善が見られない場合の差止請求訴訟
    • 管理費等の滞納がある場合の訴訟
  • 法的な措置
    • 規約違反を理由とした使用差止請求や損害賠償請求
    • 悪質な場合、区分所有法に基づく区分所有権の競売請求(非常に稀なケースですが可能性はゼロではありません)

また、賃貸物件で規約違反が発覚した場合、オーナーから賃貸借契約を解除される可能性もあります。

違反内容例想定される影響
無許可での民泊運営是正勧告、使用差止請求、損害賠償請求
騒音・ゴミ等のトラブル近隣住民からの苦情、管理組合からの指導
法令違反行政指導、罰則(住宅宿泊事業法違反など)

これらの影響は、マンションの管理組合や状況によって異なりますが、いずれも円滑なマンション生活を続ける上で大きな障害となります。

4.民泊運営が禁止される具体的なケース

管理規約で「住居専用」と定められている場合

マンションの管理規約で、建物の用途を「住居専用」と定めている場合、民泊運営は原則として禁止されます。これは、専有部分を住居以外の目的で使用することを制限する規定です。

民泊は、不特定多数の旅行者が宿泊する事業であり、一般的に「住居」としての用途とは見なされません。

用途区分民泊の可否(原則)
住居専用不可
事務所・店舗等規定による

「住居専用」規定がある場合、民泊を運営することは、マンションの管理規約に違反する行為となります。

  • 違反した場合の例
    • 管理組合からの警告・差止請求
    • 法的な措置(訴訟など)

管理規約は区分所有者全員が守るべきルールであり、これに違反する行為は、マンションの秩序を乱し、他の居住者に迷惑をかける可能性があるため、厳しく制限されるのです。必ずご自身のマンションの管理規約を確認してください。

管理規約で明確に民泊が禁止されている場合

マンションの管理規約や使用細則に、民泊や不特定多数の第三者への部屋の貸し出し行為が明確に禁止されている場合があります。これは、民泊によるトラブルやマンション全体の住環境悪化を防ぐために多くの管理組合が導入している規定です。

管理規約に「民泊禁止」「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅としての使用の禁止」といった文言が明記されている場合、そのマンションでは民泊運営は許可されません。たとえ民泊新法に基づいて行政への届出が可能な物件であっても、管理規約の規定が優先されるため、民泊を行うことはできません。

禁止規定の例意味
民泊の禁止住宅宿泊事業法に基づく民泊はできません
不特定多数への貸出禁止短期賃貸なども含む場合があります
住宅以外の用途での使用禁止宿泊施設としての利用はできません

管理規約に違反して民泊を行った場合、管理組合から是正勧告を受けたり、場合によっては訴訟を起こされたりするリスクがあります。また、近隣住民との深刻なトラブルに発展する可能性も高いです。

民泊を始める前に、必ず最新の管理規約を確認し、民泊に関する規定がないかをチェックすることが非常に重要です。

賃貸借契約で転貸や用途変更が禁止されている場合

マンションが賃貸物件である場合、民泊運営が禁止される重要なケースの一つに、賃貸借契約による制限があります。

賃貸借契約では通常、以下のような条項が含まれています。

  • 転貸(又貸し)の禁止: 借りた部屋を第三者に貸し出すことを禁じる条項です。民泊は実質的に部屋を宿泊者に貸し出す行為であり、これに該当します。
  • 用途変更の禁止: 契約で定めた用途(例:「居住用」)以外の目的で使用することを禁じる条項です。民泊は「宿泊施設」としての利用となり、用途変更にあたります。

これらの条項に違反して民泊運営を行った場合、以下のようなリスクがあります。

リスク内容詳細
契約解除オーナーから一方的に契約を解除される
損害賠償請求オーナーや管理組合から訴えられる
原状回復義務の発生部屋を元の状態に戻す費用を請求される

日本人・外国人といった契約者の国籍に関わらず、賃貸借契約の内容は等しく適用されます。必ず契約内容を確認し、オーナーの許可なく民泊運営を行わないようにしてください。

近隣からの苦情が多い場合

マンションでの民泊運営において、近隣住民からの苦情は、民泊禁止につながる重大な要因となり得ます。

主な苦情内容としては、以下のようなものがあります。

  • 騒音: 宿泊者の話し声、スーツケースの引きずる音、夜間の出入りなど
  • ゴミ: 分別ルール無視、指定場所以外への放置など
  • マナー: 共用部分での立ち話、喫煙、廊下での騒ぎなど
  • 不審者: 見慣れない人の頻繁な出入りによる不安感
苦情の種類具体例
生活騒音夜間の騒ぎ声、早朝の出入り
衛生問題ゴミの不適切な処理
セキュリティ見慣れない人の出入りによる不安
共用部分の利用廊下やエントランスでのマナー違反

これらの苦情が管理組合に寄せられ、改善が見られない場合、管理規約違反とみなされたり、良好な住環境を乱す行為として、管理組合から民泊の中止を求められることがあります。特に、日本人か外国人かにかかわらず、マンションのルールや日本の習慣に不慣れな宿泊者によるマナー違反が問題となるケースが多いです。

苦情がエスカレートすると、管理組合総会での決議により、民泊自体が禁止される可能性も出てきます。そのため、苦情が発生しないような対策を講じることが不可欠です。

旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)の要件を満たさない場合

マンションで民泊を運営するには、日本の法律を遵守する必要があります。主な法律は以下の通りです。

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法):年間180日の上限規制や届出が必要です。
  • 旅館業法:宿泊施設としての許可が必要です。

これらの法律で定められた設備や運営に関する基準を満たさずに民泊を行うと、違法な状態となります。

法律主な要件
住宅宿泊事業法都道府県知事等への届出、年間180日の上限など
旅館業法都道府県知事等からの許可、構造・設備の基準

法律の要件を満たさない違法な民泊は、行政指導や罰則の対象となり、当然ながら運営は禁止されます。法律を正しく理解し、必要な手続きを行うことが重要です。

5.違法な民泊運営のリスク

管理組合からの是正勧告や訴訟

マンションの管理規約に違反して民泊を運営した場合、まず管理組合から是正勧告を受けることになります。これは、規約違反状態を解消するよう求める警告です。

勧告に従わない場合、管理組合は以下のような法的措置を検討することがあります。

  • 使用差止請求訴訟: 裁判を通じて民泊運営の停止を求める訴訟です。
  • 損害賠償請求: 管理組合や他の居住者が被った損害(例えば、規約違反是正のための弁護士費用など)の賠償を求める訴訟です。

裁判所の判決により、強制的に民泊運営を停止させられたり、多額の賠償金を支払うことになったりする可能性があります。

対応段階内容
初期対応管理組合からの是正勧告
次の段階弁護士等を通じた交渉や警告
最終的な措置裁判による使用差止請求や損害賠償請求

このような事態を避けるためにも、管理規約を必ず確認し、遵守することが重要です。違法な運営は、管理組合との関係を著しく悪化させ、マンションでの居住が困難になるリスクも伴います。

行政による指導や罰則

マンションで許可なく民泊を運営するなど、法令に違反した場合、行政による指導や罰則の対象となる可能性があります。

例えば、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出をせずに民泊事業を行った場合、都道府県知事からの業務改善命令や事業停止命令を受けることがあります。これに従わない場合、罰金が科される可能性があります。

また、旅館業法に違反して無許可で宿泊事業を行った場合は、より重い罰則が科されることもあります。

具体的な罰則としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 住宅宿泊事業法に違反した場合: 6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金(無届出の場合など)
  • 旅館業法に違反した場合: 6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金(無許可営業の場合など)
違反の種類根拠法主な罰則例
無届出民泊運営住宅宿泊事業法業務改善命令、事業停止命令、罰金(100万円以下)
無許可旅館業営業旅館業法事業停止命令、罰金(100万円以下)、懲役(6ヶ月以下)

これらの行政処分や罰則は、事業継続を不可能にするだけでなく、社会的な信用を失うことにもつながります。適法な手続きを踏むことが重要です。

近隣住民との深刻なトラブル

違法な民泊運営は、周辺にお住まいの方々との関係を著しく悪化させるリスクがあります。具体的には、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。

  • 騒音問題:チェックイン・アウト時の騒音、宿泊者の話し声、夜間の騒ぎ声など
  • ゴミ出し問題:分別ルール無視、指定場所以外への投棄など
  • 不特定多数の出入りによる不安感
  • 共用部分の無許可利用や占有

これらの問題が続くと、近隣住民からの苦情が増加し、単なる注意だけでなく、関係修復が困難な深刻なトラブルに発展することがあります。

トラブルの種類具体例
騒音深夜のパーティー、スーツケースの引きずり
ゴミ分別されていないゴミの放置
出入り見慣れない人が頻繁に出入りする

こうしたトラブルは、ご自身の居住環境を悪化させるだけでなく、民泊運営に対する不信感を募らせ、管理組合全体の問題へと発展する可能性も否定できません。

契約解除や損害賠償請求

違法な民泊運営を行った場合、マンションの管理規約や賃貸借契約に違反することになります。これにより、以下のような厳しい措置が取られる可能性があります。

  • 賃貸借契約の解除
    • 賃貸物件で民泊を行った場合、オーナーは無断転貸や契約用途違反を理由に賃貸借契約を解除できます。
    • 契約解除後は速やかに部屋を明け渡す必要があり、従わない場合は強制退去の手続きが取られます。
  • 損害賠償請求
    • 管理組合やオーナー、近隣住民から、違法な民泊によって生じた損害に対する賠償を請求される可能性があります。
    • 想定される損害例は以下の通りです。
請求者想定される損害例
管理組合訴訟費用、対応にかかった人件費、マンションのイメージ低下
オーナー家賃収入の損失、原状回復費用、次の入居者募集の遅延
近隣住民精神的苦痛、弁護士費用

これらのリスクは非常に高く、経済的にも精神的にも大きな負担となります。合法的な手続きを踏まずに民泊運営を行うことは絶対に避けるべきです。

6.合法的にマンションで民泊を行うには

管理規約や使用細則の確認

マンションで民泊を始める前に、まずそのマンションの管理規約と使用細則を必ず確認してください。これらはマンションの住み方に関するルールブックであり、民泊が可能かどうかが明記されている場合があります。

  • 確認すべきポイント
    • マンションの用途(「住居専用」など)
    • 営業行為に関する制限
    • 民泊に関する具体的な規定(禁止、届出制など)

近年、多くのマンションでは管理規約で民泊を禁止する動きが進んでいます。管理規約は区分所有者全員が守るべきルールであり、これに違反した民泊運営は認められません。

確認事項内容
管理規約民泊可否、用途制限、営業制限など
使用細則ゴミ出しルール、共用部分の使用制限など

もし管理規約に民泊禁止の記載がなくても、「住居専用」とされている場合は、民泊は事業目的の利用とみなされ、規約違反となる可能性が高いです。不明な点は、必ず管理組合に問い合わせて確認しましょう。安易な判断は、後のトラブルにつながります。

管理組合への事前相談・許可

マンションで民泊を合法的に行うためには、管理規約の確認に加え、管理組合への事前相談や許可が必要となる場合があります。

多くのマンションでは、管理規約や使用細則によって専有部分の用途が「住居」に限定されていたり、民泊行為そのものが禁止されていたりします。このような場合、勝手に民泊を始めると規約違反となり、トラブルの原因となります。

まずは、管理組合に対し、民泊運営を検討している旨を相談してみましょう。相談の結果、以下のような対応が必要になることがあります。

  • 管理規約の改正: 民泊を許可するためには、管理規約そのものを変更する必要があるケース。総会での特別多数決が必要になります。
  • 使用細則の制定: 民泊のルール(宿泊者名簿の提出、利用時間の制限など)を定めた細則を設けるケース。
  • 個別の許可: 特例として、特定の住戸に限り個別に許可が下りるケース。

事前に相談することで、管理組合や他の居住者の理解を得やすくなり、スムーズな運営につながります。無許可での運営は絶対に避けましょう。賃貸物件の場合は、必ずオーナーの許可も得るようにしてください。

賃貸物件の場合はオーナーの許可

マンションが賃貸物件である場合、民泊運営を行うには、まずその物件のオーナー(貸主)の許可を得ることが必須となります。

賃貸借契約書には通常、「転貸(又貸し)」や「契約の目的外使用」を禁止する条項が含まれています。民泊は実質的に部屋を第三者に又貸しし、居住以外の目的で使用することにあたるため、オーナーの許可なく行うと契約違反となります。

オーナーに無断で民泊運営を行った場合、以下のようなリスクがあります。

  • 賃貸借契約の解除
  • 原状回復費用の請求
  • 損害賠償請求

オーナーによっては、民泊運営を許可する代わりに、賃料の増額や特別な契約条項を追加することもあります。必ず事前に相談し、書面での同意を得るようにしましょう。

確認事項詳細
契約書の確認転貸・用途変更に関する条項を確認
オーナーへの相談民泊運営の意向を伝え、許可を求める
書面での同意許可を得た場合は、必ず書面で残す

オーナーの許可は、管理規約の遵守や法令遵守と並んで、賃貸物件で民泊を行う上での重要なステップです。

法令(民泊新法など)遵守と届出

マンションで民泊を行うには、関係法令を守る必要があります。主な法令は以下の通りです。

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法):年間180日以内の制限があり、都道府県等への届出が必要です。
  • 旅館業法:日数の制限はありませんが、厳しい施設基準や営業許可が必要です。
  • 特区民泊(国家戦略特別区域法):自治体が条例で定めた区域で、2泊3日以上の滞在が必要です。

これらの法令で定められた要件を満たし、適切な手続き(届出や許可取得)を行わなければ、違法な民泊運営となります。

法令名概要手続き
住宅宿泊事業法(民泊新法)年間180日上限、住居専用地域でも可能など届出
旅館業法日数制限なし、施設基準が厳しいなど許可
特区民泊特定区域のみ、2泊3日以上など認定・届出

特に民泊新法は、マンションの部屋でも比較的始めやすいですが、消防法令への適合や、住宅宿泊管理業者への委託が必要になるケースもあります。法令を遵守し、必要な届出や許可を得ることが、合法的な運営には不可欠です。

7.まとめ:マンション民泊の注意点と正しい理解

マンションで民泊を運営する場合、何よりもまず管理規約の確認が不可欠です。「住居専用」と定められている場合や、明確に民泊が禁止されている場合は運営できません。

また、賃貸物件ではオーナーの許可も必要です。

さらに、住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法といった関係法令を遵守し、必要な届出や許可を取得することも重要です。これらを怠ると、管理組合からの是正勧告や行政指導、さらには罰則といったリスクに直面する可能性があります。

合法的な民泊運営のためには、以下の点を確認しましょう。

  • 管理規約・使用細則:民泊が禁止されていないか
  • 賃貸借契約:転貸や用途変更が可能か(オーナーの許可)
  • 法令遵守:民泊新法等に基づく届出等

正しい理解と手続きを踏むことが、トラブルなくマンションで民泊を行うための鍵となります。

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