宿泊コラム

【ホテル運営の秘訣】成功への第一歩はここから!初めてのホテル経営者が知っておくべき基礎知識

【ホテル運営の秘訣】成功への第一歩はここから!初めてのホテル経営者が知っておくべき基礎知識

1.ホテル運営の基本とは?

(1)ホテルの所有・経営・運営の違い

ホテルの所有、経営、運営という三つの要素はそれぞれ異なる役割を担っており、ホテル運営において理解しておくべき重要な点です。

まず、「所有」は物理的なホテルの建物や土地を所有することを指します。所有者は個人や不動産会社など、さまざまです。

次に、「経営」はホテルの全体的な運営方針を決定し、利益を上げるための戦略を立てる役割を担います。経営者は所有者である場合もありますし、別の会社や個人である場合もあります。

最後に、「運営」は具体的なホテルの日々の業務を実行する役割です。これには客室管理、フロント業務、飲食サービスなどが含まれます。

これら三つの要素は密接に関連しており、それぞれが適切に機能することでホテル運営は円滑に進みます。

(2)ホテル運営に携わる方法

ホテル運営に携わる方法は主に4つあります。それぞれ、所有者、運営者、フランチャイズ、マネージメント・コントラクトといった役割に分かれます。

1.所有者:ホテルの土地や建物を所有し、自身で運営するものです。経営リスクが高い一方、成功すれば大きな収益を得ることが可能です。

2.運営者:ホテルの日々の業務を管理する役割を担います。接客、清掃、料理など、ホテルのサービスを提供するすべての部門を監督します。

3.フランチャイズ:大手ホテルチェーンからブランド名を借りて運営する方式です。ブランド力を活用でき、運営ノウハウやシステムを学ぶことが可能です。

4.マネージメント・コントラクト:契約に基づき、専門のホテル運営会社が運営を行う方法です。運営リスクは低減され、専門知識が活かされます。

これら4つの方法から、自身のリソースと目標にもとづいて最適な運営方法を選びましょう。

(3)ホテル運営形態の種類

ホテル運営形態は主に4つに分けられます。それぞれ「所有直営方式」、「フランチャイズ方式」、「リース方式」、「マネジメント・コントラクト方式」です。

1.所有直営方式:ホテルの所有者が直接運営を行う方式です。全てを自社でコントロールするため、ブランドイメージやサービス内容を自由に設定できるメリットがあります。

2.フランチャイズ方式:既存のホテルブランドの名前と運営ノウハウを使って運営する方式です。確立されたブランド力とノウハウにより、リスクを抑えながら運営できるという強みがあります。

3.リース方式:不動産オーナーから建物をリースし、その建物でホテル運営を行う方式です。初期投資を抑えられると共に、不動産の価値変動リスクも回避できます。

4.マネジメント・コントラクト方式:ホテルの運営を専門の運営会社に委託する方式です。運営会社が全ての運営を担当するため、経営者は運営リスクから解放されます。

これらの形態はそれぞれ異なる特性とメリットを持っており、自社の資源や経営戦略により選択するべき運営形態は異なります。

2.ホテル運営の方法について

(1)所有直営方式の特徴とメリット

所有直営方式とは、ホテルの建物や土地を所有し、自社で運営する方式です。以下にその特徴とメリットを示します。

【特徴】 所有者が直接経営に関与し、サービスや価格設定などの全ての運営方針を自由に決定できます。自社ブランドでホテルを運営することが出来るため、企業イメージの統一性を保つことが可能です。

【メリット】 運営利益全体が自社に帰属し、成功すれば大きな利益を得ることが可能となります。また、自社で全てをコントロールできることから、サービス向上や新たな取り組みへの反応速度が速く、競争力を保つことが可能です。

しかし、成功の鍵は適切なホテル運営のノウハウと豊富な経済力です。しっかりとした計画と適切な投資が求められます。

(2)フランチャイズ方式の特徴とメリット

フランチャイズ方式は、その名の通りフランチャイズ(加盟店)として大手ホテルチェーンの一員となり、運営を行う方法です。特徴的なのは、ブランド力を借りることで初期の集客力を確保しやすい点です。また、プロモーションや運営ノウハウなど、チェーン全体で共有されるリソースを利用できます。

【フランチャイズ方式のメリット】

  1. 集客力:大手ホテルチェーンの信頼と認知度を活用可能
  2. 教育・研修:既存の運営ノウハウや教育システムの利用が可能
  3. マーケティング:チェーン全体としての広告やプロモーションに参加できる

ただし、フランチャイズ料を始めとするさまざまな費用が発生しますし、運営に関しても本部からの指導・指示に従う必要があります。そのため、自由度は一定程度制約されます。

(3)リース方式の特徴とメリット

リース方式は、物件の所有者からホテルの建物を借りて運営する方法で、初期投資を抑えられる特徴があります。

【特徴】 初期投資を抑えられます。物件の所有者から建物を借り上げるため、建物の建設費や維持費、リニューアル費用がかからず、ホテル運営に専念できます。

【メリット】 リスクを最小限に抑えることが可能です。経営がうまくいかなかった場合でも、負債を抱えずに事業から撤退することができます。また、経営者自身がホテルの所有権を持つ必要がないため、運営主体を変更する際の柔軟性もあります。

これらは特に、初めてホテル運営をする方にとっては大きなメリットと言えます。ホテル運営に関する知識が少ない場合や、資金調達に不安がある場合でも、リース方式なら比較的低リスクでホテル運営に挑戦することが可能です。

(4)マネジメント・コントラクト方式の特徴とメリット

マネジメント・コントラクト方式とは、ホテルの所有者が運営ノウハウを持っている企業に運営を任せる形式です。ホテルオーナーは、運営会社に対して管理料を支払います。

特徴として、主に以下の3点が挙げられます。

1.運営リスクの軽減: 運営会社が運営ノウハウを持っているため、失敗リスクを抑制可能です。 2.利益の安定: 運営会社から固定の管理料を受け取ることで、収益の安定化が見込めます。 3.ブランド力の活用: 運営会社のブランド力を活用することで、集客力の向上が期待できます。

一方、運営会社との契約内容によりますが、運営に対する直接的なコントロールが難しいというデメリットも存在します。この方式を選択する際は、契約内容を十分に理解し、適切なパートナーシップを築くことが求められます。

3.ホテル運営を始める前に準備するべきこと

(1)開業・運営資金の準備

ホテル運営を始めるためには、開業資金と運営資金の両方の準備が必要です。開業資金は、ホテルの建設やリノベーション、初期設備の導入などに必要となります。運営資金は、人件費や光熱費、消耗品の補充など日々の経営に必要な経費をカバーします。

〔開業・運営資金の例〕

開業資金運営資金
建設・リノベーション人件費
初期設備導入光熱費
消耗品の補充

資金計画を立てる際には、最初の数年間は赤字を見込むリスクを考慮し、余裕をもった計画作りが求められます。必要な資金については、銀行融資や投資家からの資金調達など複数の方法を検討しましょう。

(2)必要な許認可・資格の取得

ホテル運営を始める前には、許認可・資格の取得が必要不可欠です。具体的には、以下のようなものが該当します。

1.旅館業許可:ホテル運営を行うには、旅館業法に基づく「旅館業許可」が必要です。これは、市町村の保健所から取得します。

2.建築確認:新たにホテルを建設する場合や、既存の建物をリフォームする際は、建築確認申請が必要となります。

3.飲食店営業許可:ホテル内でレストラン等を運営する場合は、飲食店営業許可も必要です。

これらの許認可・資格は、ホテル運営をスムーズに進めるためには欠かせないものです。適切な手続きを行い、法律を遵守した運営を心掛けましょう。

(3)業務支援システムの導入

ホテル運営で欠かせないのが、業務支援システムの導入です。具体的には、客室管理システムや予約管理システム、そして売上分析ツールなどが挙げられます。

まず、顧客のチェックイン・チェックアウトや部屋状況を一覧で確認できる「客室管理システム」は、スムーズな運営を実現します。また、「予約管理システム」は、宿泊予約の受付から管理までを一元化し、満室率の向上に繋げます。

さらに、「売上分析ツール」は、業績の把握や分析が可能となり、データに基づいた適切な意思決定をサポートします。これらのシステムを導入することで、ホテル運営の効率化とサービス向上を実現できます。

ただし、導入する際はコストと効果をしっかりと比較し、自ホテルの運営スタイルに合ったものを選ぶことが重要です。

4.ホテル運営成功へのポイント

(1)国内宿泊需要の囲い込み

ホテル運営成功への一つのポイントとして、国内宿泊需要の囲い込みが挙げられます。近年、インバウンド消費が伸びていた時期もありましたが、コロナ禍により国内需要へのシフトが求められています。

具体的には、以下のような施策を考えることが重要です。

  1. ローカルな観光地との連携:地元の観光資源を活用したパッケージプランの提供などが考えられます。
  2. 長期滞在者への対応:テレワーク需要や、リモートワークで地方に滞在する人々をターゲットにしたプランを作成します。
  3. 快適な滞在環境の提供:部屋の快適さやサービスの質を上げ、リピート客を増やす努力をします。

これらの施策により、国内の宿泊需要を最大限に活かし、ホテル運営の成功を目指しましょう。

(2)データドリブンな意思決定

成功するホテル運営の秘訣の一つが、データに基づいた意思決定、いわゆる「データドリブン」なアプローチです。

運営における各種データ(例:宿泊率、顧客満足度、売上高等)は実際のビジネス状況を反映する貴重な情報源となります。これらのデータを適切に収集、分析し、それに基づいて戦略を立て、施策を実行することが重要です。

具体的には以下のようなステップを踏みます。

  1. データ収集:顧客満足度調査、フィードバック、売上データ等
  2. データ分析:収集したデータを分析し、結果を出す
  3. 意思決定:分析結果から導かれたインサイトに基づいて意思決定を行う
  4. 行動:決定した施策を実行し、その結果を再度データとして収集

これらのプロセスを徹底的に行うことが、ホテル運営成功への近道となります。

(3)固定費となる人件費の抑制

ホテル運営における最大の固定費といえば、人件費です。効率的な運営とコスト削減を両立させるためには、人件費の抑制が不可欠です。

まず、リーンな運営を目指し、必要最低限の人員で運営することが重要です。そのためには、業務を自動化・効率化するシステムの導入や、従業員一人ひとりのスキル向上が求められます。

また、パートタイムやアルバイトの活用も有効で、需要のある時間帯に集中的に働かせることで、人件費を抑えることができます。一方で、従業員の満足度やサービス品質を維持するための研修や福利厚生も忘れてはいけません。

最後に、若手にチャンスを与え、長期的な人材育成に投資することも、中長期的な人件費抑制に繋がります。

5.コロナによるホテル経営への影響とその対策

新型コロナウイルスの影響で、ホテル業界は大きな打撃を受けています。特に、観光地でのホテル運営は、観光客の減少により深刻な影響を受けています。

表1: コロナによる影響

項目詳細
売上減少観光客の減少による宿泊売上の減少
人件費負担スタッフの安全確保によるコストアップ

対策としては、地域住民向けの宿泊プランを提供することや、非接触サービスの提供を考えることが必要です。また、オンラインによる予約システムの強化や、各部屋の清掃・消毒体制の強化も求められます。

表2: 対策

項目詳細
地域住民向けプラン地元需要の取り込み
非接触サービス感染拡大防止と顧客満足度向上
予約システム強化オンライン需要の取り込み
清掃・消毒体制強化安全確保と顧客満足度向上

これらの対策により、コロナ禍でもホテル運営を継続することが可能です。厳しい状況ではありますが、新たなサービス提供や効率的な経営により乗り越えることが求められます。

6.まとめと次への一歩

ホテル運営には、所有・経営・運営の違いを理解し、自社に合った運営形態を選ぶことが重要です。また、開業・運営資金の準備や必要な許認可・資格の取得、業務支援システムの導入等、事前に準備すべき項目があります。

また成功へのポイントとしては、国内宿泊需要の囲い込みやデータドリブンな意思決定、人件費の抑制が挙げられます。新型コロナウィルスの影響を受け、ホテル業界は大きな変革を迫られていますが、このような時期だからこそ新しい経営戦略を模索し、対策を講じることが求められています。

これらの基本を抑えた上で、自社の特色を活かしたホテル運営を行いましょう。以上の情報が、あなたが次の一歩を踏み出す際の参考になれば幸いです。

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