宿泊コラム

【完全ガイド】民泊を始めるための手順とは?法律・許可・運営方法まで詳しく解説!

【完全ガイド】民泊を始めるための手順とは?法律・許可・運営方法まで詳しく解説!

1. はじめに:民泊とは何か、なぜ今始めるべきか

民泊とは、個人が所有する空き部屋や空き家を観光客などに短期間貸し出すビジネスのことです。これまでホテルなどが中心だった宿泊業界において、個々の魅力ある空間での滞在を可能にする新たな選択肢として注目を集めています。

また、なぜ今民泊を始めるべきかというと、社会情勢とマーケットの成長によります。まず、訪日外国人観光客数の増加に伴い、宿泊施設への需要が高まっています。加えて、新型コロナウイルスの影響で旅行の形態も変化し、よりプライベートな空間での滞在を求める人も増えています。

さらに、民泊新法の施行により、適法な民泊運営が容易になった点も無視できません。これらの動きを踏まえ、今後更なる市場拡大が期待され、今が民泊ビジネスをスタートさせる絶好のチャンスであると言えます。

2. 民泊の種類とそれぞれの特性

(1) 旅館業法に基づく民泊

旅館業法に基づく民泊は、その名の通り、旅館業法の下で運営される宿泊事業の一つです。これを始めるにはまず、市区町村の指導に従って、建物や設備の準備を行い、旅館業許可を取得する必要があります。

以下は旅館業法に基づく民泊の主な特性となります。

特性詳細
許可制市区町村の許可が必要
年間稼働日数無制限
宿泊者数規制5人以下(5人以上は旅館業)

この方式のメリットは、年間稼働日数が無制限であることから、安定した収入を見込むことができます。一方、許可申請には多くの条件を満たす必要がありますので、準備には時間とコストがかかります。

(2) 特区民泊

特区民泊とは、国や地方公共団体が定めた特別区域内で行うことができる民泊のことを指します。

異なるのは、旅館業法に基づく民泊や民泊新法による民泊と比較して規制が緩やかで、ホストの居住要件や宿泊日数制限が存在しない点です。一方で、地域ごとに設定されたルールを遵守する必要があります。

例えば、以下のような特区ルールがあります。

特区種別レギュレーション
A特区旅館業許可不要、ホストの居住要件なし
B特区旅館業許可不要、ホストの居住要件あり

宿泊事業を始める際は、事前に自身の物件がどの特区に該当するのかを確認し、そのエリアのルールを理解しておくことが重要です。

(3) 民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく民泊

民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく民泊は、2018年6月に施行された法律で、民泊運営に新たなルールを設けました。この法律に従い、住宅の一部または全部を短期的に貸し出す際には、事前に市町村に「住宅宿泊事業の届出」を行う必要があります。

また、この法律では運営日数を年間180日以内に制限しています。これを「180日ルール」と言います。

下記の表は、民泊新法における主なルールをまとめたものです。

項目内容
運営日数制限年間180日以内
届出市町村への事前届出が必要
安全対策避難経路の表示、煙感知器の設置等
滞在者への情報提供ごみの出し方、騒音に関する注意事項等

民泊新法に基づく運営は、ルールが明確である一方、複雑な手続きが必要となります。しっかりと理解し、正確に遵守することが求められます。

3. 民泊を始めるための法律と手続き

(1) 許可申請・届出の提出方法

民泊を始める前には、まず許可申請や届け出が必要です。旅館業法に基づく民泊では、都道府県知事への許可申請が必要で、民泊新法に基づく場合は市区町村への届け出が必要となります。

  1. 旅館業法に基づく民泊の許可申請: 以下の書類を都道府県知事に提出します。
  • 営業許可申請書
  • 営業所の図面
  • 経営者の身元を証明する書類 また、防火・衛生・安全などに関する様々な条件をクリアする必要があります。
  1. 民泊新法に基づく民泊の届出: 以下の書類を市区町村に提出します。
  • 住宅宿泊事業の届出書
  • 管理運営計画書
  • 適正遂行措置確認書 こちらも許可を得るためには、市区町村が定める各種の基準を満たす必要があります。

手続きは複雑ですが、正しく進めることで民泊事業がスムーズに行えます。

(2) 180日ルールの理解と利用方法

民泊新法では、1つの住宅につき年間180日までのみ宿泊施設として提供することが可能とされています。これを「180日ルール」と呼びます。

このルールを運営に活かすためには、まずは、ピークとオフシーズンの理解が必要です。例えば、観光地なら夏や春の観光シーズンに集中的に提供し、オフシーズンは短期賃貸や長期滞在者向けに提供するといった運用が考えられます。

また、一部地域では自治体が180日以下に短縮している場合もありますので、運用する地域の条例を確認しましょう。自治体によっては、一年間の運用日数を自由に設定できる場合もありますので、地域特性を活かした日数配分も重要です。以下に表を作成しましたので参考にしてください。

ピークシーズンオフシーズン
観光客への提供短期賃貸や長期滞在者への提供

このように、180日ルールは慎重な運用計画を必要としますが、理解し活用することで収益向上につながります。

(3) 重要な適正遂行措置

重要な適正遂行措置とは、民泊運営に際して法令順守が求められる対策のことです。これを怠ると、罰則が科せられる場合もありますので、注意が必要です。

以下に、その主な例を表にまとめました。

適正遂行措置内容
消防法への対応消火器の設置、避難経路の確保など
騒音対策適切な時間帯のみの営業、騒音防止対策の徹底など
ゴミ対策ゴミの分別指導、回収日の知識共有など
保険加入事故発生時の賠償責任対策

これらは一例であり、具体的な適正遂行措置は運営地域や物件の特性によります。必ず地域の自治体と確認し、完全に理解してから民泊運営を始めましょう。

4. 民泊の立地選定と物件の準備

(1) エリア選定のポイント

民泊事業を始める際、重要なポイントの一つが物件のエリア選定です。その際に考慮すべき要素は大きく3つあります。

  1. 観光地の有無:観光地が近くに存在すれば、観光客の宿泊需要が見込めます。また、地域の観光イベントなどもチェックしましょう。
  2. 交通アクセス:駅やバス停からのアクセス、また空港や主要駅からの距離も重要です。観光地へのアクセスにも留意が必要です。
  3. 地域のルール:自治体によっては民泊に関する独自のルールが設けられていることもあります。条例やルールを理解した上で選定することが重要です。

これらを考慮し、客層に合わせた最適なエリアを選定しましょう。選定したエリアについては、地方自治体の観光課などへ相談するのも一つの手段です。

(2) リノベーション・必要設備の準備

民泊を始めるにあたって、物件をゲストにとって魅力的な場所にリノベーションすることが重要です。まず、プライバシーが確保され、安全性が高い設計を心掛けましょう。また、清潔感を出すための内装や、ゲストがリラックスできる空間作りも大切です。

さらに、ゲストが快適に滞在できるよう必要な設備を整えることも必要です。以下に基本的な設備を示します。

〈必要な設備〉

  • ベッドや寝具
  • キッチン用具(冷蔵庫、コンロ、電子レンジなど)
  • バス・トイレ
  • エアコン・ヒーター
  • Wi-Fi環境
  • 消火器や煙探知機などの安全設備

これらの設備を準備することで、ゲストは安心して滞在できるでしょう。

(3) 一棟マンションでの運営の特性と注意点

一棟マンションでの民泊運営は、一部屋ずつではなく建物全体を利用するため、収益性が高い反面、適切な管理が求められます。

【特性】

  1. 高収益:一棟全体を運営することで、収益性が高まります。
  2. 管理効率:同一建物内に複数の部屋があるため、清掃やメンテナンスが効率的に行えます。

【注意点】

  1. マンション経営の知識・経験:建物全体の管理には、マンションの維持管理に関する知識や経験が必要です。
  2. コミュニケーション: 近隣住民や自治体との円滑なコミュニケーションが重要となります。

このように、一棟マンションでの民泊運営は大きな可能性を秘めていますが、その一方で資金面や人間関係などの課題も抱えています。運営を始める前にはしっかりと準備を行い、問題が発生した際には迅速かつ適切に対応できる体制を整えることが重要です。

5. 民泊運営のための準備と運用戦略

(1) 快適な設備とアメニティの工夫

民泊を運営する際には、ゲストが快適に過ごせるような設備とアメニティの工夫が欠かせません。まずは、必要な基本設備を整えることが大切です。これには、ベッド、エアコン、洗濯機、キッチン設備、Wi-Fiなどが含まれます。

また、ゲストが快適に過ごすためのアメニティも準備しましょう。シャンプー、リンス、ボディソープ、タオル、トイレットペーパーなどの基本的なものから、地元の特産品を取り入れたオリジナルアメニティまで、工夫次第でゲストの満足度を高めることが可能です。

さらに、設備やアメニティについては、リスティングページで具体的かつ魅力的に紹介することが重要です。ゲストが期待していた通り、またはそれ以上の体験ができるように配慮しましょう。

【設備とアメニティ一覧】

必要な基本設備アメニティ
ベッドシャンプー
エアコンリンス
洗濯機ボディソープ
キッチン設備タオル
Wi-Fiトイレットペーパー

(2) 初期費用と運転資金の算出と確保

民泊を始めるにあたり、初期費用と運転資金は必須です。初期費用は物件の購入やリノベーション、必要な設備の購入などにかかります。また、運転資金は日々の運営や突発的なトラブル対応などに必要です。

  1. 初期費用
    物件購入費用やリノベーション費用はもちろん、具体的には家具・家電・寝具・食器などの設備や、消耗品の初回購入費用、清掃具材や洗剤なども考慮する必要があります。その他、広告費や専門家への相談費用も予算化しておきましょう。
  2. 運転資金 運転資金は、定期的な清掃コストや消耗品の補充、設備のメンテナンスや修理、税金・公共料金、広告費用などに使われます。

事業を始めるときは、初期投資だけでなく6ヶ月〜1年分の運転資金も考慮に入れ、資金計画を立てることが大切です。

(3) リスティングページでの魅力的な情報発信

民泊の成功は、リスティングページの情報発信方法に大きく左右されます。まず、魅力的な写真を掲載しましょう。清潔で広々とした部屋、高品質なベッドや家具、こだわりのインテリアなど、宿泊したいと思わせる要素をアピールします。

次に、物件の説明文は具体的で親切に書くことが大切です。宿泊者が快適に過ごせる点や周辺の観光地情報など、魅力を伝える内容を盛り込みます。

また、レビューや評価も重要な情報源となりますので、積極的に受け取り、改善点があればすぐに対策を講じるよう心掛けましょう。

ポイント内容
写真魅力的な要素をアピール
説明文具体的・親切な表記
レビュー・評価積極的な受け取りと対策

以上のような情報発信を工夫することで、より多くの宿泊者に自分の民泊施設を選んでもらえるでしょう。

6. 民泊運営における確定申告と税務

(1) 確定申告が必要なケースとその方法

民泊運営で得た収入は、税法上の雑所得または不動産所得となり、確定申告の対象となります。

民泊運営で得た収入が20万円を超える場合、確定申告が必要です。また、20万円未満でも他の雑所得と合算して20万円を超える場合も、確定申告は必須となります。

確定申告の手続きは次のように進めます。

  1. 確定申告書(A)と所得計算書(B)、収支内訳書(C)を用意します。
  2. 所得計算書(B)には、民泊運営で得た収入と経費を記入します。
  3. 収支内訳書(C)には、具体的な収入の内訳と経費の詳細を記入します。
  4. これらの書類を税務署に提出します。

早めに必要書類を準備し、確定申告の手続きに備えましょう。

(2) 雑所得と不動産所得の理解

民泊の収入に対する税金は、その収入の性質によって「雑所得」または「不動産所得」に分類されます。

まず、「雑所得」とは、一般的に個人が事業を行わない形で得た収入全般を指し、例えば、賞金や年金などがこれに該当します。短期間の民泊運営収入も雑所得として扱われます。

一方、「不動産所得」は、家賃や民泊の長期運営による収入など、不動産を利用した収益を指します。この区分は、経費の計上方法や税金計算上の優遇措置が異なります。

それぞれの要件や計算方法については以下の表を参照してください。

雑所得不動産所得
該当する収入短期の民泊運営長期の民泊運営
計算方法所得 = 収入 – 必要経費所得 = 収入 – 各種経費(修繕費等)
税率所得税率による所得税率による

適切な税務処理のためにも、民泊運営の性質とそれに伴う税法の理解は必須です。

(3) 計上できる経費の一覧とその見分け方

民泊運営における経費は、正しく計上されることで、節税に繋がります。以下に、計上可能な主な経費を挙げます。

  1. 物件経費:家賃や修繕費、固定資産税など、民泊運営に直接関連する物件に掛かる経費です。
  2. 消耗品費用:アメニティや消耗品の購入費用も経費として計上できます。
  3. 広告宣伝費:物件の宣伝活動に使った費用も計上可能です。

しかし、全ての経費が計上できるわけではありません。例えば、私的な使用部分の家賃や飲食費などは計上できません。また、大きな修繕費は「償却費」として分割して計上する必要があります。

これらの判断は複雑な場合もありますので、税理士と相談しながら適切に経費を計上しましょう。

7. まとめ:民泊運営の成功への道筋と注意点

民泊運営を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  1. 法律・許可の理解と適切な申請: 民泊運営は法律の範囲内で行う必要があります。旅館業法、特区民泊、民泊新法による運営それぞれに異なる規制と手続きがあるため、事前にしっかり理解し、適切に申請しましょう。
  2. 適切な立地と物件選定: 旅行者のニーズに合わせたエリア選定が求められます。また、快適な設備やアメニティを整えることも大切です。
  3. 確定申告と税務対策: 民泊運営から得た収入は確定申告が必要です。雑所得や不動産所得の理解と、計上可能な経費の適用で税負担を軽減しましょう。

これらを踏まえた上で、自身のビジョンに照らし合わせた運用戦略を練り、自己の事業として確立することが成功への道筋となります。

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