宿泊コラム

【簡単解説】一軒家で民泊を始める方法!許可に必要な手続きを解説
1. はじめに:一軒家での民泊は夢じゃない!

空き家問題や副業ブームなどを背景に、近年注目を集めているのが「民泊」です。
「いつか自分の家を使ってみたい」「空き家を有効活用したい」
そんな夢をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
一軒家での民泊は、マンションやアパートと比べて、
- 広々とした空間を提供できる
- 庭などを活用したBBQなど、より魅力的な体験をゲストに提供できる
- 他の宿泊者と顔を合わせることが少なく、プライバシーが保たれるため、ファミリーやグループ旅行に最適
といったメリットがあります。
一見、ハードルが高そうに思える一軒家での民泊ですが、必要な手続きやポイントを押さえれば決して夢ではありません。
この後紹介する内容を参考に、あなたも一軒家民泊オーナーを目指してみませんか?
2. 一軒家で民泊を始めるために必要なこと

2.1. そもそも民泊って?どんな種類があるの?
そもそも「民泊」とは、旅館業法の許可を得ているホテルや旅館とは異なり、一般住宅の空き部屋などを宿泊施設として旅行者に提供するサービスのことです。
大きく分けると、以下の3つの種類があります。
民泊の種類 | 説明 |
---|---|
民泊新法 | 住宅宿泊事業法に基づき、年間営業日数が180日以内と定められている |
旅館業法 | ホテルや旅館と同様に営業許可を取得する必要がある。年間を通して営業可能。 |
特区民泊(国家戦略特区法) | 国家戦略特区内のみで認められている、民泊の規制緩和制度 |
一軒家での民泊を考えている方は、それぞれの法律の特徴を理解した上で、どの法律が最適なのかを検討する必要があります。次の章では、それぞれの法律について詳しく解説していきます。
2.2. 一軒家にはどの民泊の法律が最適?
– 2.2.1. 民泊新法
「住宅宿泊事業法」、通称「民泊新法」は、2018年に施行された比較的新しい法律です。この法律では、旅館業法の許可を得るのが難しい住宅を使って、年間180日を上限に民泊を行うことが認められています。
要件 | 内容 |
---|---|
宿泊日数制限 | 年間180日以内 |
許可の取得 | 都道府県知事への届出が必要 |
消防設備の基準 | 既存住宅の場合は、住宅用防災警報器の設置など、簡易な基準を満たす必要がある |
衛生管理基準 | 宿泊者名簿の作成・保管、苦情対応など |
近隣住民への配慮 | 事前に近隣住民への説明や、連絡先の提示が必要 |
一軒家での民泊を考えている方は、この民泊新法の要件を満たしているかを確認する必要があるでしょう。
– 2.2.2. 旅館業法
一軒家全体で民泊を行う場合、旅館業法の許可を取得する方法もあります。旅館業法は、宿泊施設を営業するための法律です。この法律では、簡易宿所、旅館、ホテルなどの種類に応じて、より厳しい施設基準が求められます。
一軒家を旅館業法で運営する場合、一般的には「簡易宿所」の許可を取得することになります。
区分 | 面積基準 | 構造設備基準 |
---|---|---|
簡易宿所 | 原則として客室の延べ面積が15㎡以上 | フロント設置など旅館業法施行令で定める基準を満たす必要がある |
旅館業法は、民泊新法よりも厳しい基準が設けられているため、許可取得までに時間や費用がかかる場合が多いです。しかし、年間営業日数に制限がないなどのメリットもあります。
– 2.2.3. 特区民泊
特区民泊とは、国家戦略特区に指定された地域限定で認められている民泊です。旅館業法よりも緩和された条件で営業できるのが特徴です。
項目 | 内容 |
---|---|
営業日数 | 年間180日以内 |
許可要件 | 住宅の安全基準を満たしていること、近隣住民への説明など |
特区民泊は、都市部など一部地域に限定されますが、旅館業法よりも営業日数が多いメリットがあります。ただし、各自治体によって独自のルールが設けられている場合もあるため、事前に確認が必要です。
例えば、東京都大田区では、特区民泊の年間営業日数を条例で72日間に制限しています。このように、地域によって独自の規制があるため注意が必要です。詳細については、該当する自治体のホームページを確認するか、窓口へ問い合わせてみましょう。
2.3. 許可取得までのステップ
– 2.3.1. 必要書類を準備する
民泊の許可を得るための第一歩は、必要書類の準備です。必要な書類は、選ぶ法律や自治体によって異なる場合があります。事前に必ず確認しておきましょう。
代表的な必要書類は以下の通りです。
書類名 | 説明 | 備考 |
---|---|---|
申請書 | 各自治体の様式に沿って記入 | ホームページからダウンロードできる場合が多いです |
施設の平面図 | 間取りや広さ、部屋の数などを記載 | 縮尺は自治体によって指定があります |
消防設備の概要 | 消防設備の種類や設置場所などを記載 | 消防署に相談しながら作成する必要がある場合もあります |
近隣住民への説明資料 | 民泊運営の内容やルールなどを記載 | トラブル防止のためにも丁寧に作成しましょう |
その他 | 登記事項証明書、身分証明書など | 自治体や法律によって異なります |
書類の準備は煩雑で時間がかかる場合もあります。余裕を持って準備を進め、不明点は各窓口に問い合わせてみましょう。
– 2.3.2. 消防署へ申請
民泊を始めるには、宿泊施設としての安全性を確保するために消防署への申請が必須です。
消防法に基づき、客室数や延床面積に応じて必要な消防設備が異なります。場合によっては、消防署の職員による現地調査が行われ、必要な設備の設置や改修の指導を受けることになります。
一軒家で行う民泊の場合、以下のような消防設備の設置が求められるケースが多いです。
消防設備 | 概要 |
---|---|
自動火災報知設備 | 火災を自動的に感知し、警報を発する装置 |
誘導灯 | 停電時でも避難経路を分かりやすく表示する照明 |
消火器 | 火災の初期段階で消火活動を行うために設置 |
避難器具 | 避難経路が確保できない場合に備え、ベランダ等に設置するはしごなど |
消防署の検査に合格し、消防設備のスプリンクラー設備や自動火災報知設備などの設置が完了したら「消防法令適合通知書」の交付を受けます。この通知書は、その後の宿泊施設の登録手続きに必要となる重要な書類ですので、大切に保管してください。
– 2.3.3. 宿泊施設の登録
ここまでで必要書類が整い、消防署の検査も問題なく終われば、いよいよ宿泊施設の登録です。 登録は都道府県知事または保健所設置市の市長に行います。 申請方法は各自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。 主な申請方法は以下の通りです。
申請方法 | 説明 |
---|---|
オンライン申請 | インターネットを通じて申請する方法です。24時間いつでも手続きができ、郵送の手間も省けます。 |
郵送申請 | 申請書類を郵送で提出する方法です。 |
窓口申請 | 直接、都道府県庁または保健所設置市の担当窓口へ申請する方法です。 |
申請後、審査が行われ、問題がなければ宿泊施設の登録が完了となります。 登録証の交付を受けたら、晴れて民泊の運営開始です!
2.4. 意外と忘れがちな費用について
– 2.4.1. 申請費用
民泊運営には、当然ながら、開業資金がかかります。意外と忘れがちなのが、各種申請に必要な費用です。 主な申請費用は以下の通りです。
申請 | 法律 | 費用 | 備考 |
---|---|---|---|
宿泊施設登録 | 民泊新法 | 約6万円 | 都道府県・保健所によって異なる場合があります。 |
旅館業許可 | 旅館業法 | 約10万円 | 都道府県・保健所によって異なる場合があります。 |
特区民泊 | 各自治体によって異なります | 各自治体の条例によって費用が異なりますので、事前に確認が必要です。 |
上記はあくまでも目安です。例えば、旅館業法では、客室数や延床面積によって費用が変わることがあります。 また、行政書士に申請を依頼する場合は、別途手数料が発生します。 事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
– 2.4.2. 消防設備費用
一軒家を民泊として運用するには、消防法に基づいた安全基準を満たす必要があり、必要な消防設備の設置には費用が発生します。 物件の規模や構造によって費用は大きく変動しますが、主な設備と費用は以下の通りです。
消防設備 | 費用相場 | 備考 |
---|---|---|
自動火災報知設備 | 10万円~ | 宿泊室の数や延床面積によって設置義務の有無や設置台数が変わる場合があります。 |
誘導灯・誘導標識 | 数万円~ | 避難経路を示すための設備です。 |
消火器 | 1万円~ | 設置場所や消火器の種類によって費用は異なります。 |
避難器具 | 数万円~ | 避難はしごや救助袋など、建物の構造や階数によって設置が義務付けられる場合があります。 |
これらの費用に加え、消防設備の設置工事費用も発生します。 既存の設備の状況によっては、改修費用がかかる場合もあるため、事前に専門業者に見積もりを依頼し、正確な費用を把握しておくことが重要です。
– 2.4.3. 備品購入・リフォーム費用
一軒家民泊を始めるには、宿泊客が快適に過ごせるよう、様々な備品を揃える必要があります。 例えば、寝具やタオル、アメニティなどの基本的なものに加え、キッチン用品や家電製品なども必要になるでしょう。 さらに、物件によっては、バリアフリー化や老朽化した箇所の修繕など、リフォームが必要になる場合もあります。
費用項目 | 内訳例 | 目安費用 |
---|---|---|
寝具 | ベッド、布団、枕、シーツ、毛布など | 5~15万円/室 |
水回り | タオル、バスタオル、シャンプー、ボディソープなど | 1~3万円/室 |
キッチン | 食器、調理器具、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器など | 5~10万円 |
その他 | テレビ、エアコン、Wi-Fi、掃除機など | 10~20万円 |
リフォーム | バリアフリー化、水回り改修、内装工事など | 数十万円~ |
これらの費用は、物件の規模や状態、提供するサービス内容によって大きく異なります。 事前にしっかりと計画を立て、必要な費用を算出しておくことが大切です。 場合によっては、初期費用を抑えるために、中古品を活用したり、DIYでリフォームを行うのも有効な手段です。
3. 一軒家民泊で成功するためのポイント

3.1. ターゲットに合わせた魅力的な物件作り
一軒家民泊で成功するには、誰に利用してもらいたいかを明確にした物件作りが欠かせません。ターゲット層によって、求められる物件の魅力は大きく異なります。
例えば、ファミリー層であれば、
- 広々としたリビングやキッチンスペース
- 子供用のおもちゃや絵本
- ベビーベッドやベビーゲートなどの安全対策
などが喜ばれます。
ターゲット | 魅力的な設備・サービスの例 |
---|---|
ファミリー層 | 広いリビング、子供用アメニティ、キッチン用品、駐車場 |
グループ旅行者 | 複数の寝室、BBQ設備、大人数でもくつろげるリビングスペース、ゲーム機 |
カップル | おしゃれなインテリア、ロマンチックな雰囲気、ジャグジー付きバスルーム |
このように、ターゲットに合わせた物件作りをすることで、顧客満足度を高め、予約率アップに繋げることが期待できます。
3.2. 近隣住民への配慮を忘れずに
一軒家で民泊を始める際には、近隣住民への配慮が非常に重要です。トラブルを避けるためにも、事前に近隣住民へ民泊運営について説明し、理解と協力を得るように努めましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
挨拶 | 民泊運営を開始する前には、近隣住民へ挨拶を行いましょう。その際、運営方針や緊急時の連絡先などを記した書面を配布すると、より丁寧な印象を与えられます。 |
騒音対策 | 宿泊者の夜間・早朝の騒音は、近隣住民にとって大きな迷惑となります。宿泊者には、近隣住民への配慮を促すルールを設け、徹底させましょう。 |
ゴミ出し | ゴミ出しルールは地域によって異なります。宿泊者によるトラブルを避けるためにも、分かりやすくルールを明記し、守ってもらうようにしましょう。 |
駐車場問題 | 宿泊者の車が近隣の道路を塞いでしまうことがないよう、駐車場の利用ルールを明確に定めましょう。 |
これらの配慮を怠ると、近隣住民とのトラブルに発展し、最悪の場合営業停止に追い込まれる可能性もあります。民泊運営は、近隣住民の理解と協力があってこそ成り立つということを忘れないようにしましょう。
3.3. 集客アップのための戦略
集客は、民泊事業の成功に欠かせません。一軒家民泊の魅力を最大限にアピールし、多くの旅行者を集めるための戦略をいくつかご紹介します。
戦略 | 内容 |
---|---|
魅力的な写真と説明文の掲載 | 旅行者の心を掴む、高画質で魅力的な写真と、詳細な説明文を掲載しましょう。 |
宿泊予約サイトの活用 | AirbnbやBooking.comなど、複数の宿泊予約サイトに登録し、露出を増やしましょう。 |
SNSでの発信 | InstagramやFacebookなどで、施設の魅力やイベント情報を発信し、認知度を高めましょう。 |
地域との連携 | 地域の観光情報やイベント情報などを提供し、地域密着型のサービスを展開しましょう。 |
多言語対応 | 英語や中国語など、多言語に対応することで、より多くの旅行者へアプローチできます。 |
柔軟な料金設定 | 需要に応じて料金を調整するダイナミックプライシングなどを活用し、収益の最大化を目指しましょう。 |
リピーター獲得 | 宿泊客の満足度を高め、リピーターになってもらえるようなサービス提供を心がけましょう。 |
これらの戦略を組み合わせることで、集客力を高め、安定した収益を得ることが期待できます。
4. まとめ|しっかり準備して最高の民泊を始めよう!

一軒家での民泊は、適切な準備と運営を行うことが成功への鍵となります。
始める前の段階では、必要な手続きや費用、近隣住民への配慮などをしっかりと理解しておきましょう。
ステップ | 内容 |
---|---|
法律の理解 | 民泊新法・旅館業法・特区民泊の違いを理解し、自分に最適なものを選ぶ |
許可取得 | 必要書類の準備、消防署への申請、宿泊施設の登録を適切に行う |
費用対効果の検討 | 申請費用・消防設備費用・備品購入・リフォーム費用などを考慮し、収益計画を立てる |
近隣住民への配慮 | 事前に近隣住民に説明を行い、騒音やゴミ問題などに配慮する |
これらのポイントを踏まえ、魅力的な物件作りと効果的な集客戦略によって、お客様に最高の思い出を提供できる民泊を目指しましょう!