宿泊コラム

1. はじめに：増加する民泊利用と盗撮リスク

近年、旅行の宿泊先として、ホテルや旅館に加えて、「民泊」を選択する人が増えています。

	民泊のメリット
宿泊費の安さ	ホテルや旅館に比べて宿泊費が安いことが多い
宿泊場所の選択肢の広さ	観光地から離れた場所や、ホテルが少ない地域でも宿泊できる
家庭的な雰囲気	アパートやマンションの一室を借りるため、家庭的な雰囲気で宿泊できる

民泊は、従来の宿泊施設とは異なる魅力的な宿泊スタイルとして、広く認知されるようになりました。

しかし、その一方で、民泊利用に伴う盗撮リスクの高まりも深刻な問題として浮上しています。

本記事では、民泊における盗撮の実態や、利用者ができる対策、万が一被害に遭ってしまった場合の対処法について詳しく解説していきます。

2. 民泊における盗撮の実態

2-1. 利用者の安心を裏切る犯罪

近年、旅行者からビジネスマンまで、幅広い層に利用されている民泊。宿泊費を抑えたり、自宅のようにくつろげる点が魅力ですが、その一方で、盗撮という卑劣な犯罪のリスクも潜んでいます。プライバシーが守られるはずの宿泊先で、知らないうちに撮影されているかもしれないという恐怖は、利用者の安心を大きく揺るがすものです。

2-2. 巧妙化する盗撮の手口と設置場所

盗撮犯の設置の手口は、年々巧妙化しています。かつては、ビデオカメラやデジタルカメラを隠す簡易的な方法が主流でしたが、近年は小型化・高性能化が進み、日常生活で使用するアイテムに偽装した盗撮機器も増えています。

盗撮機器の例	設置場所の例
時計型カメラ	寝室の時計、リビングの壁掛け時計
コンセント型カメラ	寝室のコンセント、浴室近くのコンセント
USB充電器型カメラ	ベッドサイドの充電器、テレビ周辺の充電器
ペン型カメラ	デスクの上、本棚
アロマディフューザー型カメラ	リビングの棚、寝室のサイドテーブル

　特に、宿泊者が警戒しにくい浴室や寝室は、盗撮犯にとって格好の設置場所です。また、最近では、シャワーヘッドやメガネフックなどに偽装した盗撮機器も見つかっています。宿泊前に室内をよく確認することが重要です。

3. 民泊利用者ができる盗撮対策

3-1. 予約前のチェックポイント

民泊予約の段階から、盗撮リスクを減らすためのチェックポイントがあります。事前に確認しておくべき点をしっかり押さえておきましょう。

チェック項目	内容
口コミ・レビュー	宿泊者のレビューで、「盗撮」や「カメラ」などのキーワードが出ていないか確認しましょう。
写真・間取り図	部屋の写真や間取り図をよく見て、不自然な点がないか確認しましょう。
セキュリティ対策	施錠方法やセキュリティシステムについて、事前に確認しておきましょう。
ホストとのコミュニケーション	不安な点や疑問点は、予約前にホストに直接問い合わせて解消しておきましょう。

これらのポイントを事前に確認することで、盗撮リスクを低減し、より安心して民泊を利用することができます。

3-2. 室内での注意点：怪しい場所の確認

民泊施設に到着したら、まずはセキュリティチェックを行いましょう。

盗撮カメラは小型化が進み、目視では発見しにくい場所に設置されているケースが増えています。

特に注意すべき場所をまとめたので、参考にしてください。

場所	特徴
照明器具	電球部分に内蔵されている場合がある
エアコン、空気清浄機	本体内部や吹き出し口に設置されているケースも
時計、テレビ周辺	電源タップやUSB端子に接続して設置されている場合がある
ベッド周り	ヘッドボードの裏、コンセント、クッションなどに注意が必要
水回り	シャンプーボトルや石鹸置き場などに偽装されている場合がある

上記以外にも、ペンやボタン、フックなど、日常的なアイテムに偽装した盗撮カメラも存在します。

不自然な配線や小さな穴がないか、注意深く確認することが大切です。

3-3. 持ち運び可能な盗撮対策グッズ

安心して民泊を楽しむためには、自分自身でできる対策も重要です。特に、持ち運び可能な盗撮対策グッズは、宿泊先に関係なく対策できるというメリットがあります。

グッズ名	特徴・使い方
盗撮カメラ発見器	電波を探知して盗撮カメラの有無を検知する機器です。 使用方法は製品によって異なりますが、怪しい場所に向けてスイッチを入れるだけで使用できる手軽な製品が多いです。
盗撮レンズ発見カード	カードに内蔵された特殊なレンズを通して、肉眼では見えない盗撮カメラのレンズを発見することができます。 怪しい場所に向けてカードをかざし、レンズの反射光を探すことで盗撮カメラを見つけ出すことができます。
セキュリティステッカー	「防犯カメラ作動中」といったステッカーを目立つ場所に貼ることで、盗撮犯への抑止効果を期待できます。 実際にはカメラが設置されていなくても、ステッカーの存在によって盗撮をためらう可能性があります。

これらのグッズは、家電量販店やインターネット通販などで手軽に購入できます。自分自身の安全を守るためにも、ぜひ活用を検討してみてください。

4. 盗撮を発見する方法

4-1. 不自然な機器やサインを探す

盗撮を発見するためには、室内に入ったらまず、不自然な機器やサインがないか注意深く確認することが重要です。

　具体的には、以下のような場所を重点的にチェックしましょう。

場所	チェックポイント
コンセント・電源タップ	不自然な形状の機器や、使用されていないコンセントにアダプタが接続されていないか
照明器具	電球部分に違和感がないか、レンズのようなものが埋め込まれていないか
時計、リモコン	不自然に向きが変わっていないか、小さな穴が開いていないか
スリッパ、サンダル	底面や側面に穴が開いていないか
ぬいぐるみ、置物	不自然に新しい、または古すぎるものはないか、電池交換の跡がないか
エアコン、空気清浄機	フィルター部分に機器が取り付けられていないか
家具の隙間	SDカードやUSBメモリのようなものが落ちていないか

　これらの場所に心当たりのない機器や不自然な点があれば、盗撮の可能性を疑い、安易に触らず、すぐに民泊の運営会社や警察に連絡しましょう。

4-2. スマホアプリを活用した発見

近年、手軽に盗撮を発見できるスマホアプリが登場しています。これらのアプリは、ネットワークに接続されていないカメラレンズの反射光や電磁波などを検知することで、隠されたカメラの特定をサポートします。

アプリの種類	特徴
赤外線検知アプリ	カメラレンズが赤外線を発していることを利用し、画面上に赤い点として表示します。無料のものから有料のものまで、様々な種類があります。
電磁波探知アプリ	電磁波の変化を検知し、盗撮カメラの可能性がある場所を特定します。ただし、Wi-Fiルーターなど、他の電子機器にも反応する場合があります。

アプリの精度や機能は開発元によって異なるため、事前にレビューなどを参考に、信頼できるものを選びましょう。 ただし、アプリはあくまで補助的なツールであり、発見を保証するものではありません。最終的には自身の目で確認することが重要です。

5. 被害に遭ってしまった場合の対処法

5-1. 証拠の保全と警察への通報

万が一、盗撮被害に遭ってしまった場合は、落ち着いて以下の手順で行動しましょう。

まずは、証拠の保全が最優先です。

• 盗撮機器や不審な痕跡には触れずに、写真や動画で記録しましょう。
• 設置場所や機器の状態を詳細に記録することで、後の捜査に役立ちます。

項目	記録内容例
設置場所	部屋の名称、機器の種類、設置されていた場所（家具の裏、コンセントなど）を具体的に記録する
機器の状態	形状、色、メーカー名、型番などがわかるように撮影する
不審な痕跡	配線の有無、粘着テープの跡など

証拠を保全した後は、速やかに警察に通報してください。

盗撮は犯罪です。泣き寝入りせずに、毅然とした態度で対処しましょう。警察への相談は、被害の拡大を防ぐためにも重要です。

5-2. 民泊運営会社・仲介サイトへの連絡

盗撮被害に遭った可能性がある場合は、宿泊先の民泊運営会社または予約した仲介サイトにも連絡を取りましょう。

連絡先	目的
民泊運営会社	被害状況の報告、物件の調査依頼、今後の対応に関する相談
仲介サイト	被害状況の報告、当該物件の掲載停止依頼、他の宿泊者への注意喚起依頼

連絡する際には、以下の情報を伝えるようにしましょう。

• 宿泊した物件名、予約番号
• 被害内容（盗撮された可能性があること、発見した証拠など）
• 具体的な日時や場所
• 警察への被害届の提出状況

運営会社や仲介サイトは、他の宿泊者の安全確保のためにも、情報提供に協力してくれるはずです。場合によっては、物件の調査や盗撮防止対策の強化などの対応も期待できます。

5-3. 専門機関への相談

盗撮被害は、身体的被害だけでなく、精神的なダメージも大きい犯罪です。

一人で抱え込まず、専門機関に相談することも考えてみましょう。

機関名	電話番号	相談内容
性犯罪被害相談電話	#8103	性犯罪被害に関する相談
いのちの電話	0570-783-556	悩みや不安に関する相談

上記以外にも、弁護士やカウンセラーなどの専門家もいます。

専門家のアドバイスを受けることで、法的措置や心のケアなど、適切な対応をすることができます。

6. まとめ：安全・安心な民泊利用のために

民泊は、ホテルや旅館とは異なる魅力を持つ反面、盗撮というリスクも孕んでいることを忘れてはなりません。しかし、事前の対策と適切な行動により、リスクを減らし、安全に民泊を楽しむことができます。

旅行の際は、予約前に宿泊先のレビューや情報をチェックし、怪しい点がないか確認しましょう。室内でも、不自然な機器やサインがないか注意深く確認することが重要です。

万が一、盗撮を発見したり、被害に遭ったりした場合は、落ち着って証拠を保全し、警察や関係機関へ連絡を取りましょう。

行動	詳細
予約前	レビューや設備情報をチェックする
室内	不審な機器や配線がないか確認する
被害時	証拠を保全し、警察へ通報する

上記を参考に、安全で楽しい民泊体験を実現してください。