宿泊コラム

1. はじめに：キャンプブーム到来！儲かるキャンプ場とは？

近年、空前のキャンプブーム到来により、キャンプ場は多くのキャンパーで賑わっています。それに伴い、キャンプ場経営は大きなビジネスチャンスを迎えています。しかし、ただキャンプ場を開けば儲かるというわけではありません。

成功するキャンプ場	失敗するキャンプ場
ターゲットに合致した魅力的なコンセプト	顧客ターゲットが不明瞭
他のキャンプ場との差別化	競合が多いだけで差別化ができていない
顧客満足度の高いサービス	顧客ニーズを捉えられていない

上記の表が示すように、成功しているキャンプ場には、明確なコンセプト、独自の強み、そして顧客満足度を高めるための取り組みが共通して見られます。

一体、どのようなキャンプ場が「儲かるキャンプ場」と言えるのでしょうか？ このコラムでは、儲かるキャンプ場の特徴を具体的に解説していきます。

2. なぜ今、キャンプ場経営が儲かるのか？

(1) 需要の高まり：空前のキャンプブーム！

近年、空前のキャンプブームが到来しています。コロナ禍の影響でアウトドアレジャー人気が高まり、密を避けて楽しめるキャンプに注目が集まりました。

年	キャンプ人口（万人）	前年比（％）
2018	840	–
2019	860	2.4
2020	880	2.3
2021	960	9.1

出典：日本オートキャンプ協会

上記表の通り、キャンプ人口は年々増加しており、ブームは一時的なものではなく、今後も継続していくと予想されます。このキャンプ需要の高まりが、キャンプ場経営を儲かるビジネスチャンスに押し上げています。

(2) 高収益の可能性：単価アップ＆長期滞在

従来のキャンプ場といえば、1泊数千円程度の料金設定が一般的でした。しかし、近年のキャンプブームによって、多様なニーズに対応した高価格帯のキャンプサイトも登場しています。

例えば、以下のように設備やサービスの充実度によって料金に差をつけることで、収益アップが見込めます。

区分	例	料金相場
フリーサイト	区画分けのない、自由なスペース	3,000円〜
区画サイト	電源・水道付きなど、設備が充実した区画	5,000円〜
コテージ	冷暖房完備、ベッドやキッチンなどが備わった宿泊施設	10,000円〜
グランピング施設	ホテル並みの豪華な設備とサービス	30,000円〜

また、近年は休暇の長期化やリモートワークの普及により、キャンプ場に長期滞在する人も増えています。長期滞在者向けの割引プランを設定するなど、工夫次第で収益をさらに伸ばせる可能性があります。

3. 儲かるキャンプ場の3つの特徴

(1) ターゲット層を絞ったコンセプト

– 家族連れ向け

ファミリーキャンプはキャンプブームの火付け役ともいえる人気ぶりです。そのため、家族連れをターゲットにしたキャンプ場は安定した収益が見込めます。

ターゲット	集客ポイント	具体的な設備・サービス例
家族連れ	安心・安全、快適性、子どもの遊び場	・区画サイト ・清潔なトイレ・炊事場 ・遊具広場、浅瀬の川

小さな子ども連れでも安心して過ごせるよう、サイトは区画型で、他のキャンパーとの距離を確保するのがおすすめです。また、清潔なトイレや炊事場は必須と言えるでしょう。さらに、子どもが楽しめる遊具広場や、安心して水遊びができる浅瀬の川などがあると、集客に繋がります。

– ソロキャンパー向け

近年増加しているソロキャンパーは、大人数のグループとは異なるニーズを持つため、彼らをターゲットにすることで、他のキャンプ場との差別化を図りやすくなります。

特徴	具体的な内容
静寂性	周りの音を気にせずリラックスできる区画分けや、静粛性を重視したルール設定を行う
プライベート空間の確保	広々としたソロサイトや、周囲からの視線を遮る植栽
充実した設備	一人でも手軽にBBQを楽しめるコンパクトな設備や、電源サイト

このようなソロキャンパーに配慮した環境を提供することで、高い満足度とリピート率を獲得できる可能性があります。

– ペット同伴向け

近年、ペットを家族の一員として考える「ペット共生」の考え方が広まり、愛犬と旅行を楽しみたいという飼い主が増えています。しかし、ペット同伴可能な宿泊施設は都市部に比べて地方ではまだまだ不足しており、特にキャンプ場は需要の高い宿泊施設と言えるでしょう。

ペット同伴可能なキャンプ場にすることで、以下のようなメリットがあります。

メリット	説明
ターゲットの拡大	ペット連れという新たな顧客層を獲得することができます。
単価アップの可能性	ペット同伴料金を設定することで、1組あたりの収益増加を見込むことができます。
長期滞在の可能性	ペットがいることで、飼い主はよりリラックスしてキャンプを楽しむことができ、長期滞在に繋がりやすくなります。

ペット連れキャンパーは、愛犬が快適に過ごせる環境であることを重視します。広々としたドッグランや、リードをつけずに遊べるフリーサイトなどを設置することで、他のキャンプ場との差別化を図りましょう。

(2) 集客力抜群の独自の魅力

– 絶景

集客力アップには、その土地ならではの絶景ポイントを活かすことが重要です。

圧倒的な絶景が魅力のキャンプ場例	説明
海辺のキャンプ場	海に沈む夕日や、星空を独り占めできるオーシャンビューサイトは、日常を忘れさせてくれる特別な体験を提供できます。
湖畔のキャンプ場	静かな湖面に映る朝焼けや、霧がかった幻想的な風景は、非日常感を味わいたいキャンパーに人気です。
山のキャンプ場	雄大な山々を望む絶景サイトや、眼下に広がる雲海は、自然のパワーを感じたいキャンパーの心を掴みます。
星空が見渡せるキャンプ場	空気が澄んだ高原にあるキャンプ場は、満天の星空観察に最適です。天体観測イベントなどを開催すれば、集客に繋がります。

これらの絶景ポイントは、ただ眺めるだけでなく、写真撮影やアクティビティに繋げることで、さらに顧客満足度を高めることができます。思い出に残る体験を提供することが、リピーター獲得に繋がります。

– アクティビティ

集客力アップには、キャンプ場内で楽しめるアクティビティの充実が欠かせません。日常を忘れられるような、特別な体験を提供することで、顧客満足度を高め、リピーター獲得につなげましょう。

ターゲット	アクティビティ例
家族連れ	川遊び、釣り、昆虫採集、アスレチック、キャンプファイヤー
ソロキャンパー	カヌー、SUP、トレッキング、星空観察、焚き火
ペット同伴	ドッグラン、ドッグプール、ペットと楽しめるアクティビティ

アクティビティは、周辺環境やキャンプ場のコンセプトに合わせたものを選ぶことが重要です。例えば、自然豊かな場所であれば、その特徴を生かしたアクティビティが効果的です。また、専門スタッフによる指導や体験プログラムなどを提供することで、より深い体験を提供し、顧客満足度を高めることができます。

– 充実した設備

儲かるキャンプ場には、快適なキャンプ体験を提供する充実した設備が整っています。例えば、以下のような設備があると、キャンパーの満足度が高まり、リピーター獲得に繋がります。

設備	説明
きれいなトイレ	水洗式トイレはもちろん、温水洗浄便座付きなど、ホテル並みの清潔感があるとさらに良いでしょう。
快適なシャワー	時間制限なしで利用できる無料のシャワーがあれば、キャンパーにとって大きなメリットです。
電源サイト	スマートフォンやパソコンなどを充電できる電源サイトは、現代のキャンパーにとって必須と言えるでしょう。
Wi-Fi環境	キャンプ場全体で無料で利用できるWi-Fiがあれば、ワーケーションなど、より幅広いニーズに対応できます。

これらの設備は、キャンプ場の収益を左右する重要な要素と言えるでしょう。

(3) 高リピート率を誇る顧客満足度

– 清潔感

高リピート率を誇るキャンプ場には、清潔感が欠かせません。特に、水回りの清潔さは顧客満足度に直結します。

場所	清潔感を保つための具体的な取り組み例
トイレ	・定期的な清掃・消毒・匂い対策 ・トイレットペーパーの補充
シャワー室	・排水溝のヌメリやカビの除去 ・アメニティの補充
炊事場	・生ゴミの適切な処理 ・排水溝の清掃 ・洗剤やスポンジの設置

これらの設備を常に清潔に保つことで、利用客は快適にキャンプを楽しむことができます。反対に、清潔感が欠如していると、不快な思いをさせてしまい、リピーター獲得の妨げになる可能性があります。常に利用客の目線に立ち、気持ちよく過ごせる環境作りを心がけましょう。

– ホスピタリティ

キャンプ場経営において、ホスピタリティは顧客満足度を左右する重要な要素です。顧客に「また来たい」と思わせる温かいサービスを提供することで、高いリピート率を獲得できるでしょう。

	具体的な例
親切なスタッフ	困っているお客様に積極的に声かけを行うなど、常に寄り添う姿勢を持つ
きめ細やかな対応	天候の変化やお客様のニーズに合わせて、臨機応変に対応する
アットホームな雰囲気	過度なサービスよりも、親しみやすく居心地の良い空間を提供する

例えば、キャンプ初心者の方には、テントの設営方法を丁寧に教えてあげたり、おすすめの過ごし方を提案したりすることで、安心してキャンプを楽しんでもらうことができます。また、常連客の方には、名前を覚えて親しみを込めて接したり、過去の利用時の情報を参考に、よりパーソナルなサービスを提供したりすることで、特別な時間を演出できます。

– コミュニティ

リピーターを増やすためには、キャンプ場を起点としたコミュニティ作りが重要です。常連客同士の交流を促進することで、顧客は「またこの場所に来たい」という気持ちになり、キャンプ場への愛着を育んでいきます。

手段	具体的な内容	メリット
SNSグループ作成	キャンプ場の最新情報発信やイベント告知を行う	顧客同士の交流促進、顧客との距離を縮める
イベント開催	季節ごとのイベントやワークショップを開催	特別な体験を提供、顧客同士の交流促進
コラボ企画	地域の企業や団体と連携したイベントやサービスを提供	新規顧客獲得、地域貢献

これらの取り組みを通じて、顧客はキャンプ場での体験をより深く共有し、特別な思い出を積み重ねていきます。結果として、顧客満足度が高まり、口コミやSNSでの拡散による新規顧客の獲得にも繋がります。

4. 失敗例から学ぶ！儲からないキャンプ場の共通点

(1) ターゲットが不明瞭

儲からないキャンプ場に共通する特徴の一つに、「誰に利用してもらいたいのか」というターゲット層が不明瞭な点が挙げられます。

例えば、以下のようなケースです。

ターゲット	設備・サービス内容	結果
不明瞭	あらゆるニーズに対応しようと設備投資	設備投資費用が回収できない
不明瞭	多様なイベントを開催	特定の層に響かず集客に繋がらない

「誰でも良いから来てほしい」という考えでは、設備投資やサービスが過剰になり、費用がかさむ一方で、誰の心にも響かず集客に繋がらないという悪循環に陥ってしまいます。結果として、経営を圧迫する要因になりかねません。

(2) 競合との差別化ができていない

近隣に似たようなキャンプ場が多い場合、顧客は価格やアクセスの良さだけで選んでしまいます。差別化ができていないキャンプ場は、顧客獲得のために価格競争に巻き込まれ、利益を圧迫してしまうでしょう。

魅力	差別化のポイント	具体的な例
ロケーション	アクセスが良いだけではないプラスアルファを	・湖畔の絶景を独り占めできるサイト ・都心から１時間以内で行けるグランピング施設
施設・設備	他のキャンプ場にはない魅力的な設備	・こだわりの内装で非日常感を味わえるグランピングテント ・子どもが遊べる遊具や水遊び場
サービス	顧客満足度を高めるきめ細やかなサービス	・地元食材を使ったBBQセットの配達 ・星空観察会やヨガ教室などのイベント開催

例えば、ファミリー層向けのキャンプ場でも、遊具が充実しているだけのキャンプ場はありふれています。しかし、「自然体験」をテーマに、専門スタッフによるネイチャークラフト体験や昆虫観察会などを実施しているキャンプ場は、他にはない魅力となり、顧客獲得に繋がるでしょう。

(3) 顧客ニーズを捉えられていない

現代のキャンパーは、キャンプ場に求めるものが多様化しています。そのため、顧客のニーズを捉えられていないキャンプ場は、顧客満足度が低く、リピーター獲得に苦戦してしまうでしょう。

顧客ニーズ	具体的な内容
清潔さ	トイレやシャワーなどの水回りの清潔さ
快適性	広々としたサイト、電源の有無
安全性	防犯対策、夜間の照明
情報提供	周辺施設やアクティビティの情報

例えば、トイレの清潔さを軽視したり、サイトが狭くテント設営に苦労したりするキャンプ場は、顧客のニーズに応えられていないと言えるでしょう。現代のキャンパーは、快適で安全なキャンプ体験を求めていることを忘れてはいけません。顧客の声に耳を傾け、ニーズを満たすための改善を怠らないことが、儲かるキャンプ場への道です。

5. まとめ：成功のカギは、差別化と顧客満足度！

儲かるキャンプ場経営には、他のキャンプ場との差別化と、顧客満足度の向上が不可欠です。

成功のカギ	具体的な方法
差別化	・ターゲット層を絞ったコンセプト設定 ・魅力的な独自コンテンツの開発
顧客満足度	・清潔感の維持 ・ホスピタリティ向上 ・コミュニティ醸成

顧客ニーズを捉え、他にない魅力的なキャンプ場作りを目指しましょう。快適な空間と特別な体験の提供が、顧客の心を掴み、高リピート率と収益アップに繋がります。