宿泊コラム

【ホテル運営の基本】成功するための5つのポイントとは?

【ホテル運営の基本】成功するための5つのポイントとは?

1.ホテル運営とは?

(1)ホテル所有・経営・運営の違い

ホテルの所有、経営、運営はそれぞれ異なる概念です。ホテル所有とは文字通り、ホテルの土地や建物を所有している状態を指します。これに対して、ホテルの経営とは、ホテルのビジネス方針を決定し、それを基に全体を管理監督する役割を指します。

一方、ホテル運営は、日々の業務フローを管理し、ゲストが快適に過ごせる環境を提供する役割を果たします。この運営は、経営から派生するものであり、経営の方針を具体的に実行するための活動と言えます。

以下にそれぞれの役割を表にまとめています。

役割
ホテル所有土地や建物を所有
ホテル経営ビジネス方針を決定・全体を管理監督
ホテル運営日々の業務フローを管理・ゲストへのサービス提供

以上がホテルの所有、経営、運営の違いです。これらを理解することは、ホテルビジネスを成功させるための重要なステップとなります。

2.ホテル運営の主要な形態

(1)所有直営方式

所有直営方式は、ホテル運営の形態の一つで、ホテルの建物を所有し、直接運営を行う方式です。「自分のもの」であるため、運営方針やサービス内容の決定に自由度が非常に高いというメリットがあります。独自性を追求し、オリジナルのサービスを提供したい場合には最適な運営形態と言えます。

表1. 所有直営方式の特徴

メリットデメリット
運営方針やサービス内容の自由度が高い初期投資が大きい
利益全額を獲得可能リスク・負担も全て自己負担

しかし、反面、建物の建設や維持に必要な資金が大きな負担となります。また、経営難時には全てのリスクを自己負担する必要があります。これらの点を考慮し、資金計画を立てた上でこの方式を選択することが重要です。

(2)フランチャイズ方式

フランチャイズ方式とは、ホテルチェーンが確立したブランド名と運営ノウハウを活用し、個々のホテル運営者がその下で事業を行う形態です。具体的には、以下のような流れとなります。

  1. フランチャイザー(ホテルチェーン)からフランチャイジー(運営者)へブランド名と運営ノウハウの使用許可が与えられます。
  2. フランチャイジーはその使用許可を得ることで、フランチャイザーのブランド力と信頼性を利用した運営が可能となります。

この方式のメリットとして、ブランド力や集客力を活用できる点や、運営ノウハウが伝授されるため、未経験者でも安心して運営がスタートできる点が挙げられます。一方で、フランチャイズ料として一定の金額をフランチャイザーに支払う必要があるため、そのコストを考慮する必要があります。

(3)リース方式

リース方式は、ホテルの建物や設備を所有せずに、所有者から一定期間借りて運営する手法を指します。主に物件の地主が直接ホテルを運営する能力や経験を持ち合わせていない場合や、リスクを分散したい場合に選択されます。

具体的には、所有者と運営者間でリース契約を結び、運営者は契約期間中の収益と引き換えに固定のリース料を所有者に支払います。これにより、運営者は設備投資や建物の管理といったリスクを軽減でき、初期費用を抑えることが可能となります。

『リース方式のメリット・デメリット』

メリット: ・直接的な所有リスクを回避できる ・初期投資コストを抑えられる ・運営ノウハウに集中できる

デメリット: ・長期契約となるため柔軟性に欠ける ・成功した場合でも利益分配が発生する ・建物の老朽化に対する対策が必要

以上がリース方式の特徴となります。

(4)マネジメント・コントラクト方式

マネジメント・コントラクト方式は、ホテル運営の一つの形態であり、ホテル経営に必要な専門的な知識やノウハウを持つ運営会社にホテルの運営を委託し、所有者は物件の保有および設備投資に専念する形態です。

この方式のメリットは、所有者が運営リスクを低減できる点と運営会社の強みを活かすことができる点にあります。一方、デメリットとしては運営会社による運営方針に所有者が影響を与えにくい点が挙げられます。

また、契約方式には固定リース型と変動リース型があり、それぞれが異なるリスクとリターンを持つことを理解しておく必要があります。

【表1】マネジメント・コントラクト方式の契約タイプ

契約タイプリスクリターン
固定リース型安定
変動リース型変動

専門的な知識を持つ運営会社に運営を任せることで、ホテル経営の成功に繋げることができます。

3.ホテル運営を始めるために必要なもの

(1)ホテル開業・運営資金

ホテル運営を始めるためには、開業資金と運営資金が必要です。

開業資金は、建物や設備の建設・購入、内装、初期の人件費や広告費など、開業に当たって必要な経費をカバーします。大規模なホテルであれば数十億円以上、小規模であれば数千万円程度が目安とされています。

一方、運営資金は開業後の経費を支えます。これには人件費、食品・飲料費、光熱費、修繕費などが含まれます。メンテナンスを怠るとサービスが低下し、客離れを招く可能性があるため、適切な運営資金を確保することが重要です。

以下に資金計画の例を示します。

項目金額
建物購入・内装数千万~数十億
初期人件費数百万
広告費数十万~数百万

全てはホテルの規模や位置、コンセプトにより異なりますので、具体的な数字は専門的なアドバイザー等に相談することを推奨します。

(2)旅館業法許認可

ホテル運営を始めるにあたり、旅館業法に基づく許認可が必須となります。旅館業法とは、ホテルや旅館など宿泊施設の運営に関する法律で、この許認可を得るためには以下の条件を満たす必要があります。

  1. 旅館業の経営者が適切であること。
  2. 宿泊施設が衛生的であること。
  3. 宿泊施設が安全であること。
  4. 都道府県知事の認可があること。

これらの条件をクリアし、適切な書類を提出することで許認可を得られます。具体的な手続きは自治体により異なるため、詳細は各地方公共団体へ問い合わせると良いでしょう。

この許認可を得なければ、法律に抵触する形での運営となり、罰則があるため非常に重要なステップとなります。適切な許認可手続きを経て、安心してホテル運営を行いましょう。

(3)ホテル運営システム

ホテル運営をスムーズに行うためには、適切なシステムが不可欠です。このシステムは、予約管理から顧客管理、設備管理まで幅広い機能を備えています。

まず、予約管理では、オンラインでの予約からフロントでのチェックイン・チェックアウトの流れを一元化します。また、予約状況に応じた客室の最適な割り当てを行うことで、利益を最大化します。

次に、顧客管理では、顧客情報や過去の予約履歴、宿泊評価などを一元管理し、パーソナライズされたサービスを提供します。これによりリピーターを増やすことが可能です。

そして、設備管理では、館内の清掃状況や設備の故障、修繕の状況をリアルタイムに把握し、顧客満足度を保つための迅速な対応を可能にします。

これらのシステムは、ホテル運営の効率化と利益最大化に大いに貢献します。

4.成功するホテル運営の5つのポイント

(1)宿泊需要の囲い込み

宿泊需要の囲い込みはホテル運営における重要なポイントです。これは、顧客があなたのホテルを選ぶ理由を作り出し、継続的な宿泊を促進する戦略です。

初めに、目指すべき顧客層を明確に定義します。ビジネス客か、観光客か、またはその中でもさらに細分化したターゲットか、その特性によって戦略は変わります。

例えば、ビジネス客の場合、会議室の提供やビジネスデスク、高速インターネット接続などの施設とサービスを充実させることで囲い込みを図ります。

また、観光客の場合は、地元の観光情報を提供したり、観光地へのシャトルサービスを提供するなど、旅行を便利で楽しくする付加価値を提供します。これらの特化したサービスが宿泊需要の囲い込みにつながります。

(2)データドリブンな意思決定

成功するホテル運営では、データに基づいた意思決定が非常に重要です。これは、「データドリブンな意思決定」と呼ばれ、具体的には客室稼働率や平均宿泊費、直接予約率などの数値を見て、その評価や改善策を考えることを指します。

表1. データドリブンな意思決定の具体例

データ指標利用方法
客室稼働率高い値を維持するための戦略策定
平均宿泊費収益向上のための料金設定
直接予約率マーケティング効果の検証

これらのデータをもとに、施設の運営状況を把握し、より効果的な運営方針やマーケティング戦略を策定します。これにより、経営効率化や利益最大化につながると考えられます。

(3)人件費の抑制

成功するホテル運営には、人件費の抑制も重要な要素の一つです。特に、ホテル業界では人件費が大きなコストを占めるため、適切な人材管理と共にその抑制が求められます。

まず、スタッフの適正配置を行い、必要な人材を必要な時に配置することで効率的な業務運営を目指します。スタッフの配置は、ピークタイムとオフピークタイムの見極めが重要であり、業績に直結します。

時間帯配置人数
ピークタイム多め
オフピークタイム少なめ

また、研修や教育を通じてスキルアップを図ることで、一人ひとりの生産性を上げ、人件費の削減につなげます。これらの取り組みを通じて、質の高いサービスを提供しつつコスト管理を行うことが、ホテル運営における成功のカギとなります。

(4)業務支援システムの活用

ホテル運営において、効率的な業務遂行を可能にするためには、最新の業務支援システムの活用が欠かせません。これは、予約管理から清掃スケジュール、在庫管理まで、一連の業務を一元的に管理するためのシステムです。

たとえば、「部屋の空き状況」や「客のチェックイン/アウト時間」などのリアルタイム情報を共有することで、他部署との連携をスムーズにし、無駄な作業を削減します。また、一部のシステムでは「顧客の滞在履歴」や「部屋の使用状況」などのデータを分析し、マーケティングや施設の改善を図ることも可能です。

システムの導入は初期費用が必要ですが、中長期的に見れば人件費削減や業務効率化による収益アップに繋がるでしょう。運営を成功させるためには、最新技術の活用を視野に入れることが重要です。

(5)サービスの最適化と比較

成功するホテル運営において欠かせないのが、サービスの最適化と比較です。これは、単にサービスを提供するだけでなく、その質や効率性を常に高める努力を意味します。

1つは、自ホテルのサービスをより良くするための改善策を考えること。これには、顧客のフィードバックやスタッフの意見を活用するなどして問題点を特定し、それを解決する方法を模索します。例えば、チェックインの効率化やクリーニングサービスの充実などがあります。

また、他のホテルと比較して自分たちのサービスがどの程度であるかを把握することも重要です。競合他社のサービス内容や評価を調査し、それに対する自ホテルのポジショニングを見直すことで、独自性や競争力を高めることが可能です。

このように、サービスの最適化と比較は、質の良いサービスを提供し続けるための重要なポイントとなります。

5.まとめ

成功するホテル運営には、5つの重要なポイントがあります。

1つ目は、宿泊需要の囲い込みです。これは、顧客獲得とリピーター確保を目指すもので、具体的な施策にはマーケティングやサービスの工夫があります。

2つ目は、データドリブンな意思決定。これは、客室稼働率や人件費など、様々なデータを基に経営戦略を練ることを指します。

次に、人件費の抑制。これはコスト管理の一環であり、適切なスタッフ配分や効率的なシフト管理が求められます。

4つ目は、業務支援システムの活用。これにより、業務効率化やコスト削減を図ることができます。

最後に、サービスの最適化と比較。これは競合他社との差別化や、顧客満足度の向上を目指すものです。

これらを踏まえた上で、ホテル運営を行うことが求められます。これらを適切に活用し、経営戦略を練ることで、ホテル運営が成功につながります。

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