宿泊コラム

「持続可能な保養所運営」のすべて!成功事例から学ぶコスト削減&収益化戦略

「持続可能な保養所運営」のすべて!成功事例から学ぶコスト削減&収益化戦略

1. はじめに:時代遅れ? いえ、まだまだ活用できる保養所!

バブル期に建設ラッシュがあり、かつては多くの企業が社員の福利厚生やレクリエーションの場として活用していた保養所。 しかし、時代の変化とともに、その存在意義が問われています。

課題詳細
利用率の低下社員の価値観の多様化やライフスタイルの変化により、保養所を利用する人が減少
維持費用の増大老朽化した建物の修繕費や光熱費など、維持費用が大きな負担に
運営の負担増加施設の管理や利用者の対応など、運営に携わる人員の確保やコストが課題

このような課題から、「時代遅れの負の遺産」と捉えられがちな保養所。 しかし、見方を変えれば、保養所は企業にとって valuable な asset (価値ある資産)となり得るのです。 立地条件や施設のポテンシャルを活かすことで、コスト削減や収益化を実現できる可能性を秘めていると言えるでしょう。

本稿では、従来型保養所の抱える課題と、その打開策として有効なコスト削減&収益化戦略について解説していきます。

2. 従来型保養所の課題と打開策

2-1. 利用率の低迷

– (1) 社員のニーズの変化:バブル期のような団体旅行のニーズ低下、個人旅行志向の増加

かつて、社員旅行といえば団体旅行が主流でした。しかし、時代は変わり、社員のニーズも大きく変化しています。

項目従来現在
旅行形態団体旅行個人旅行
旅行の目的社員同士の親睦リフレッシュ、家族サービス
旅行先国内旅行国内・海外旅行

バブル期のような団体旅行のニーズは低下し、社員一人ひとりの価値観を重視した個人旅行志向が強まっています。従来型の保養所は、このような時代の変化に対応できていないケースが多く見られます。

– (2) 施設の老朽化:魅力的な設備不足、時代に合わせた改修の必要性

保養所の中には、バブル期に建設されたものが多く、老朽化が進んでいる施設も少なくありません。魅力的な設備が不足している場合、社員の利用意欲低下につながります。

項目具体的な内容
建物の老朽化外壁のひび割れ、雨漏り、内装の劣化
設備の老朽化エアコンの故障、エレベーターの故障、給排水設備の不具合
バリアフリー化の不足スロープやエレベーターの未設置、段差の多さ
通信環境の不足Wi-Fiの未整備、通信速度の遅さ

時代の変化とともに、社員のニーズも多様化しています。快適な宿泊体験を提供するため、時代に合わせた改修が必要不可欠です。例えば、和室中心の客室を洋室に改装したり、共用部にWi-Fiを完備したりするなどの対策が考えられます。

– (3) 立地条件の悪さ:アクセスが悪い、周辺に観光スポットが少ない

保養所の中には、アクセスが悪く、周辺に観光スポットが少ないなど、立地条件の悪さが利用率の低迷に繋がっているケースも見られます。

立地条件の悪さによる影響具体的な例
アクセスが悪い主要駅から遠い、公共交通機関の本数が少ない、車がないと不便
周辺に観光スポットが少ない自然豊かな場所でも、観光地化されていない、レジャー施設がない

このような立地条件の悪さは、社員にとって魅力が乏しく、保養所を利用するメリットを感じにくい要因となります。せっかく保養所を所有していても、立地条件が悪いために利用されないままでは、宝の持ち腐れになってしまいます。

2-2. 高額な維持管理費

– (1) 固定費の負担:人件費、光熱費、修繕費など

保養所の維持管理費の中で大きな割合を占めるのが固定費です。具体的には、以下のような費用項目が挙げられます。

費用項目内訳例
人件費管理人、清掃員、調理スタッフの人件費
光熱費電気代、ガス代、水道代
修繕費建物の修繕費、設備の修理費
その他保険料、固定資産税、通信費

これらの固定費は、利用率に関わらず発生するため、保養所の収益を圧迫する要因となっています。特に、老朽化した施設では、修繕費が増加する傾向にあり、経営上の大きな課題となっています。

– (2) 老朽化による修繕費増大:建物の老朽化、設備の故障

長年使用されてきた保養所では、建物の老朽化や設備の故障は避けられません。老朽化が進むと、以下のような修繕費用が発生し、その費用は莫大なものになる可能性があります。

修繕箇所費用目安
屋根・外壁の補修数百万~数千万円
水回りの改修(トイレ、浴室)数十万~数百万円/箇所
電気設備の改修数十万~数百万円
エアコンの交換数十万~数百万円

これらの修繕費用に加えて、故障した設備の修理費用も必要となります。特に、近年は設備の高度化が進んでおり、修理費用も高額になる傾向があります。

老朽化による修繕費増大は、保養所運営の大きな負担となります。適切なメンテナンスや計画的な改修によって、修繕費を抑えることが重要です。

2-3. 運営の負担

– (1) 人材不足:運営に必要な人員確保の難しさ

保養所の運営には、多岐にわたる業務に対応できる人材が必要です。しかし、地方にある保養所では特に、人材の確保が難しいという課題があります。

業務内容必要とされるスキル
施設管理設備管理、修繕、清掃、セキュリティ
接客対応予約受付、顧客対応、観光案内、イベント企画・運営
飲食提供調理、配膳、衛生管理
経理・事務会計処理、請求業務、予約管理、顧客情報管理

これらの業務をこなせる人材を確保するには、採用活動の強化や従業員教育の充実が不可欠です。しかし、人材不足は深刻化しており、運営上の大きな負担となっています。

– (2) 専門知識の不足:施設管理、衛生管理、顧客対応

保養所の運営には、施設管理、衛生管理、顧客対応など、多岐にわたる専門知識が求められます。しかし、企業がこれらの専門知識を自前で保有することは容易ではありません。

分野具体的な業務内容例必要とされる専門知識・スキル
施設管理建物の修繕・メンテナンス、設備の点検・修理、消防設備の管理、セキュリティ対策建築・設備に関する知識、電気工事士、消防設備士などの資格
衛生管理館内の清掃、浴場の衛生管理、食品衛生管理衛生管理者、食品衛生責任者などの資格、清掃に関する知識
顧客対応宿泊予約受付、問い合わせ対応、クレーム処理接客マナー、コミュニケーション能力、宿泊施設運営に関する知識

専門知識の不足は、サービス品質の低下や安全性の問題、さらには法令違反のリスクにもつながる可能性があります。

3. コスト削減&収益化のための戦略

3-1. コスト削減戦略

– (1) 施設の有効活用:コワーキングスペース、レンタルスペース、イベント会場

保養所の遊休スペースを有効活用することで、新たな収益源を創出できます。具体的には、以下の様な活用方法が考えられます。

用途メリットターゲット
コワーキングスペース– 地方にいながらにして仕事ができる環境を提供
– 企業にとってはサテライトオフィスとしての活用も可能
– フリーランス
– 企業従業員
レンタルスペース– 会議や研修、セミナーなど多様な用途で利用可能
– 比較的低コストでスペースを借りられる
– 企業
– 団体
– 個人
イベント会場– 結婚式やパーティー、展示会など、規模に応じたイベントが可能
– 非日常的な空間を演出できる
– 企業
– 団体
– 個人

これらのスペースは、社員が利用するだけでなく、一般にも開放することで更なる収益向上を見込めます。集客には、SNSや地域情報誌を活用するなど、効果的なプロモーション活動が重要です。

– (2) 省エネ化:太陽光発電導入、LED照明への切り替え

高額な維持管理費の負担を軽減するには、省エネ化による光熱費削減が効果的です。特に、太陽光発電導入やLED照明への切り替えは、初期費用こそかかりますが、長期的な視点で見れば大きなコスト削減効果が見込めます。

省エネ対策メリット具体的な取り組み例
太陽光発電導入・電気料金削減
・売電による収益化
・屋根への太陽光パネル設置
・遊休地への太陽光発電システム導入
LED照明への切り替え・消費電力削減
・長寿命化による交換費用削減
・館内の照明をLED照明に交換

太陽光発電導入で、日中の電力消費を自家発電で賄い、余剰電力は売電することで収益化も可能です。LED照明への切り替えは、従来の蛍光灯に比べて消費電力が少なく、寿命も長いというメリットがあります。 これらの省エネ対策を講じることで、環境負荷低減にも貢献できます。

– (3) 運営の効率化:IT化による業務効率化、外部委託の検討

保養所の運営を効率化するためには、IT化や外部委託の検討が有効です。具体的には、以下のような方法が考えられます。

方法内容メリット
宿泊予約システム導入オンラインで簡単に宿泊予約ができるようにする電話対応や予約管理の手間を削減、24時間予約受付が可能
勤怠管理システム導入従業員の勤務時間を自動で記録・管理する給与計算の効率化、労働時間適正化
会計ソフト導入会計業務を効率化する入力ミス削減、財務状況の可視化
清掃・設備管理の外部委託専門業者に清掃や設備管理を委託するコスト削減、人材不足解消
食事提供の外部委託ケータリングサービスやレストランとの提携による食事提供調理スタッフの人件費削減、食事のバリエーション増加

これらの方法を導入することで、運営コストの削減、業務効率化、サービス品質向上が見込めます。外部委託を検討する場合には、信頼できる業者を選定することが重要です。

3-2. 収益化戦略

– (1) 一般向けへの開放:宿泊施設、レストラン、温泉施設、スポーツ施設

保養所の収益化において、一般向けへの開放は有効な手段です。保養所が持つ施設を活用することで、新たな顧客層を獲得し、収益源を多角化できます。

施設サービス内容例集客ターゲット例
宿泊施設ホテル、旅館、コテージ、グランピング施設旅行者、家族連れ
レストラン地元食材を使った料理、BBQ、カフェ近隣住民、観光客
温泉施設日帰り温泉、宿泊温泉、温泉プール健康志向者、高齢者
スポーツ施設テニスコート、ゴルフ場、プール、ジムスポーツ愛好家、健康志向者

例えば、自然豊かな立地にある保養所であれば、宿泊施設やレストランとして一般向けに開放し、観光客誘致を行うことができます。また、温泉やスポーツ施設を備えている場合は、日帰り利用や会員制を導入することで、地域住民のニーズにも応えることができます。

– (2) ワーケーション施設としての活用:高速Wi-Fi整備、仕事に集中できる環境づくり

保養所をワーケーション施設として活用する動きも広がりを見せています。企業は、従業員に魅力的なワークスペースを提供することで、従業員のモチベーション向上や生産性向上を期待できます。

ワーケーション施設として活用するためには、以下の点が重要になります。

要素詳細
高速Wi-FiWeb会議や大容量データの送受信にストレスを感じさせない安定した通信環境の構築
仕事に集中できる環境静かな部屋、個別ブース、 ergonomic design(人間工学)に基づいたデスクやチェアの設置
リフレッシュできる環境緑豊かな景観、カフェスペース、リラクゼーション施設の設置
宿泊施設との連携必要に応じて宿泊施設を提供することで、長期滞在を可能にする

保養所は、自然豊かな環境や充実した設備を備えている場合が多く、ワーケーション施設としての活用に適しています。

– (3) 地域連携:地元特産品販売、観光ツアーとの連携

保養所の魅力を高め、地域経済への貢献を実現するためには、地域との連携が欠かせません。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

具体的な内容メリット
保養所内での地元特産品の販売地域事業者との連携強化、新たな収益源の確保、保養所利用者への地域の魅力発信
地域の観光スポットへの送迎サービスの実施地域の観光産業への貢献、保養所利用者の満足度向上
保養所を拠点とした体験型観光ツアーの企画・実施地域の魅力発信による集客力強化、関係人口の増加、保養所の稼働率向上、新たな雇用創出の可能性

これらの取り組みを通じて、保養所は地域活性化の拠点としての役割を担うことができます。地域との「共存共栄」の関係を築くことで、保養所の持続可能な運営体制を構築できるでしょう。

4. 成功事例から学ぶ

4-1. 事例1:ワーケーション施設として再生

株式会社A社(仮名)

概要内容
課題利用率の低下、維持管理費の増加
対策ワーケーション施設としての改修、高速Wi-Fiの導入、個室の増設
成果利用率80%達成、社員の満足度向上、採用活動でのアピールポイント

株式会社A社は、保養所の老朽化と利用率の低下に悩んでいました。そこで、時代のニーズに合わせてワーケーション施設として再生しました。具体的には、施設内に高速Wi-Fiを完備し、集中して仕事ができる個室を増設しました。また、チームビルディングなどのプログラムを導入することで、社員のスキルアップやコミュニケーション促進を図りました。その結果、利用率は80%にまで回復し、社員の満足度も向上しました。さらに、保養所をワーケーション施設として活用することで、採用活動においてもアピールポイントとなっています。

4-2. 事例2:地域と連携した体験型施設

地域と連携し、その土地の魅力を活かした体験型施設へと転換することで、新たな収益源を獲得している事例も存在します。

地域資源体験コンテンツ例集客ターゲット例
自然農業体験、アウトドアアクティビティ家族連れ、訪日外国人観光客
歴史・文化陶芸体験、伝統工芸体験歴史好き、文化体験を求める旅行者
地産地消料理教室、食育イベント健康志向者、食に関心の高い旅行者

例えば、豊かな自然環境を活かして、農業体験やアウトドアアクティビティを提供したり、地元の食材を使った料理教室を開催したりすることで、都市部からの集客も見込めます。地域との連携は、保養所の魅力を高めるだけでなく、地域経済の活性化にも貢献します。

運営にあたっては、地域の観光協会や住民団体と連携し、地域資源の発掘や体験プログラムの開発を行うことが重要となります。

4-3. 事例3:外部委託による運営効率化

保養所の運営を専門業者に委託することで、人材不足や専門知識不足を解消し、効率的かつ効果的な運営体制を構築できる場合があります。

例えば、従業員数が減少傾向にあり、保養所の維持管理に人員を割くのが難しい企業が、運営を専門業者に委託した事例を見てみましょう。

項目委託前委託後
運営体制自社社員による運営専門業者への委託
人員体制正社員2名、パートタイマー3名
コスト人件費:年間約4,000万円委託費:年間約3,000万円
サービス限定的なサービス提供多様なサービス提供

専門業者への委託により、人件費を年間約1,000万円削減できました。また、専門業者が持つノウハウやネットワークを活用することで、従来は提供できなかった多様なサービスを展開できるようになったことも大きなメリットです。

5. まとめ:保養所は企業の未来を拓く鍵となる!

保養所は、従来型の運営方法を見直し、時代の変化に合わせた活用を行うことで、企業にとって新たな価値を生み出す可能性を秘めています。

コスト削減&収益化企業価値向上
施設の有効活用社員のエンゲージメント向上
省エネ化企業イメージ向上
運営の効率化地域社会への貢献
一般向けへの開放新規事業創出
ワーケーション施設としての活用
地域連携

コスト削減や収益化を実現するだけでなく、社員の満足度向上、企業イメージの向上、地域社会への貢献、新規事業の創出など、様々なメリットを生み出すことが期待できます。

保養所の運営は、短期的な視点ではなく、長期的な視点に立った戦略的な取り組みが求められます。企業の未来を拓くためにも、保養所の持つ可能性を最大限に引き出していくことが重要です。

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