宿泊コラム

初心者でも安心!貸別荘経営の始め方と落とし穴を避けるコツ
1.はじめに
近年、観光地や自然豊かな地域での貸別荘経営が注目を集めています。自宅を有効活用したい、不動産投資を始めたいと考えている方々にとって、貸別荘経営は高い収益性と成長の可能性を秘めたビジネスと言えます。
しかし、その一方で、貸別荘経営には数々の手続きや規制、また初期投資などのハードルが存在します。これらの課題を解決しながら、成功へと導くための情報を具体的に提供していきます。
本記事では、貸別荘経営のメリット・デメリット、始め方から経営を成功させるためのポイントまで、初心者でも分かりやすく解説します。これから貸別荘経営を始める方、すでに始めているが更なる成功を目指す方の参考となれば幸いです。
2.貸別荘経営のメリット
(1)収益が発生する
貸別荘経営の大きなメリットの一つに、安定した収益が発生する点が挙げられます。具体的には、所有した別荘を一般の人々に貸し出すことで、家賃収入を得ることができます。そして、その仲介手数料や清掃費用を差し引いた利益が経営者の収入となります。また、季節による需要の変動を上手く利用し、ピークシーズンには高い賃料を設定することで、一定以上の収益を確保することも可能です。
例えば、以下のような収益モデルが考えられます。
月 | 家賃収入 | 仲介手数料・清掃費用 | 初月利益 |
---|---|---|---|
1月 | 300,000円 | 100,000円 | 200,000円 |
2月 | 300,000円 | 100,000円 | 200,000円 |
3月 | 500,000円 | 100,000円 | 400,000円 |
このように、月によって収益が変動するものの、一定以上の利益を獲得することが可能です。ただし、家賃設定や運営には戦略が必要なので、しっかりと計画を立てて取り組むことが大切です。
(2)物件を良い状態で保つことができる
貸別荘経営は、物件を良い状態で保つことが一つのメリットとなります。
本来、不動産は長期間放置していると劣化が進みます。しかし、貸別荘として運営することで、定期的な清掃や修繕が行われ、物件の状態を良好に保つことが可能となります。
また、宿泊客からのフィードバックによって、設備やインテリアの改善点を見つけ出し、常に最適な状態に保つこともできます。これにより、物件の価値低下を防ぎ、長期的な運営につながるのです。
以下の表は、物件状態を良好に保つためのポイントとその効果をまとめたものです。
ポイント | 効果 |
---|---|
定期的な清掃 | 物件の劣化防止 |
宿泊客のフィードバック活用 | 設備・インテリアの最適化 |
修繕作業 | 物件価値の維持 |
以上のことから、貸別荘経営は物件を良い状態で保つための有効な手段といえます。
(3)高利回りを実現しやすい
貸別荘経営の大きなメリットとして、高利回りを実現しやすいという点が挙げられます。例えば、通常の賃貸住宅と比較すると、貸別荘は1泊数千円から数万円という高額な料金設定が可能で、収入を増やすチャンスがあります。
また、貸別荘は季節やイベント、観光地の人気などにより、需要が変動します。これを巧みに利用すれば、利回りをさらにアップすることが可能です。
ただし、その一方で貸別荘経営は一年中安定した需要を見込むことは難しく、また運営にかかるコストも無視できません。ですから、高利回りを追求するためには、適切な価格設定や運営戦略、さらに独自のサービス提供などが求められます。ご自身での経営が難しい場合は、専門の運営会社に依頼することも選択肢の一つです。
3.貸別荘経営のデメリット
(1)ワンシーズン貸す場合の自己利用の制限
ワンシーズン貸しとは、旅行シーズン中だけ自分の別荘を他人に貸し出す経営形態です。しかし、この形態の貸別荘経営には注意点があります。
主な制約としては、自己利用の制限が挙げられます。旅行シーズン中は、自分で別荘を利用することが難しいかもしれません。特に高稼働期には、利益を最大化するためには可能な限り貸し出す必要があり、自己利用は秋や春といったオフシーズンに限定される可能性があります。
次に、一覧表で具体的な影響を見てみましょう。
利用可能期間 | 利益 |
---|---|
旅行シーズン中(自己利用なし) | 高利益 |
オフシーズン(自己利用あり) | 低利益 |
このように、ワンシーズン貸しの形態を選ぶ場合は、自己利用と利益のバランスをうまく取ることが求められます。
(2)初期費用がかかる
貸別荘経営を始めるには、最初にかなりの費用が必要となります。この初期費用には、物件の購入代金やリフォーム費用、行政手続きのための費用、広告費などが含まれます。以下に、各項目の大まかな費用を示します。
【表:貸別荘経営開始時の初期費用】 ・物件購入費:¥10,000,000〜¥100,000,000 ・リフォーム費:¥1,000,000〜¥10,000,000 ・行政手続き費:¥100,000〜¥500,000 ・広告費:¥500,000〜¥1,000,000
これらはあくまで一例であり、物件の規模や場所、リフォームの内容などによって大きく変動します。初めての経営であれば、予期せぬ出費もあるかもしれません。したがって、始める前にはしっかりとコスト計算をしておくことが大切です。
(3)手続きや手間が煩雑
貸別荘経営を始めるには、数々の手続きや手間が伴います。まず、土地や建物の購入から始まりますが、これには不動産取引の専門的な知識が必要です。次に、貸別荘として運営するためには旅館業の許可が必要となります。これは行政への申請と審査を経る必要があり、一定の時間と手間がかかります。
また、施設の運営に当たっては、少なくとも定期的な清掃や設備の点検・修繕が必要で、これらも手間とコストがかかる作業となります。
さらに、予約管理や問い合わせ対応など、日々の運営業務も複雑で、これらに対応するための人手やシステムが必要となります。
これらを一人で行うのは大変難しく、専門的な知識や経験を持つ業者に委託することも一つの方法です。しかし、それには別途費用が発生しますので、予め計画に盛り込むことが重要です。
4.貸別荘経営を始めるまでの流れ
(1)貸別荘経営が可能か調べる
貸別荘経営が可能か調べる前に、まず自身の目指す目標とリスク対策を明確にしましょう。その上で、以下の点を調査することが重要です。
1.【物件の条件】 まずは所有する物件、または購入を検討している物件が、貸別荘として適しているかを調査します。立地条件、物件の広さ、設備状況などがポイントとなります。また、季節ごとの需要も考えてみてください。
2.【法規制】 その物件が所在する地域の条例や法規制を把握しましょう。特に、旅館業法や建築基準法などの適用範囲を確認しておくことが必要です。
3.【費用対効果】 投資と運営に必要な費用と、想定される収益を比較します。リフォーム費用、広告費、清掃費などを見積もり、それに対するリターンが適切か評価しましょう。
以上のチェック項目をクリアしたら、貸別荘経営へのステップを踏み出す準備が整ったと言えます。
(2)行政手続きを始める
貸別荘経営を始めるにあたり、行政手続きは避けて通れません。まず、不動産投資としての別荘を貸し出すにあたり、旅館業法の下での旅館業許可が必要となります。この許可を得るためには、消防署や保健所などから安全性に関する確認を受ける必要があります。
また、別荘のある場所の地方自治体によっては、宿泊施設としての登録や条例に基づく通知が必要なケースもあります。各地方自治体による手続きの違いを事前に調査し、適切な対応をすることが重要です。
一般的な流れは以下の通りです。
- 旅館業許可申請:消防署や保健所からの確認を受けます。
- 地方自治体への登録または通知:条例に基づく手続きを行います。
行政手続きは、適切な申請と手続きが必要であり、しっかりと理解し進めていくことが求められます。
(3)リフォームや設計施工を考える
貸別荘経営を始める上で、物件のリフォームや設計施工は重要な要素です。まずは、対象物件の現状を詳細にチェックし、どの程度のリフォームが必要なのかを把握しましょう。床の張り替えや壁紙の変更だけでなく、水回りの改装や耐震補強も必要な場合があります。
また、設計施工では、旅行者のニーズを満たすために、どのような間取りや設備が必要かを考えます。例えば、大人数で利用できるダイニングスペースの確保や、趣味の時間を楽しむための共有スペースの設定などが考えられます。
物件のリフォーム・設計施工には専門知識が必要なため、確実に成功させるためにも専門家に任せることをおすすめします。その際、複数の業者から見積もりを取り比較することで、より良い結果を得ることができます。
(4)施工会社、清掃会社の選定
施工会社、清掃会社の選定は貸別荘経営において重要なポイントです。施工会社を選ぶ際には、コストパフォーマンスはもちろん、安全性や品質、そして施工期間を考慮に入れることが大切です。また、清掃会社選びでも同様に、信頼性やサービス内容、費用などを比較検討することが求められます。
例えば、以下のようにリストアップして比較すると良いでしょう。
【施工会社の選定】
施工会社 | 施工期間 | 施工費用 | 安全性・品質 |
---|---|---|---|
A社 | 3ヶ月 | 500万円 | 高 |
B社 | 2ヶ月 | 600万円 | 中 |
【清掃会社の選定】
清掃会社 | サービス内容 | 費用 | 信頼性 |
---|---|---|---|
X社 | 定期清掃+緊急対応 | 20万円/月 | 高 |
Y社 | 定期清掃のみ | 15万円/月 | 中 |
適切な会社選定により、貸別荘経営の運営をスムーズに進めることができます。
(5)運営開始
いよいよ貸別荘経営の運営を始めます。まず、広告を掲載し、予約の受け付けを開始することが必要です。登録サイトは数多く存在しますが、その中でもAirbnbや楽天トラベルなど、知名度の高いサイトを利用するのが一般的です。
また、運営には清掃のスケジュール管理も欠かせません。チェックイン・チェックアウトの間で清掃を行い、快適な空間を提供することが大切です。以下に清掃の一例を示します。
日時 | 内容 |
---|---|
11:00~ | チェックアウト |
12:00~15:00 | 清掃 |
15:00~ | チェックイン |
もちろん、問い合わせ対応も重要です。ゲストからの質問に対して丁寧かつ迅速に対応することで、評価を高めることが可能になります。貸別荘経営の成功は、施設の良さだけでなく、このような細やかなサービスが求められます。
5.貸別荘経営を始めるために必要な費用
貸別荘経営を始めるためには、大きく分けて4つの費用が発生します。初期投資の「物件の購入費用」や「リフォーム費用」、運営開始に必要な「設備導入費」、さらには定期的にかかる「運営費」です。
まず「物件の購入費用」は、物件の価格や築年数、地域により大きく変動します。次に、その物件をゲストが快適に過ごせるようにするための「リフォーム費用」が必要です。これには内装の改装や設備の更新などが含まれます。
また、「設備導入費」はゲストのニーズを満たすために必要な設備を揃えるための費用です。「運営費」は清掃費や広告費、必要に応じて発生する修繕費などを想定します。
これらを把握し、適切に予算を計画することが貸別荘経営成功の第一歩となります。
6.貸別荘経営で成功するためのポイント
(1)初期投資にメリハリを付ける
貸別荘経営を始める際、最初に必要となるのが初期投資です。しかし、全てを完璧にしようとすると費用が膨らみすぎてしまうこともあります。そのため、メリハリをつけて投資計画を立てることが重要です。
具体的には、以下のような点でバランスを考えます。
【表1】初期投資のポイント
ポイント | 内容 |
---|---|
物件購入 | 立地や大きさなどを考慮し、適正価格での購入を目指します。 |
リフォーム | 必要最低限のリフォームにとどめ、独自性を出す部分に投資します。 |
運営体制 | 清掃や管理は費用を抑えつつ、質の高いサービスが提供できる体制をつくります。 |
これらのポイントを押さえつつ、初期投資の目安となる費用を把握しましょう。無理な投資は回収に時間がかかるだけでなく、経営自体にも影響を与えるため、計画的に進めることが成功への第一歩です。
(2)エリアの収益性を事前に調べる
エリア選びは貸別荘経営の成功を左右します。そのため、事前にエリアの収益性をしっかりと調査することが必要です。
まずは、目的地となるエリアの人気度を調べましょう。観光地や自然豊かな場所、温泉地などは人気がありますが、その反面、競争も激しくなります。
次に、周辺の物件価格や地価を調査します。これは物件の適正価格を見極めるために重要です。また、そのエリアの観光客数や季節ごとの訪れる人々の数も確認しましょう。これにより需要と供給のバランスを把握することができます。
最後に、その地域の将来性を評価します。地方創生政策による人口増加や観光地としての開発計画などが進んでいる地域は、長期的な投資先として有望です。
以上の調査を行うことで、エリア選びで失敗しないようにすると同時に、安定した収益を得られる可能性が高まります。
(3)旅館業許可申請/設計/施工等は専門家に任せる
貸別荘経営を成功させるためには、プロに頼ることも大切です。
まず旅館業許可申請ですが、この手続きは一般的に時間と専門知識が必要となります。間違いのない申請をするためにも、行政書士や専門のコンサルタントに依頼することを推奨します。
次に、貸別荘の設計・施工です。建物の使い勝手や魅力が直接収益に影響するため、プロの目線で最適な設計を行うことが重要です。一般的には建築設計事務所やリフォーム業者に依頼します。
最後に、運営マネージメントです。清掃や施設のメンテナンスなど、日々の運営は専門業者に任せることでスムーズに行えます。収益を最大化するためにも、こういった業務のアウトソースを検討しましょう。
以上のように、専門家に依頼することで、混乱やミスを避け、貸別荘経営をスムーズに進めることが可能です。
7.まとめ:初心者でも安心!貸別荘経営の始め方と落とし穴を避けるコツ
貸別荘経営は手間や初期投資が必要ですが、その一方で高収益を期待できる魅力的なビジネスです。経営の開始は、まず対象物件が貸別荘経営に適しているかを調査することから始めます。次に行政手続き、リフォームや設計施工を進め、最後に清掃会社の選定と運営開始に至ります。
また、経営を成功させるポイントとして、初期投資にメリハリをつけること、エリアの収益性を事前に調査すること、そして旅館業許可申請や設計・施工は専門家に依頼することが挙げられます。
これらのステップを踏むことで、初心者でも安心して貸別荘経営を始め、落とし穴を避けることが可能になります。貸別荘経営の成功の一端を担えるよう、本ガイドがお役立て頂ければ幸いです。